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転換

石の上にも三年 土の上では 五年 二年 一年 炭循農法を取り入れて独自の・・・は百万年

実践1 実践2 実践3 実践4 実践5 ■転換 転換2 転換3 転換4 特別編(廃菌床) 内部品質

転換時やその後の注意、対処法などを徐々に追加します。
拘るな!
ジャガイモが芽を出したところ。耕起され、なんの変哲もない慣行農法?。いえ、これでも、れっきとした自然農法。養分供給法が分かれば、見た目の“かたち”に拘る必要なし。
透水性、吸水性良好で等高線栽培は不要。作業性を重視、培土が容易なように畝の谷に植え、収穫時には山と谷が逆転しています。土ができ上がったから可能な技、透水性が悪い圃場でこれをやると芋が腐ります。
 
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転換以前

 炭素循環農法は、自然の側(法則)に基準を置き科学的に説明したに過ぎず、マニュアルはありません。何をやろうと自由。自然の法則に則っているか否かだけが問われます。
「炭素循環農法を取り入れて己独自の農法を」などと大それたことを考えている者や、土の外で資材を弄んでいる、自然に対し真の謙虚さがない者は「直ちに、ここから立ち去って下さい」時間の無駄です。余所で勝手にやって下さい。  
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何がどうなる(窒素供給源)

 先ず肥料(無機態窒素N)分と腐敗成分が無くなります。同時に他の無機態肥料分(リンP,カリK)なども無くなると考えられます。この時、特徴的な変化が現れます。最初は虫食いや成育ムラ、収量減などのマイナス現象として現れ、ある程度浄化が進むとプラス現象に転じます。
転換以前の履歴や高炭素資材の投入量の多寡により、多少の時間差がありますが転換時の「窒素の供給源と量の変化」は、大凡図のような経過を辿ります。
縮小画像転換時の窒素供給源と量の変化をクリック!。 準備期間(0〜12ヶ月)は気候条件や汚染度により変わります。施肥栽培からの転換直後で、慣行の3/4以上の収量なら実質的施肥栽培。無理せず10〜15t(生〜半生)/ha/一作、程度の餌を与えます。それ以下なら準備完了とみて、積極的に炭素資材の大量施用を開始します。目安は、準備期間の2〜3倍量です。新開地や長期放置農地(10年以上)、自然猿真似農法からの転換なら準備期間はゼロ。最初から大量投入して構いません。
 準備期間の2〜3倍量:
10t×3×3作/年≒100t(生〜半生)/ha/年。これを堆肥化すれば約30tに減量する。この量は慣行栽培(化学肥料+堆肥)で推奨されている堆肥の投入量。つまり化学肥料を止めるだけのことである。
また現物(100t)が水分65%とすれば、乾物量で35t。緑肥作物の最大収量(上図の100以上の窒素レベルでの登熟時)とほぼ同じ。圃場で大気中のCO2を固定しても、炭素源を圃場外から調達するにしても、まったく無理のない普通の量である。
 
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リセット

 自然農法と言ってもやり方は多様。ただ共通して言えることは、最初の提唱者以外は試行錯誤の結果、こうしたら「できてしまった」というものが全てでしょう。
そもそも、最初に自然農法を説いたシュタイナーは基準を示し詳細な栽培法を説きましたがその仕組みの説明はしていません。そのため、未だに低収量で全世界の食糧供給は不可能です。また、岡田茂吉は原理や理念を説きましたが、その詳細について具体的な説明はしていません。

経緯からして、その後に続く自然農法の実践・指導者たちにも、理に基づく技術が見られないのは当たり前と言えるかも知れません。しかし、彼らが何から知識を得、何を以って説こうと、自然の理(原理、法則性)と技術の関連を明確に説(解)かない限り、何時まで経っても自然農法は、表(おもて)の農業として認められることはないでしょう。

天の啓示や信仰と無関係な我々は先ず、何の理論的根拠もない「人=脳」が作り出した知識や技術(慣行、有機、自然農法など)、自然そのものに対する見方(人=脳が見た自然)を一旦リセット、拘り(人=脳の思い)を捨て、在るがままの自然の姿を、初心に帰って学びなおすことが近道と思います。

はじめにお断りしておきます。葉色が濃くなる薄くなる、虫が付く、食味の低下など、転換時には必ずと言ってよいほど「施肥障害」が一時的に目立つようになります。この際、他(資材など)を疑う前に先ず自分を疑い、微生物の生息環境(特に酸欠対策)を見直しください。
自然の側から事象を捉えることを忘れれば(責任転嫁)、真の原因が見えなくなってしまいます。豊富(余計?)な知識を持つほどに、犯しやすくなるミスです。土作り=微生物の飼育環境整備をして放し飼い。常に“息をしている生き物を飼う”という感覚が大切です。微生物を窒息させない溺れさせない。そして、知識に溺れない(笑)。
二大要因(清浄度と肥沃度)
慣行と自然農法の実際面での相違は、施肥と防除の有無。この相違の基因は、土の「清浄度」と「肥沃度」という二大要因にあります。施肥農法では施肥量が増すほど清浄度が落ち、二つの指標は相反します。
 肥沃度:
施肥の場合は可吸態無機養分量。無施肥の場合は微生物による養分供給力を主に意味する。
成分

肥効成分による直接汚染(糸状菌を殺す)やそれより生起する、腐敗による二次汚染などの一連の事象を、岡田茂吉は「肥毒」と呼び、全ての障害の原因と看破しています。
この一点さえ理解すれば、あとは自然の力の応用で、痩せ地を清浄なまま肥沃化したり、高度な汚染地(肥料過剰)を肥沃なまま清浄化できます。汚染源は肥沃化の原料でもあり(微生物が利用)、取り除く(殺す)のではなく有用なものへの変換。全てを活(生)かすことが防除に代わる最大の防御です。

自然の理を理解せず手痛いしっぺ返しを受け、及び腰になっているのが現在までの自然農法と言えるでしょう。あくまでも原理に基づく自然の仕組みの応用であり「あれはいけない。これもダメ。」と根拠のない枷をかけ、逃げることが自然農法なのだと提唱者は言っていません。『積極的に自然の意思(法則)に従う』です。  
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見(診)る

 無施肥栽培に転換する際には、先ず土地全体の状態を把握し見極めることから始めましょう。土壌分析(成分分析)は施肥のためですから必要ありません。
しかし、土壌診断は必要です。より重要なのが地中の状態。これを見誤ると、良かれと思って行った作業が逆効果になったり、積み重ねた苦労が、徒労に終わりかねません。労を厭わず、数十cm程度まで掘って地下を覗いてみましょう。
土質
転換後2年のレタスの根
転換後二年、比較的根が浅いと言われるレタスでも確認できた最深部(スケールの先端)は92cm。キノコ廃菌床は表層10cmに混ざっているだけ。過去の耕土層27cm。サブソイラーにより破砕したV字状部分40cm。
更に4年目には400cm(2012)。
 大別して粘土質か砂質か、重質か軽質かが分かれば十分です。粘土質は団粒形成がされやすく改良が容易ですが反応が鈍い。砂質では多目の高炭素資材を必要とし、敏感に反応。重質は通気性に劣り乾燥しにくい。軽質は乾燥しやすく改良が容易。
ペーハー測定や、石灰などによるペーハー矯正は、肥料の効きを良くするための技術です。無施肥では余程特殊な土壌で無い限り、まず必要ありません。
耕土(表面の軟らかい層)の厚さと団粒程度
 硬ければ有機物が少なく微生物相(叢)が貧弱で痩せているか、施肥により腐敗しています。フワフワでミミズが多ければ未分解有機物が多く清浄度が低い証拠。団粒化し適度に締まりのある状態が良いのです(仮比重1.0前後)。但し、表層(20cm程度)は重粘土質土壌でも素手で軽く起こせる状態が良いのです。
耕土層の下の心土の状態と腐敗の有無
 深さ20〜80cmは腐敗硬盤層ができる所です。硬い板状の層や腐敗臭がする層がないか確かめましょう。また、土壌改良の進捗が思わしくない場合、下層に粘土などの不透水層(青灰色や緑灰色の還元層=グライ層)がないか調べます。
水田を畑にする場合、水持ちを良くするための練り固めた鋤床が15〜25cm程の所に作られています(通常、酷い腐敗は伴わない)。
地下水位や排水の良否
 土壌の改良とは如何に多くの酸素を土壌深部まで供給できるかということです。常に深部の状態を見る(考える)ことを習慣化して下さい。水田の裏作や、水田を畑に転換する場合は特に重要です。
地下水位が高く排水が悪ければ暗渠や明渠、更に心土破砕などが必要。外部(隣接圃場や道路)からの雨水流入にも配慮。
排水が良く高畝だけで対処できる程度なら、不慮の事故(大量降雨による冠水、地下水位上昇による根腐れ、微生物の溺死など)を防ぐための、簡単な排水溝だけで十分でしょう。
 
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耕す

 自然農法は不耕起との決め付けは反自然。土を生かすためなら何をしたって構いません。死んだ土を早く生き返らせるために、時には少々荒療治もやらなければならないのです。

水田の代かきは不透水層の補強、不耕起に拘りザル状態(水の浪費)や、逆に底なし沼状態で手刈りをしているようでは(腐敗を止めれば固まり機械が入れられる)、その技術が自然の理に沿っていない証拠。耕起してできないのであれば何処かに矛盾があります。
一度だけ
 腐敗硬盤層や粘土層、鋤床がある場合、土層が厚ければ80cmまで、薄ければ可能な限り破砕します。これは従来の天地返しとは別、一度限りの土木工事です。
これは通気性、透水性の抜本的改善。空気(酸素)を入れなければ何時まで経っても深部の腐敗をなくせません。

最善の策はサブソイラーや重機(土木業者に相談)で破砕。後は作物と微生物が(短期間で地下数m以上)耕してくれます。
機械的に破砕できない場合、多少時間がかかりますが炭素固定量が多く根が深く伸びるトウモロコシ(夏)、エンバク(冬)などを毎年作り、作物と微生物に耕してもらいます。
雑草利用の場合、生やしっぱなし(不耕起)ではダメ。根を枯らし微生物に食わせることで土壌改良期間が短縮します。

併せて通常の作業機で起こせる所まで深く天地返して(但し30cm以内)土壌のリセット、これも一度限り。腐敗層を空気に晒し、好気性菌による腐敗物質の分解です。
 深く天地返して(但し30cm以内):
慣行農法の耕土層より下の土は植物を育てる力が全くない。そのため30cm以上の天地返しは不可(耕土が浅い場合、耕土+5cm迄)。必須ではないがその際、EM菌ボカシ(別名:ドブ掃除菌^-^)を同時に鋤き込むと、腐敗成分を早く分解する効果あり(素人はやらない)。

高度汚染の土を天地返しすると、有害成分が全体に混ざり、すぐに植えられません。また、窒素や塩類は地表近くでは水分が飛び、急速に高濃度に濃縮されて濃度障害(根やけ)で枯死したり、過剰吸収(生理障害)で萎れたりします。
この際しばらくは、何も育ちませんから C/N比(炭素比)が高く、その割には分解しやすい「キノコの培地化した物(オガコや木材屑などを高温発酵処理)が特に有効です。これは事故などで一度に大量の微生物を死なせ、分解・放出された無機態窒素の生物化(固定)にも使えます。

この一連の作業は清浄化を早めるために、肥沃化成分を捨てるやむを得ぬ処置。慣行的な、耕起・土塊粉砕が目的ではありません。
転換後は次第に根圏が拡大、根量も多くなり根が枯れれば微生物が養分化、雑草や次の作物がその養分を求め、また根を伸ばす。この繰り返しで硬盤層が消え、土が深い所まで団粒化、清浄度が上がります。
均一に
作物が耕した土の断面
白色の水性ラテックス塗料を流し込んだ土の断面。水は、横には広がらず真下に浸透。
耕土層は腐植が減り黒色ではなく土、本来の色に近い。
 圃場全面、同じように表面を浅く耕し高炭素資材、雑草などの有機物を混ぜるのが良い方法です。良く団粒化した土は復元力があり、畝を踏みつけても構いません。
また、腐敗がなければトラクターが走り回ったくらいの踏み圧で深い所まで硬盤層はできません。ただし、雨後2日ほどはタイヤで練り固め団粒を壊すため、初期の内は要注意です。

猿真似自然農法でよく行われる高畝は表層土だけ使う小手先の技ですが、転換初期は利用できます。更に黒マルチで雨を防ぎ空気を入れれば浄化が早まります。
畝を固定し通路を長年月、踏み固めてある場合畝を動かすか、通路にも高炭素資材を入れ畝と同じように混ぜます。

圃場内の通路や周囲の道路などは、地下の水の流れを堰き止め堰の役目をすることがあります。通路の両側1〜3m程度を排水不良にし、地下の深い所を腐敗させることがあり、必要に応じ排水します(明渠、暗渠など)。

写真(右)は十分な炭素量で約5年。雨水が地表を一滴も流れない土です。大量の降雨があっても全て地中に滲み込み、地下に流れを作ります。
地表を雨水が流れ去ってしまう状態の土では考慮外なことですが、土が良くなるほど、この地下の水の流れの良否が、作物の生育に敏感に反映されるようになります。

混ぜる
 土の中で有機物を分解させると、最も効率的に団粒化します。表面に敷くだけでは非効率的で、少しでも早く一定水準の(最低限虫に食われない作物の育つ)土にしたい、転換初期には良い方法とは言えません。
少なくともプロのやることではありません。機械力の無い家庭菜園では、薄く土で覆えば良いでしょう。

浅く混ぜる理由は、十分酸素が届く範囲で、入れた有機物を腐敗させずに、土に触れさせるという意味です。勿論、水による移動もありますが、大量の微生物が繁殖している有機物が土と触れないことには話しになりません。
土に混ぜた場合と、表面に敷いた場合、堆肥化した場合の同一収量を得るために必要な、生の有機物量は大よそ下記のようになります。十倍の有機物を使って、環境保全や永続性など語れないことが分かるでしょう。

 混ぜる(耕起) 1   (炭素循環農法)
 敷く(不耕起)  3〜5  (オーソドックスな自然農法)
 堆肥化(耕起) 5〜15 (一般的な有機堆肥農法)

混ぜる深さは通常、10cm前後で十分。特にキノコ廃菌床は最初から大量に酸素を消費するため常に浅く混ぜます。但し、有機物の処理能力の低い転換初期、腐敗が心配(判断できない)ものは敷くにとどめます。

団粒化が進めばそれに合わせ、有機物を次第に深く入れても構いません。順調に土壌改良が進めば初年度10cm、2年目から5cmずつ深くし、最終的には通常の機械で可能な、25cm程度まで。

団粒化し、通気性の良くなった耕土表層(20〜30cm)は、全体の条件がほぼ均一で、混ぜたからといって、微生物相を撹乱する懸念はありません。また、条件を整えて深く入れれば更にその下の直接耕せない心土を、より早く深く耕せます。

緑肥作物利用は、あくまでも炭素の固定が主目的、固定量の多いイネ科が最適。やむを得ず、若い雑草やマメ科緑肥(窒素が多い)など炭素比が低いものを使う場合は、炭素比を上げるため乾燥したり、高炭素資材を加え調整する必要があります。
 炭素の固定が主目的:
慣行農法のように窒素固定が多い物は不可。窒素の固定は鋤込んだ炭素を利用する微生物に任せる。実践2の土を、USP(サンパウロ州立大学)農学部の教授(微生物研究が専門)が分析したところ、窒素固定に関わる菌が一般的な施肥栽培土壌の9倍いるという結果。これらの菌のエネルギー源の確保が緑肥作物の利用。窒素ではなく、炭素固定能力が高いもの(特にC4植物)の方が良いのは自明の理である。
 高炭素資材を加え調整:
超難分解性の木質資材(未処理のオガコなど)は要注意。炭素比の低いものだけが先に分解され調整効果の発現が遅れる。
 
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植える

根の深さ cm
トウモロコシ230
ハクサイ170
ニンジン150
ナス140
キャベツ120
コムギ120
ダイス100
トマト100
ホウレンソウ100
イネ80
ジャガイモ80
 新規開墾や転地返しで、リセット状態の土では、いきなり何でも育つというわけにはいきません。土を教育し自給自足での、養分供給回路(作物と共生関係にある微生物)を整える必要があります。
清浄度、肥沃度、共に転換初期は表層部から徐々に良くなります。成長に従い根の張り具合が変われば養分供給場所(深さ)も変わります。そのため急成長あるいは停止や病虫害が出たりもします。また、場所により生育ムラが起きたり、育つ作物の種類が限定されます。

作物毎の根の張る深さは、土壌状態や生育状態などにより、一概には言えませんが土壌改良が進めば、圃場周辺部の生育状態や生物的作用を受けている土の深さから考えて、右表やリンク先の画像( 野菜の根はどのくらい広がるの?] )以上(2〜3倍?)の根域が形成されると思われます。
根が広く浅い作物は高い肥沃度が要求される代わり、比較的初期から良くできます。深く広いものは、低肥沃度でも全体の清浄度が高くなければならないわけです。
 圃場周辺部の生育状態:
圃場外には養分が殆どない。道路などで踏み固められ根が張れない。圃場の外周部分は片側が使えないため根が半円状にしか広がれず、転換初期には1〜3m巾ほどの範囲の成育が劣り根の水平方向の広がりが分かる。しかし、養分の循環量が十分増え、収量が慣行を超える頃には成育差はなくなる。


 不耕起・雑草マルチ・高畝・混植などは、過去の自然農法の典型的技法。生きた雑草で防風・倒伏防止、虫の目を眩ますこともでき、見た目も自然に近く理に適っているように見えますが所詮は逃げ。
 所詮は逃げ:
雑草マルチで表面に養分を集中、乾燥を防ぎ水分を確保、根を表面に集める。また、機械が無くてもスコップ一本ででき、上根のため汚染度の高い下層部をあまり使わず済む。

転換初期にはそれなりに有効ですが積極的な自然の仕組みの応用とは言い難く、プロには屈辱的と言わざるを得ません。プロは人に食わせて(生かして)何ぼの商売、スコップ一本で自己満足というわけにはいきません。

転換初期は畝立てなどで表層の水捌けや通気性などに留意する必要がありますが、団粒化が進めば畝立ては必要ありません。本当に必要かどうか作業性や作物に合わせ畝立てをすればよいのです。
種類
 養分要求度の低いものから始め、次第に要求度の高いものへ。全体の清浄度が低くても何とか育つものから、高い清浄度を要求される物へと進みます。先ずは雑草を育ててみましょう。雑草が育つようなら何でも育つようになります^-^。ただ、清浄度と肥沃度により育つ野菜の種類が決まるため、一般的な有機農法や自然農法とはかなり様子が違います。

除草 先ず最初に、ハクサイなどの葉物ができるようになります。写真は転換後2年目のハクサイ、虫食い無し、葉色も濃すぎず薄すぎず(窒素の過不足)、大きさも十分で施肥栽培と比べても遜色なし。
植物は、根と芽が出て、葉が茂り、根や茎が太り、花が咲き、実が実り、種子ができます。作りやすい順序は当然、茎葉類、根茎類、花野菜類、果菜類、種実類となります。これが当たり前の自然の順序です。もし、この順序通りでない場合は、どこかが反自然と思って間違いありません。
 当たり前の自然の順序:
清浄でも微生物相が極度に貧弱で肥沃度が低く、ワラビやスギナなど原始的な植物しか生えないような土地は、雑草などで少し肥沃度(養分供給力)を上げるだけで、サツマイモや豆類、イネができる。これらは窒素固定菌と共生関係が強い。肥沃度を上げるのは、汚染度を下げるより容易。
多様な雑草の生える中程度の肥沃度なら、清浄度を上げさえすれば、葉菜、根菜、イモ類は殆どできる。雑草並みのケールからハクサイ(汚染に弱い)などでも、簡単に育つようになる。大根は少し高目の肥沃度(比較的汚染に強く、低養分に弱い)。カブは更に高い肥沃度・清浄度が要求される。ニンジンは殆ど雑草^-^。

有機(堆肥)農法や自然猿真似農法ではハクサイ(葉菜類)ができたら一人前と言われます。堆肥はC/N比が低いうえに肥効があり、炭素の相対的不足だけでなく、汚染源にもなっているからです。
また、消極的な自然猿真似農法では、炭素資材を有効活用していません。炭素の絶対的不足から、清浄度、肥沃度とも上がらず、痩せ地でも育つ物(在来種、種子の自家採取)や、葉が傷んでもよいものしか作れないのです。
何れも、二大要因(清浄度、肥沃度)と、それを上げる仕組みを知らず、育たないと思い込んでいるだけのこと。有効炭素量を増やせば清浄度と肥沃度は同時に上がります。

高度汚染地(施肥栽培圃場)を転換した場合は、最初から栽培期間の短い葉物の方が、豆類や根菜類より良くできます。豆類には残留肥効成分が大過ぎ、根菜類には清浄度が足りないためです。また、果菜類は収穫期間が長く、より清浄且つ肥沃でなければなりません。実ができても虫(幼虫)が入っていたのでは虫の餌です。
レタスの連作などは栽培期間が短く、栽培適期も長いため、回数を稼げ転換初期に向いた作物です。しかし通常、多種類を栽培しなければならず、屈辱的ではあっても初期には自然農法の古典技?(上根重点の栽培)の応用も・・・。

虫(害)の方が、菌(害)より簡単になくなります。虫の方が高等生物、繁殖条件が限られる?からのようです。一方、菌害は作物の活力(活きの良さ=健康度)が落ちると出やすくなります。
 虫の方が高等生物:
先ず、アオムシやヨトウ虫(蝶や蛾の幼虫)など比較的大型の虫がいなくなる。次に飛来する甲虫類が来なくなり(虫食い痕だけで虫がいない)、アブラムシやダニなど進化度が低い?虫だけになる。ダニなどが減る頃には菌類(カビ病)も減り、最後まで残るのがバクテリアやウィルス病などである。

そこで、土の浄化の進展具合や養分供給度(循環量)を知る必要があります。作物や土壌の硝酸濃度を調べる以外にも、土の状態を知る目安になり、転換初期でも栽培容易な、指標作物と呼べるものを育ててみます。
 指標作物:
ハクサイ: 最も虫が付きやすく、根が深くまで入るため土壌中(深部まで)の無機態窒素(硝酸態)の減少具合を知ることができる。これに虫が付かなくなれば、ほぼ浄化が終わったと考えて良い。
サツマイモ: 汚染地でもそれなりに育つが、痩せ地でも育つ吸肥力が災いし硝酸、腐敗成分、堆肥成分(畜糞臭)などの不味い成分、悪臭成分を吸収・蓄積し、味や臭いが極端に悪くなる。逆にみれば、土の良い香りを満喫するには最適の作物。
ニンジン: サツマイモと同様に清浄度を正確に反映する。養分不足が重なれば野生化(芯が太くなり、スジ、アクがある)。
ダイコン: 肥沃度を知るのに適している。比較的汚染に強いが、養分不足に弱い。養分不足では成長が遅く、すが入ったり、硬くなり煮えが悪くなる。センチュウにより肌(根の表皮)が荒れる。
トウモロコシ: 養分量に敏感で量に比例し草丈が決まる。スイートコーンの実の食害程度で汚染度が分かる。重度汚染なら種実まで食べる。軽〜中程度では毛(雌しべ)だけ食べる、汚染がなくなれば全く食べない。

大量施肥のために高度に汚染された土でも、無機肥効成分を有機化(生物化)することで浄化できます。しかし、もっと厄介な汚染があります。特にプロ(農業者、農学者、農業技師など)に見られる頭の高度汚染(笑)。頭のリセットは土のリセットより、はるかに難しいのです。
ただ、意外なことに肥料、農薬を使いまくったプロの方が一旦気付けば、あっという間に見事な作物を作ります。逆に有機・自然農法(猿真似)経験者は、必ずと言ってよいほど、もたつきます(自然農法症候群)。
 味を犠牲にした改良種や、殺し目的の遺伝子組み換え種子は論外。在来種の保存は種の多様性からも大切ですが栽培だけを考えるなら拘る必要はありません。
確かに在来種は低肥沃度に適応できます。しかし、市販の改良された種子でも多くは問題なく育ちます。実は改良種でも無施肥の方が生育に適していて、無防除でも育つのがその証拠です。

「改良種は化学肥料と農薬を使うように改良されているから自然農法では育たない」というのは間違い。「植物は有機成分を使えない」が施肥農業の前提、正確には「改良種は吸肥力を弱くしてメタボになり難い。過剰吸収を避け病虫害の被害を受け難くしている。だから肥沃な土地でなければ育たない」です。
 施肥農業の前提:
有機成分の吸収利用は全く考慮されず、無機肥料による高目の肥沃度を必要としている。ある意味、施肥で汚染された土でも、それなりに育つ改良種の方が強い面がある。

慣行栽培では、肥料を使うしか肥沃度を上げる方法を知らないため、農薬が必要になるのであって、農薬を使わなければならないように改良されてはいません。
また、自然猿真似農法では清浄度を保ったまま有機養分を増やせないから育てられないだけのこと「・・・だから育たない」は言い訳。種子のせいにするのは責任転嫁です。

高度に改良されている場合は例外ですが、一時的な環境ストレス(施肥・施水・防除)に対応するための情報は、種子には殆ど保存されず、発芽時には種本来の性質が発現します。しかし、保存が起きた場合は種子の肥毒と呼ばれ、情報汚染です。
また発芽後、一度でも肥料で育てると比較的短期間で、無施肥では育ち難くなります。特に初期環境が大切で、苗から無施肥で育てるのが最善です(市販の施肥苗でも多くは使える)。
 初期環境:
極度の低養分で育苗すると種子によっては一旦、全ての葉が枯れてしまうことがある。だが根まで枯れずに新たな葉を出した苗は無施肥に対する適応力が高まっている。発芽後直ぐ(代謝が盛んな時期)なら、比較的簡単に肥毒を抜くことができると思われる。

生物は環境に適応し進化しました。自然を見ても明らかなように肥沃化すれば、痩せ地に適応した植物から肥沃地に適応した植物へと植生が変化します。
進化の途上、常に養分は不足気味、過剰栄養状態は稀だったと考えられます。そのため不足には適応していても、過剰栄養に対する適応力は殆どありません。容易にメタボリック・シンドロームになってしまうのです。そして肥料たっぷりで、一旦付いた怠け癖(情報汚染)は、なかなかなくなりません。

体組織で繁殖させる、挿し木や株分け、種イモ、イチゴ苗などは、生命情報を一旦、種子という形に収斂し、無駄なものを捨て去ることができません。そのため「情報の浄化」に、それ相応の期間がかかります。無施肥・無防除で種苗の自家採取を三代ほど繰り返す必要があります。
 怠け癖(情報汚染):
でき上がった土でも有機養分の利用ができないため、成育が著しく悪く病虫害にも弱い。特にバナナは深刻、栽培種は不妊性で地下の塊茎からでる吸芽(脇芽)でしか繁殖できない。20世紀半ばまで広く栽培されていたグロスミッチェル種はフザリウム(パナマ病:カビ病の一種)によりほぼ壊滅した。フザリウム耐性があると言われ現在、世界の全生産量の半分を占めるキャベンディッシュ種も、同病(変異体)により同様の危機にある(10年以内に全滅?との予測)。
ブラジルのバナナ王の話では、25年前植えたものは未だに同病は皆無だが新たに森林を切り開き、きれいな土に植えた新しいもの(施肥量が多い)ほど被害が酷いという。施肥栽培である限り確実な対処法はない。

果樹のような永年作物の無施肥栽培への移行が難しいのは、この問題のためと思われます。怠け癖がついた成木は見た目は立派でも不健康な状態です。
しかし、原理さえ理解すれば健康な苗を作り、古くなった樹の更新をかねて転換すれば良いのです。直ちに更新できない成樹園でも土壌改良は可能。土を乾かし(空気を入れ)ゆっくり肥効成分を抜きながらバイオマスを徐々に増やす木質系資材の表面施用が適しています。
 不健康な状態:
性質(体質)自体が弱っていて、有機成分を利用できず断食状態になる。いきなり転換すると完全に枯れないまでも、古い根が枯れ全ての葉が落ち、丸裸になる覚悟でやらなければならない。

これはツケの分割払い。完済には2〜数年かかると思わなければなりません。急激な土壌改良でなくとも体質改善には断食同様のリスクが伴います。リスクの分散はできますがツケは必ず払わされます。  
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管理

 清浄度と肥沃度が相反しないのは肥を使わないからで、使わなければ作物を直接、育てていると言えません。人は養分を供給してくれる微生物を育てます。無防除の意味は、管理を虫や菌、雑草に任せることでもあるのです。作物毎の一般管理は、施肥・施水・防除を除いた慣行法に準じます。

転換後は土壌状態の変化が激しいため、それに合わせ管理も変えるのが合理的。今年うまくいったからと言って、来年も同じで良いとは限りません。
当然のことながら、肥培管理はありませんが微生物の餌のコントロールは重要です。転換初期は微生物叢が貧弱で、有機物の処理能力が劣っています。超高炭素資材(木質系チップ)以外の多投入は問題を起こします。その土地でできる雑草や緑肥作物の量と同程度を使うのが無難です。
 超高炭素資材(木質系チップ):
初期はキノコ菌が僅かしかいないため多投しても容易に分解されない。分解しなければ土壌の物理性良くなる(空隙が増える)程度で事故は起きない。

無施肥での肥沃化とは、微生物相が豊かに、バイオマス(生物量)が大きくなり、土壌物理性も改善されることですから、これは同時に有機物の処理能力が高まることを意味します。すると投入する有機物の、質や量の許容範囲が広がり、微生物による養分コントロールを容易にします。それまでは、最適な物を少な目に使うのがコツです。

質や量の許容範囲が狭い内は雑草や緑肥だけでも、残留肥料や腐敗のため濃度障害(根やけ)、整理障害(萎れ)などを起こしたり野菜が苦くなったりします。これは、“かたち”は無肥でも実質は肥栽培になっているからです。
逆に、処理能力が高まり、何を使っても何をしても、清浄度と肥沃度が保たれれば、自然に逆らっていないわけで無肥栽培。見た目の“かたち”とは無関係に自然農法です。
 水を求め根を深く張らせるには、できる限り少な目が基本。水はやればやるほど浅根化、極端な乾燥地以外での水不足は潅水(雨)が原因となることもあります。
日本のような湿潤気候地域なら2〜3作目からは植え付け(播種)前1日、植付け後2日のみ、成育中は一滴の潅水(雨)も必要ありません(たとえハウスでも)。

表層はカラカラ、心土はしっとりが理想。黒マルチで雨よけをし表層を乾かすことで微生物が活性化、団粒化も早まります。すると乾燥時でも深い地割れができず、心土は逆に乾燥しません。また、乾かせば深く根を伸ばし広範囲から水・養分を集め、更に土の断熱力も増し異常気象(天災)などのストレスにも強くなります。
 表層はカラカラ、心土はしっとり:
団粒化したカラカラの表層は毛細管現象を起こさず、深層部の水分喪失を防ぐ。潅水すると土壌が硬化し毛細管が地表まで繋がってしまう。大量の潅水は、土壌水分の蒸散量の多い地域(乾期が明瞭、乾燥地帯、低緯度など)では塩類上昇・蓄積を起こす(降雨量の多い日本では起きにくい)。転換の極初期に大量の有機物の腐敗分解の後、晴天が続くと無機態窒素などの濃縮で濃度障害を起こすことがあるが初めから乾いていれば起きない。

但し、雨期・乾期があり長期間乾燥が続く地域では作物に対してではなく、土壌微生物のための潅水が必要です。無施肥では「微生物の活動量低下=養分供給量の減少」ですから、過度な乾燥は成育遅延・減収をまねきます。
空気
 糸状菌には特に酸素が必要。水を抜き空気を与えることが最優先です。転換初期は土壌深部の通気性が悪く障害の殆どは、これが直接、間接の原因となっています。また、無施肥農法の窒素供給源は窒素固定菌群。これにも十分な空気が必要です。

先ずは「蓋」となっている表層から改善しなければなりません。乾燥や雨、潅水などによる土壌表面の硬化(気層の減少)を防ぐためのマルチ(フィルムは適度な換気を考慮)。中耕による通気性改善などが必要です。これは気温上昇期の土壌硬化現象の予防にもなります。
但し、過度な耕起・攪拌は餌を消耗します。特に低温・乾燥期が要注意です(日本なら冬)。深部まで団粒化が十分進めば、何もする必要ありません。初期は風除け、作物の支えに雑草利用という手もあり。周囲に草丈の高い緑肥作物など植えるのも一方です。
太陽
 作物は微生物からの養分供給だけで育つため、微生物の働ける温度が必要です。糸状菌は低温下でも、比較的活発に働きます。しかし、糸状菌の分解物・分泌物などを二次的・三次的に分解するバクテリアが働かないと、養分循環が滞り作物に十分な養分供給ができません。

寒冷地(期)では地温を上げるための工夫が好結果を招きます。雑草は直射を遮り、地温の上昇にはマイナスです。保温のためのマルチ、中耕、有機物の表層混ぜ込みなどが有効です。潅水には要注意、過潅水・水分過剰は地温を下げます。
熱帯・亜熱帯、乾燥地帯では逆に適度な遮光が有効。雑草などの草生栽培、有機物マルチ、密植などは直射を和らげ、地温を下げ乾燥を防ぎます。また、寒・熱、何れの場合も土の気相を増やし、断熱効果を高めることが有効です。

管理以前に、適地適作であるか“地味”を熟考しておくことも重要。「お天道様と米の飯は何処へ行っても付いて回る」わけではありません。自然の力を最大限に引き出し「努力・苦労せず」が基本。努力・苦労のエネルギーは、自然に逆らうために要するエネルギーなのです。
除草
除草  その土地に必要なものしか生えません。初期はできるだけ雑草を残し利用します。団粒化が進み土ができれば、次第に炭素固定能力の劣る雑草に変わり、必要度も落ちるため、作業性を優先し除草しても構いません。殺しの内には入りません。

草茫々にして、これが自然農法と宣うのはナンセンス。写真(右)は慣行農法の畑ではありません。これでも立派な自然農法。(上)は除草直後のレタス、収穫まで除草の必要なし。(下)のハクサイのようになれば雑草は殆ど生えない。土がむき出しでも団粒化すれば、泥はねもなくなります。

有閑期に雑草で炭素固定をするのは別ですが、作物栽培中は雑草に頼っているようでは、まだ土ができていない証拠。しかし、手間や雑草によるプラス面を考えれば、必要以上の除草は無駄、作物の邪魔にならない程度で十分です。
炭素量が豊富で糸状菌(キノコ菌)が働けば、除草剤でもある程度、分解すると考えられますが除草剤はいけません。

残滓
 可食部分以外はできるだけ畑に残します。また、たとえ病虫害を受けたものでも、持ち出したり焼いたりせず、土に還します。作物も土を作る(生かす)一員、土に還せとの自然のお告げ(仕組み)。土に還せば土壌環境が改善され病原菌や害虫は住めなくなり蔓延の懸念はありません。
残渣の多い作物なら残渣だけでも微生物の餌は足りるようになります。冷涼な地帯なら比較的容易、熱帯でも作物により可能です。
 残渣だけでも:
基本通りにやれば時間の経過と共に土壌中の炭素量は徐々に増える。腐植は減るが根や微生物の持っている生体の炭素や、それらに由来する有機成分の炭素が増えるからである。但し、転換初期はバイオマスを増やすために消費する以上の炭素の供給が必要。一定量の炭素循環を行わないとエネルギー不足からバイオマスが増えず適応力のない土になる。

虫や菌がついたら
 甲虫(成虫)による酷い食害は土の浄化がある程度進んだ証拠です。食べてもらいましょう。無防除の方が好結果をもたらします。防除しても骨折り損のくたびれ儲け(虫の餌は人の食べ物ではない)。実際に農薬などを散布すると一時的に抑えることができても、その後はかえって悪くなります。虫や菌からの刺激がなくなることによって、作物が持つ防御(免疫)機能の働きが弱まるためのようです。  
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二年目

 転換初年度は、施肥農法の残存効果でそれなりに(間違って?)採れたりもします(笑)。2年目、前年そこそこの餌も入れたし、土も軟らかくなったようだ。冬野菜も、まあまあのでき。これは幸先良さそうだ。
と思いきや・・・。春、気温が上がり適度な降雨、雑草も良く伸びている。ところが土の様子がどうもおかしい。気温上昇により微生物が活性化している筈なのに、団粒化し始めた土が再び硬く・・・?。

土の前歴により転換後3ヶ月〜1年半頃より、浄化の結果がマイナス現象として現れ、その後、土壌硝酸濃度が一定水準を下回るとプラス現象に転じます。変化があれば、何が起きても浄化の現れ。ただ、判断を誤ると前に進めません。
小食・素食
 まだまだ浄化不十分。たとえ酸素の入りやすい表層でも、発酵と腐敗が何時でも置き換わる微妙な状態にあります。確かに微生物の活性化の結果なのですが、消化不良や餌を入れ過ぎで有機物分解過程が逆転(細菌類優勢=不完全燃焼)したのです。
通気性不良(嫌気状態、心肺機能低下)はその誘因となります。土壌水分が抜けにくい季節では、若い雑草、作物残滓などの低炭素資材鋤込みは、より症状を悪化させます。浄化が不完全な内は、単に餌を与え微生物さえ増えれば良いというものではありません。この際にはEM菌などもマイナスに作用します。

代謝能力、心肺機能の低下した病人に、いきなり普通食はダメ。そして病人食(病気継続食)もダメ。病人食の多くは健康食ではあっても治療食とは限りません。病み上がりの半病人に、美食と過食は厳禁。最小限度量の素食(粗食にあらず)です。
つまり、負担のかからない質と量(低蛋白=低窒素、高糖質=高炭素、低脂質)。生き物は土の化身、原理はヒトも土も同じです。時には偏食も必要なのです。目的と意味が曖昧なまま、土に物を入れたり手を加えると逆効果になりかねません。
対処
 転換初期は有機物の処理能力が低いため、若い雑草などは少し枯らし極表層(5cm以内)に混ぜるか、地表で分解させます。無機態窒素が無くなり、通気性が良くなるまでは、登熟していない物を混ぜてはいけません。植え付けの都合で登熟を待てないのであれば、伸びない内に土に混ぜてしまいます(除草)。

高炭素資材でC/N比を調整する場合は、分解しやすい状態(堆肥化しない程度)まで処理した物を少なめに使います。
土壌の腐敗は主に嫌気性菌による作用。硬化や窒素飢餓が起きそうであれば排水改善(排水溝、高畝、再度の耕起など)による通気性の確保が重要です。中耕なども効果があります。

特に春先の気温上昇期に起きやすい逆転現象ですが、転換初期の内は季節を問わず天候急変や管理ミスなどで起き、浄化が進み循環に滞りがなくなれば起きなくなります。ただ、原理を知らないと何故良くなるのか理解できず、やったことに対する評価もできません。
但し、同じ頃に起きる栄養失調状態との見極めができないと無残なことになります。冬期(乾期)は土壌中の気相が増え、好気性で低温に強い糸状菌が活性化。除草や中耕だけでも、有機物の消耗が起きます。対処法は正反対で餌の大量投与です。
春先の異変
 ほぼ浄化が終わった転換後2年目、あるいは3年目の春先に起きる、大量降雨後の水質汚染(一過性)との見極めも必要です。これは表層部ではなく中層から深層部に貯まっていた汚染物質が大量降雨で溶出する一時的な水質悪化現象。土壌中の汚染が少しでもあると多少なりとも起きます。
ある程度まとまった降雨の3日後あたりから始まり、軽度なら虫食い。土壌の汚染度が高ければ病気の発生もあります。大量施肥の慣行農法なら生理(濃度)障害による萎れなどがみられることもあります。地下の水の流れの関係上、より低い所(下流)の方が重度です。

この現象は農耕地だけでなく広範な問題です。排水処理が不十分で井戸水を使っている古い畜産農場では、卵が腐敗しやすくなったり家畜の下痢などが見られる事もあります。暑くなる頃までには収まり、単に気候の変わり目と等閑視されがちですが人や家畜は罹病しやすくなります。
また、牧畜・農耕地帯や下水施設の不備な居住地区などでは、井戸水の硝酸濃度が一時的に上がり飲水に適さなくなったりもします。通常(高度汚染でない限り)一過性で、その後数回の大量降雨があれば汚染物質が洗い流され収まります。ただ、汚染源を無くし浄化しない限り毎年繰り返され、年を追う毎に酷くなります。  
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水田の裏作

 水田では水を耕土代わりに使うため、無施肥に転換しても特に問題は生じません。基本の深水・中干し無しでは、最大限のリセット効果も期待できます。
 リセット効果:
畑作時に蓄積された過剰無機成分、腐敗成分の洗い流し。水田時での嫌気状態による腐敗成分の好気性分解。土壌環境(湛水と非湛水)差から起きる生物相の違いによる相互の雑草の抑制など。

しかし畑作(裏作)では、不透水層(鋤床)を完全に破砕するわけにはいかず、畑としては不完全なまま使用することになります。
畑で土ができるのに通常、0〜3年かかります。これは硬盤層(不透水層)がなくなり、空気が深部に入るようになるまでの期間です。つまり水田の裏作である限り、いつまで経っても転換時と考えなければなりません。

豪雨や長雨でも確実に排水できる間隔で、排水溝(不透水層に届く深さ)を掘る。高畝。有機物は控え目にし、極浅く混ぜるなど。微生物を溺れさせないことと、腐敗を防ぐ対策が必要です。

菌類の祖先は動物と共通と言われ、その多くは酸素呼吸。一般圃場(畑)で糸状菌(菌類)が大量に死ぬのは酸欠死だけです。高等動物は、空気なしでは数分しか生きられません。水を断っても2〜3週、餌の場合なら1ヶ月前後は生きられます。下等な菌類でも長雨などで、空気(酸素)が遮断されれば一日が限度。優先度は高等動物と同じ。1空気、2水、3餌の順です。
 酸欠死:
主に溺死。蒸れなど。菌類の多くは凍結しても死なないし、多少の乾燥では休眠状態になるだけ。高温に弱いといっても地温が長時間、 45度以上になる地域は地球規模でみても限られている。
 
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その後

 まだ土壌物理性(特に通気・透水性)が十分とは言えず、微生物による有機物の処理能力や、肥効成分(主に無機態窒素)の生物化も今ひとつ。土は病み上がり状態で、まだ体力不足です。
有機物処理能力に合わせ、高炭素資材でも少なめに使う。排水に配慮し、好気条件で働く糸状菌を酸欠死させないなど、基本的な対処法が重要です。土の浄化過程で起きる、生育ムラ、虫食いをなくそうと対症療法に頼り過ぎ、基本を忘れないで下さい。
 対症療法:
時には必要だが症状を抑えるだけの処置。漢方的農薬(ストチュウ、木酢液など)の散布、EM活性液の土壌注入など、一時しのぎ的な対処法。いわゆる、有機(堆肥)農法の防除技術=施肥・施水・防除農法の技術。
一度は通らなければならない浄化現象(虫食い)
網目状ハクサイ
転換後4年経過した家庭菜園。生育不良(餌不足が原因)だからと以前の使い残しの鶏糞をパラパラと・・・。施肥の恐ろしさを思い知らされるワンショット(但し幼虫は全くいない)。

成育ムラ
転換後1年のキャベツと、2年のハクサイ(同一農場)。キャベツは、まだ虫食いが目立つ(幼虫は既にいない。ナメクジやカタツムリも消えてしまった)。
基本に忠実に従えば(繰り返しトウモロコシの残滓を鋤込んでいる)2年で、このようなハクサイができる。画像は成育途上のもの、キャベツは中玉、ハクサイは大玉が収穫できた。
 転換初期に必ずといって良いほど起きる現象に、極端な「虫食い」があります。第一関門です。慣行栽培の時より、遙かに酷い食害を受けるのが特徴です。ハクサイなど葉が網目状になり向こうの景色が透けて見えます。もし、この現象が未だ現れていないのであれば、浄化以前の状態であると考えた方が良いでしょう。
 必ずといって良いほど:
浄化法を知らなくても既に浄化されている場合が稀にある。また極短期間に腐敗硬盤層を消してしまえばこの現象は現れない(目立たない)。

この際、注意深く観察して下さい。幼虫(青虫やヨトウ虫など)が全く見られず、飛来する成虫(テントウムシダマシなどの甲虫類)だけによるものなら、土の浄化が順調に進んでいる証拠です。
この現象は土がある程度、きれいになったがまだ不十分。微生物による養分供給量も少し足りないという時に起きます。また一旦、土がきれいになったが養分が足りないからと、肥料(化学肥料、堆肥、畜糞など)を施用した場合にも現れます(写真)。

一見、同じように見える虫食いでも、幼虫がいるようなら、典型的な施肥状態で単なる「施肥障害」。施肥・施水・防除農法(慣行農法、有機堆肥農法)から、いきなり無農薬にした場合などによく見られます。土の浄化が全く行われていません。

土壌中に有り余るほどの無機態窒素があると、肥効成分の吸収抑制作用が見られます。これは過剰吸収を避ける自己防衛機能。生物の生理から考えて当然の機能です。施肥農法で施肥量を増しても効率が落ち、施肥量増に収量増が比例しないことでも明らかです。

ところが肥効成分が減り、微生物からの養分供給も、まだ不十分。このような、養分の絶対量不足の状態になると、少しでも多く吸収しようとします。すると、残っている無機態窒素の分に見合う他の成分がないため、相対的な窒素過剰状態に陥ります。つまり肥料汚染に対する防衛機能減退の結果が、異常な虫食い現象なのです。
 肥料汚染に対する防衛機能減退:
養分吸収能力の正常化。減肥状態では施肥効率、家畜なら飼料効率が上がる。ダイエットなら減食で一時体重が減っても、その後カロリー摂取量減少の割には体重が減らない状態。
土壌中の硝酸濃度を計ることで、客観的に知ることができる。施肥栽培における無機態窒素適濃度は10〜40mg/100g(乾土)。無施肥で虫も付かず慣行並み(以上)の収量が得られる土や、痩せた土手土では、その1/100前後の、0.2mg/100g程度。この両者の中間状態で起きる。

「硝酸の減少過程=浄化過程」で起きるため、通常は避けることはできません。一〜二作は全滅の覚悟が必要です。しかし焦らず、直接の被害のない緑肥栽培に置き換えれば最小限の被害ですみます。基本である、高炭素資材による「無機態窒素の生物化」を継続することが唯一の対処法です。
凸凹まだら現象(生育むら)
成育ムラ
転換後2年経過し、順調に硝酸態窒素の生物化が進んでいる。そのため、二種類(手前と奥)のレタスとも病虫害は全くない。しかし、画面の左側が極端に生育不良。
乾季のため一応、潅水用チューブを準備したが今は全く使われていない。乾季には、定植から収穫までに全く降雨が無いこともある。しかし、この状態になれば定植時以外は潅水の必要がなくなる。
1年目のキャベツと2年目のレタス
虫食いキャベツ(左上部の写真)を収穫。既に外観は商品としては並。しかし、炭素循環農法から見た品質は40点。レタスは上の写真右奥の成育良好部分の物を収穫。大きさはキャベツ並、巻きも堅くズッシリと重い。外観は文句なしだが、質は辛うじて合格点といったところか。あと1年経てば質でも90点以上は確実。
 無施肥に転換し、しばらく(大量施肥圃場や寒冷地で1〜2年、自然猿真似農法からの場合や冬のない地域なら0〜12ヶ月)すると同一圃場内でも凸凹ムラが目立ち、生育不良(成長が遅い)や病虫害、極端に葉色が薄い・葉が硬い(養分不足)、などの症状が、まだら状に発生することがあります。また、環境変化(降雨や日照、温度変化)に対する反応も一様ではありません。
「これはおかしい、やり方が間違っているのでは・・・」、しかし心配ご無用。まだら現象=回復現象=好転反応です。それなりに順調に土が変わっている証拠で、対処法さえ間違えなければ一過性です。

同一圃場内でも、微妙に土壌条件に差があり、土壌改良は一様に進みません(写真)。この時期は、好条件の所から無機成分の生物化がほぼ完了。しかし土壌の硝酸濃度は、最終状態の数倍〜10倍程度(1〜2mg/100g)。一応、虫に食われなくなりますが、野菜の質は50%程度のでき。あと一歩で名実共に無施肥状態となります。
 無施肥状態:
微生物相が豊かなら生育良好で虫も付かない。貧弱なら生育不良(養分不足)、虫は付かないが果菜類などは持久力がなく菌に冒されやすい。

条件が悪いところは、表面上の無施肥と違い内実は施肥状態のまま(土壌中の硝酸濃度測定で判断できる)。未だに無機態窒素が肥となっています。
 施肥状態:
生育不良で虫も付く。生育良好(肥効成分が十分)でも虫が付く。

この時期は無施肥であっても、土壌条件の良否から、実質的には無施肥状態と施肥状態が、まだら状に分布しているわけです。この時の「肥」は、転換以前の残留・肥効成分だけでなく、微生物相が貧弱で作物残滓や投入された資材も無機化し、肥効を発現しているとみるのが妥当。
ですから、米糠やボカシなどの無機化しやすい資材を大量に使うのは厳禁。使えば現行の有機農法・自然農法で最も多く見られる状態で、何時まで経っても完全浄化に至りません。米糠やボカシは薬と心得、緑肥混ぜ込み時の微生物活性化に、使い切るだけの極少量(10g/平米)を使うにとどめます。
資材の活用?(今を忘れないで・・・)
 「何々のおかげ」。これを裏返せば「何々のせい」。品種、種苗なども含め全ての資材に対し、よく聞きますが何のことはない単なる責任転嫁、責任逃れ。また、頭痛に胃腸薬を飲ませたり、熱が下がったのに解熱剤を飲ませ続けるのと、同等な行為をよく見かけます。
そして、そのような者は決まって何々は「効かない。ダメだ」と異口同音に宣うのです。自己中心に物事を捉え、自然農法の基本中の基本「自然が基点」ということを全く理解していない証拠に外なりません。どのような結果であろうとも、特定の「何々」の問題ではなく、自分の行為(思考)の結果です。

時には、断食や投薬、補助食品なども必要です。しかし、回復し始めれば、重湯、おかゆ、普通食へと徐々に戻したり、投薬も止めるのが当たり前。ところが「効いたから」と特定資材(方法)に拘り、何時までも使い続けて「ああでもない、こうでもない」と悩業?脳業?(笑)。問題を複雑にして、二進も三進もいかなくなっている例が多すぎます。特に効果が高い米糠や微生物資材などで、この罠に嵌ります。

もうこうなると病的。特定資材依存症?とても言ったら良いのでしょうか。「何かを与え作物を作る」これは施肥農法の思考。自然農法ではありません。裏には自己中心から来る依存心、そして不安と恐怖。
そもそも、万能資材などというものはありません。物は使いよう。どのような資材でも使い方次第で良くも悪くも作用し、「場」の状況次第で善にも悪にもなります(院内感染:日和見感染がその好例)。

土ができ上がれば餌以外、何一つ必要ありません。しかし、転換期の土壌は日々変化しています。土(土壌微生物群)に“今”どのような環境を与えれば良いのか、何が必要か。それが作物の明日にとって何を意味するのか、微生物の「立場」、作物の「気持ち」になって考えればよいのです。明日(未来)を思えば今が決まります。過去ではありません。
 過去ではありません:
過去は障害でしかない。「これを使ったら微生物が増える。これは抗酸化物質を作る。」などの結果(知識)。未来から見るために必要なものは想像(創造)力、過去に役に立ったもの(結果)ではない。よく観察し頭を使う。

人は下僕(微生物飼育係)。自然が主ということを、くれぐれも忘れないようにして下さい。
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土の履歴(堆肥は危険)
 虫食いがなくなればもう大丈夫・・・?。いえ、世の中そんなに甘くはありません。更に不思議なことが・・・。土が確実に良くなっている筈なのに「作物の味が良くならない」「再び虫に食われる」など、致命的にはならない程度の「逆戻り現象」が高頻度に見られます。これも土が良くなった証拠ではありますが少々厄介です。
 逆戻り現象:
硝酸態窒素や汚染物質が僅かに吸収されているため、軽度の虫食いや活力低下時に見られるアブラムシ、ダニ、各種のカビ病などがだらだら続く。似た現象に作物自体が弱ってしまう情報汚染があるが、これは土壌の完全浄化後でも、森林を切り開いた処女地(新開地)でも起きるため、容易に判別できる。

施肥状態では、作物に使われることがなかった土壌深部(地下、数十cm〜数m)の高度汚染により現れる現象です。耕土層(上層部)の浄化が終わり硬盤・腐敗層がある程度消えると、作物は地中深くまで根を張るようになり、土壌深部まで浸透してしまった汚染物質を吸い上げてしまうのです。
長期にわたる化学肥料、一般的な畜糞、生ごみ、落ち葉などの堆肥や、腐敗しやすい堆肥化していない生の有機物(畜糞など)の継続的な大量施用(堆積、投棄)の跡地などで起こります。

同様な現象に見えても自然猿真似農法はこれ以前。積極的にエネルギー(炭素)を補給し、浄化を行わないため土壌深部まで根が到達せず、この段階に達していません。 悩・脳業も同様。

何をおいても先ずは心土破砕。栽培サイクルの短い葉野菜中心なら、それを作り続けます。栽培期間が長い作物(果菜類など)が専門の場合は、目的の栽培作物より根が垂直に深く入るトウモロコシやソルゴなどで汚染物質を吸い上げたり、その根を枯らし微生物の餌とするのも良い方法です。
 微生物の餌とする:
慣行農法のように燃やしたり外に持ち出さず、その場に鋤込み原因成分と共に分解させる。但し重金属などの分解不可能な汚染物質の場合は例外、持ち出して処分する。

自然に対してのツケに時効はありません。耕土層のように、天地返しをして大気に曝せない深層部は、根気よく分割払いで過去のツケを払う以外に方法はありません。
その間、汚染物質の吸収・蓄積を避けるため、浄化が終わるまで栽培作物は養分吸収力が強く何でも蓄積しやすい作物(サツマイモなど)や根の深いものを避け、できるだけ根の浅いものを選びます。
 
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一難去って・・・(貪欲に)

 肥効成分もほぼ消え清浄度も上がり、微生物による養分供給も一応のレベルに(達成率60%程度)。虫も付かなくなった、日持ちも良くなり、味もまあまあ?。そして、なによりも経験を積み知識も得た。ところが・・・。これが思わぬ落とし穴。第二関門です。
 味もまあまあ?:
採れたてなら美味しいが、保存期間が長くなると共に、美味さが落ちるようではまだまだ。施肥栽培のような不味さ(アクや腐敗味)は無いが、うまさ(糖分や発酵により産生される、うま味成分)が十分ないために起きる。土はきれいになったが、未だ土が美味くなっていない。本物の味を知らない内に安易に満足してはならない。

農業は経験を元に技術体系を組み立てます。それなりにできるようになると、農業者の習 性として転換時に良かったことを、そのまま続けようとします。それが新たな障害(脳内汚染)となり進歩が止まり、中途半端な状態(生育度、生産性、内部品質)で満足してしまうのです。一旦この状態に陥ると本人は自覚できません。脳内汚染の怖いところです。

これも「拘り障害」の一つです。しつこいようですが過去に拘泥してはなりません。「答え=新たな知識、技術」は過去側ではなく、未来側に属す“もの”から得られます。地位や進化・分化の低・下位者=新しい者、知らない者、幼い者、生き物や自然など。これは「あちら(未来)からみる=地動説」と同じ意味です。これが脳内汚染の唯一の自己予防法です。
 あちら(未来):
見えない世界(後ろ)。「現在」は常に「今という瞬間=ゼロ時間」に創造されている。故に変化があり、進化(創造)がある。この世界(前)を形作る情報(設計図)は「物」ではない。物でない“もの”は物質世界には存在できず、非物質世界の未来側に在る。

過去に囚われ、既に不要になり無駄、邪魔になっているもの(資材や技術・知識)に気付いていません。既成概念は何も「施肥殺し農法」や「猿真似自然農法」だけではなく、己自身の過去の全てが既成概念として、障害要因となり得るのです。
このホームページにも細々とした転換時の注意(技術)が述べてあります。しかし転換時の、個々の技術には明確な目的があります。目的を達成した時点でその技術は不要、捨てゝください。常に変わらないのは理論(自然の仕組み=法則)であって、技術はその場(時)の状況に応じ変えていかなければなりません。

実際面では微生物の餌不足と無駄。転換が順調に進めば、バイオマスが増大し餌をより多く必要とする土になります。有機物の処理能力が高まり大量に入れても大丈夫です。投入量は生育速度と大きさ、収量などから判断します(全て慣行農法以上が目安)。
自然の仕組みを理解していない過去の自然農法では、精神論に逃避して欲張ってはいけないなどと低生産性に甘んじています。自然の仕組み(この宇宙は生き物を生かすためのシステム)に沿うためには貪欲になってください。自然農法は「殺し合い奪い取る過去の農法」と違い、貪欲になればなるほど、それが人類や全地球環境にとってプラスになるのです。

この段階になれば、微生物資材やそれを活性化する資材は不要です。適当な高炭素資材があれば、緑肥も必要なし。緑肥を作るより間を置かずに、目的の作物を作った方が資材、時間共に、より無駄が省けます。微生物の餌の質(種類)、管理作業なども単純化し、徹底した手抜きを目指します。

土地の利用効率の問題もありますが、餌の浪費を避け肥沃度を保つため、圃場は可能な限り休耕期間をなくします。餌(炭素資材)を補給しながら作物を作り続けないとバイオマスが低下します。施肥農法と違い休んではいけないのです。
やむを得ず休む場合でも餌だけは与え続けなければなりません。ニワトリが卵を産まないからといって餌を与えないなどと馬鹿な真似はしないでしょう。飼うことは微生物でも同じです。尤も作付け毎に十分入れていれば、温暖地で半年(1〜2作)程度なら、それほど痩せはしませんが。
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