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実践2

たった二年で慣行農法を超える!

実践1 ■実践2 実践3 実践4 実践5 転換 転換2 転換3 転換4 特別編(廃菌床) 内部品質
 

これが本物!光る野菜

光る野菜  「こんな野菜見たことない!」左の画像の野菜を作ったM・T農場の農場主の弁。野菜作り三十年のベテランです。この野菜(レタス、ブラジルのホウレン草=エスピナフレ、キャベツ、コリアンダー)の共通点は「葉色が明るく、艶やかに光っている」ことです。ホウレン草の陰の部分に朝露が残っています。葉全体が濡れているわけではありません。
特に、朝日に輝くホウレン草を遠くから見ると、畝全面が真っ白に光り輝き、一体何があるのだろうと不思議な光景が出現。朝は太陽光の入射角が低く乱反射が見えやすいためのようです。これなら虫でなくても一目で分かります。また、以前のフィルムカメラでは難しかった撮影も、デジカメのおかげで簡単に撮れるようになりました(何故なのかは??)。

光る葉といえば照葉樹。葉面のクチクラがよく発達しており、その光沢が特徴。日射量の充分ある低、中緯度地方の、特に乾燥地や海岸に広く分布しています。
クチクラ:
表皮細胞が分泌し、その外側を覆う丈夫な膜(Cuticulaキューティクル,角皮)。生物の表面を保護する役割をする生体物質。哺乳類の毛、甲虫や節足動物、軟体動物の表皮や殻、卵の表面など多くの動植物にみられる。主成分は甲殻類などではキチン質、植物では蝋。

この現象は、土の健康度が眼に見える形で作物に現れたものです。照葉樹のように照り輝く葉への性状変化と、転換後に現れる一連の現象とは密接な関連が考えられます。クチクラが発達し葉が丈夫になれば、寒暖や乾燥、風雨などの過酷な環境、天災などに強くなる。傷付き難く、汚れも付着し難くいため菌の感染なども受け難い。
また、明るい葉色からは、葉緑素が少なくても光合成の効率が良い。弱い光り、少ない日射量でも育つ。そのため栽培適期や栽培可能地域の幅が広がる。少ない積算日射量でもよく、栽培期間が短縮されるなどです。

波及効果として、ここ(ブラジル)では殆どの葉茎根類の通年露地栽培が可能になります。高品質、高生産性による増益だけでなく、端境期の高値販売でも増益。特に蔬菜専門の場合は、農閑期も農繁期もなくなり作業量が平均化。植えさえすれば確実に収穫でき計画生産が容易。顧客の要望に確実に応えられる。などゝ良いことずくめ。ただ、一年中休みなし ^^;。
 
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こんな見事な野菜できたことない

順調に成育中のハクサイ  M・T農場主夫妻に炭素循環農法の話をしたのは、上の画像(光る野菜)や右の画像(ハクサイ)のような野菜ができる五ヶ月前。キノコ廃菌床を本格的に使い始めた時(2008-7)です。
それ以前は、生食用トウモロコシを作り残滓を鋤込み、少しのキノコ廃菌床で野菜を作る。これを、年二回ほど繰り返しています。その間、追肥のつもりで、植物系の葉面散布剤を少し使っています。
特に、自然農法や有機農法などについて勉強したこともなく、詳しいことは何も知りません。ですから、特別なことは何もせず一応、無農薬。ほぼ無施肥。ただ、トウモロコシが土に良いということは、雑穀類などとの輪作に大々的に応用されていて、ここ(ブラジル)の農業者ならだれても知っています。それで、トウモロコシと葉野菜の輪作にしたわけです。

炭素循環農法を知った時点では、まだ病虫害や成育むらが酷く、浄化が急激に進んでいる真っ最中。これで良いのかと迷いながらも続けている最も不安な時期だったのです。それから、たった五ヶ月。「こんな見事な野菜!初めてだ」「今まで、できたことがない」と作った本人が驚く、急激な変化。
兎に角、あっという間。苦労も努力もしている暇なんかありゃしない。気が付いたら慣行農法を超えていた。無施肥に転換後、僅か二年です。「自然が命を生かす仕組み」に逆らわない農法の、これが実力。自然の理に従うということは、このようなことなのです。気休めにしかならない哲学や精神論など入る余地は何処にもありません。

一作毎に、土にも野菜にも、はっきりとした違いが現れる。長年、野菜を作り続けているが初めてのことばかり。毎日のように、新しい発見があり畑を見るのが楽しみ。自信を持って人に食べてもらえるのが何よりも嬉しい。農業がこんなに楽で、楽しいものとは知らなかった。今まで俺のやっていたことは、一体何だったのだろう。時たま来る、農業技師などの驚く顔を見るのが愉快 (^^)。これは、炭素循環農法に転換した者から、異口同音に発せられる喜びと感嘆、驚きの言葉です。野菜に負けず劣らず、実践者の顔も輝いています。
 
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栽培の実際

S.M 畝と直播苗  廃菌床の使い方も簡単。前作の収穫後、直ちに厚さ1cm(約10ton/ha)ほど撒き、残滓と共に軽く土と混ぜます。更に5mm厚に表面を覆い(約5ton/ha)、直ちに定植。あるいは播種後に廃菌床を撒きます。この表面施用はマルチ効果もあり、初期成長が一週間は早まります。乾燥を防ぎ発芽率が上がり、斉一性が非常に良くなります。

左の画像の上は直播したルッコラ。下の右端が廃菌床を混ぜた畝。中央は表面を覆った状態。左端の緑は収穫中。このように、一日でも無駄な期間を開けないことが、時間と餌の浪費を無くします。土壌改良が早まるだけではありません。一作毎に着実に雑草が減ります。除草の手間が大幅に省け直播を容易にします。

直播は省力的であるだけでなく、苗の都合を考えなくても良いのが最大の利点です。廃菌床の上面施用による保湿と養分供給効果は大きく、直播後の成長は極めて早くなります。定植時の成長遅滞もなく、本場を育苗に使っても最終的に収穫期の遅延は起きません。但し、気温上昇を待って作付けする寒冷地では、事前に苗を準備する必要があります。
作物残滓の腐敗が起きないため、耕起後に分解期間をおく必要はありません。とにかくできる限り畑を休めないこと、収穫当日、翌日には定植、播種するくらいのつもりでやることです。
 
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特別な土地ではない

団粒化した軟らかい土  ここは熱帯性ラテライト土壌。ラテライトの語源は日干し煉瓦。ミネラル分が溶脱し、鉄分が残り赤くて、痩せた酸性土壌。重粘土質で、乾けば鍬は跳ね返され、雨が降れば靴に泥がズッシリとまとわりつきます。勿論トラクターは入れられません。語源通りで、もし練り堅めればツルハシでも数センチと入らない厄介な土壌です。

それが今では、雨後直ちにトラクターを入れます。靴に泥がつきません。右の画像のレタスの根のように、細根も切れずに簡単に引き抜けます。着実に団粒化が進んでいます。
風が吹いても土埃が上がらず、豪雨でも泥跳ねがなく、土も流れません。下の画像の土地は、右から左、奥から手前に傾斜になっています。前日の激しい雷雨で通路のタイヤ跡はほぼ消えていますが畝の土は全く流されていません。

転換初期にレタスなどの葉野菜が良いのは写真のように、地上部に比べ地下の有機物量が多いこと。そして、栽培期間が短く単位期間当たりの餌=作物残滓や雑草、廃菌床の投入回数が増えることです。特に有機物の処理能力が低い転換初期は、同量の餌でも回数が多い方が好結果が得られます。

二年間、葉野菜だけを栽培していましたが最近、根菜類も始めました。センチュウによる肌荒れもなく、これは最初から慣行農法を超えています。もう暫くしたら果菜類も始める予定とのことです。
 
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焦らない

緩傾斜地形  栽培期間の短い葉野菜だけのため、ここ五ヵ月間で2haの圃場全面に2〜3回廃菌床を入れています。このまま続ければ、60〜90ton(15ton×4〜6回)/ha/年(10〜15tonC/ha/年)。という大量の木質資材の投入です。
森林の炭素固定量は1〜5tonC/ha/年。両者の中間値の計算で、森林の約4倍の炭素量。生産性は炭素循環量に、ほぼ比例します。これが森林の生産力を遙かに上回る理由。二年で慣行農法を超えた理由です。
また、環境保全力は生産性から負荷分を差し引いたもの。負荷が殆ど無いため保全力も森林以上になります。

こんなことなら「もっと早くから廃菌床を大量に使えば良かった」と農場主は言います。しかし、最初に少ししか使わなかったのが良かったのです。もし最初から大量投入したら、土壌環境が悪い上に、微生物相が貧弱で処理し切れず腐敗を招きます。そのような例が実際にみられます。
何も知らずに実質的な無施肥栽培を始め、トウモロコシで土壌深部まで、ある程度浄化が進んでいた状態での大量投入が功を奏したわけです。

ボールが来ないのにバットを振り回しても意味がありません。何事も「時」が来なければ空振りに終わります。準備万端整い、炭素循環農法と出会い廃菌床の使い方を知る。そして、廃菌床も大量に入手可能になった。何とも絶妙なタイミング。
これは神様の粋な計らい?。焦ってもダメ。餌の大量投入も感謝も(^^)、このようになってからするもの。精神世界症候群?のように、その時が来ないうちから感謝しようとする矛盾したやり方では、得るものも得られないことになります。
 
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低地はもう一息

地下水の流れ  上の写真のように、地形は全体が一方(北西方向、北半球なら南西。直射が強く乾燥しやすい)に傾いた緩傾斜地。高い方は何の問題もなくなりましたが最も低い場所はまだ良くなりません。長年の施肥栽培で地中深くまで硝酸などの汚染があります。土が良くなり雨水が浸透するほど地中の水の流れが、その硝酸を低地に集めます。

その低地でも、生育前半は何の問題もなく育ちます。かなり深いところまで浄化が進んでいる証拠です。しかし、根が土壌深部に到達する後半になると、右の画像(ハクサイを鋤込んだ畝)のような結果になります。虫の餌は直ちに土に還す。これも基本。でも、ここまで来れば、もう何が起きても平気。先がはっきり見えています。

その面積も徐々に縮小。残すところ、圃場全体の一割ほど。大量降雨期の夏期は浄化が早まります。この一夏で、ほぼ浄化が終わると思われます。三年以内に全面積、完璧な状態になるでしょう。
 
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どんな種子でも使える

リーフレタス  アメリカのサブプライムローンに端を発した世界規模での減速経済。これは物質至上主義(唯物主義)の経済の終焉を告げているようです。物の世界と心の世界が一つになるための浄化作用の始まり。2008年は節目の年です。自然農法への関心の高まりも、その流れの一つ。まあ、それはさておき、思わぬところに影響が現れています。

 ここでは欲しい種子がないのです。外貨高騰、入荷減少、大規模栽培者による買い占めなど。近くの種屋から評判の良い品種の種子が消えてしまいました。非力な一般農家は、自由に種子を選べません。

不味い、作り難い、時季外れ。とにかく、あるものを何でも蒔くしかありません。ところが、それを実際に作ってみると美味しい、作りやすい、多少の時季外れなど関係なし。転換以前とは全く様子が違います。不味いと評判の品種はDNAのせいではなく、土が不味かったためのようです。

それぞれの品種が持つ特性が際だち、短所が長所に変わっています。例えば、養分吸収力が強い品種は土壌中の不味い成分も大量に吸収し不味くなります。土が美味くなれば、美味しいと言われる品種より味の変化が大きくて当然です。
まるで味がなく、紙を食べているようだったリーフレタス(左画像)も、甘みのある美味しい紙になりました^^;。柔らかくなりますが食感は余り変わりません。肥効成分以外を余り吸わないため、不味い成分も美味い成分も少なかったのだと思われます。
 
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畑が空(成育が早い!)

 キノコ廃菌床を本格的に使い始めて1年9ヶ月(転換後約2年半:2010-2)。ノアもびっくり?の、数十年に一度という連日の豪雨(連続47日間、その前後も降り続く)。慣行農法では最悪の異常気象。しかし、餌を十分入れた結果バイオマスが著しく増大、雨水が全て浸み込むようになり完全浄化まで、あと一歩のここでは、土壌深部(現在、深さ1.5mまで団粒化している、更にその下)の汚染を、きれいに洗い流してくれる“うれしい”雨なのです。

雨期のダイコン この時期にダイコン(写真右:播種後40日目)は難しく、まだ一部に少し肌荒れ(黒い横スジ)がみられます。でも、この太り具合なら約2週間後(播種後55日)には収穫適期です。

ルッコラ 真夏のしかも、この悪天候時にルッコラ(写真左:直播後28日目)など、慣行農法では誰も作り(でき)ません。ところが、これも何の異常(病虫害など)もないばかりか、予想以上の成育速度です。
 バイオマスが著しく増大:
USP(サンパウロ州立大学)農学部の土壌微生物研究の第一人者、エルゲ教授による土壌分析では、標準的な施肥栽培圃場に対して全窒素は1/2と少ないが、バイオナスは15倍。そして、窒素固定菌が9倍という結果である。

 予想以上の成育速度:
予想以上なのはバイオマスの方である。想像はしていたものの、これ程までとは・・・、土壌分析の結果からみれば至極当然の成育速度である。

しかし、喜んでばかりはいられません。大雨で慣行農法の野菜が腐ってしまい、野菜市場は極端な供給不足。
少々「小さくても」と、息子さん(野菜の卸、小売り業)が何でも持って行ってしまい、畑は空っぽ状態。もちろんキッチリ、餌(廃菌床)だけは入れ続けていますから、特に問題なしですが。

ところが巷では、ちょっと不思議?な珍現象が起きています。最近、極端に不味い野菜が市場から消えてしまいました。結構な話なのですが ^-^ 、こんなことは初めて。例年、夏場の高温多雨期は、最も野菜の不味い季節です。
100%近くが路地栽培のここでは、あまりの悪条件(大雨)のため、一定水準以上の土壌状態でなければ、全く野菜が育たないためのようです。農薬味も減っていますから、多少農薬散布回数を増やしたところでダメということでしょう。

よく異常気象、天候不順で減産と騒ぎますが、入荷量減は単に「虫の餌」が減っただけのこと。自然の自浄作用(免疫機能)が正常に働いただけ。本当は“ありがたい”話なのです。
自然は厳密な法則でしか動かず、絶対に誤魔化しはきゝません。現在のような地球規模での異常気象も同様な作用をもたらします。しかし、それが全面的に起きてからでは遅すぎます。

市販苗と市販育苗土混合の苗 まあ、何れにしても想定外の、ありがたいでき事ではあります。しかし、困ったことに苗作りが間に合いません。
仕方なく、市販のレタス苗を買ってはみたものの、見るも無惨(写真右の左側)。一部が溶けています。

更に、少しでも苗を大きくして成育速度を早めようと、転換以前に使い残した市販の育苗土を少量混ぜた、自家育苗ハクサイ(写真右の右側)は、不揃いで虫にも少し食われています。 当然のことながら施肥害です。これは、あくまでもテストですが焦りは禁物。「急がば回れ」です。
 
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3年経過(これが標準)

3年目のハクサイ  これが自然。これが標準です。有機栽培で最も難しいといわれるハクサイ(写真右)が、あれから1年でこのように変わります。
大きくなり過ぎないよう、慣行の1.5倍ほどの密植(栽植密度6250株/10a)です(慣行栽培:3000〜5500株/10a程度)。同じ目的の密植でも結球レタスの場合は、小さくならずハクサイのような縦長になり具合が悪いとのこと。

四の五の言わず、ただひたすら空気と餌を与え続けた結果です。これ以下の進捗状態では何処かに問題があります。その多くは脳内汚染。本物(真)の自然農法は単純・明快。こうなれば理屈なんてどうでも良いのです。

ところが、世の中には面白い人がいます。「科学的根拠は?」と問うのです。???・・・あべこべでしょう。事象(自然)が先。その説明が科学。科学が「有ろうが無かろうが」実際に起きていることです。

自然あっての科学。それ(起きていること)を説明すれば、聞いただけで「誰でも何処でも何時でも」再現できる。これこそが科学。「炭素循環農法などというものはない」単なる「自然の説明(科学)に過ぎない」と繰り返し述べている根拠は(笑)ここにあるのです。
土壌分析 充足率 でもまあ一応、後学のために調べてみました。知りたい人もいるでしょう。左図の高低の指標目盛り(y軸)は「施肥栽培時での充足率」を表しています(詳細データはこちら)。

僅かしかP,Kを含まない高炭素資材(廃菌床)を入れているだけなのにP,Kが多めです。施肥栽培でのP,K過剰は有害(収量低下や病害発生)と言われますが、無施肥では問題ありません。

転換後2年より3年の方がP,Kが増え、全体の養分バランスも良くなっています。これは土壌中の無効化していたP,Kを、微生物が有効化(利用)した結果です。数値は単にそれを表しているに過ぎません。
養分バランスは「とるもの」ではなく、土壌改良により結果的に「とれるもの」。無施肥栽培では土壌分析の、意味も必要性もありません。作物が「無防除=健康」に育ちさえすれば文句なし。論より証拠、結果が全てです。
  P,K過剰:                   
 過剰蓄積圃場の割合 リン酸 カリウム       
 水田(全国)     53%  29%        
 普通畑(北海道)   37%  70%        
(農林水産省 土壌機能モニタリング調査 1990-2003) 

 
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4年経過(・・・)

 圃場の何処でも400cm前後、棒(検土杖:先端径22mm)が刺さります。もう、何も言うことなし。とは言え、見えないところ(土の中)が、どうなっているか気になります。というわけで、バックホーの腕が届くところ(140cm)まで 2個所(丘陵部及び丘陵部と低湿地の境目付近)を掘り、20cm間隔で調べてみました(2012-8-21)。
      深さ cm     pH     貫入抵抗 MPa   硝酸態窒素 mg/100g   水分 %
               (平均) (最小〜最大)   (最小〜最大)   (最小〜最大)
      0 -  80    5.9       3.2〜12.0        2.5〜5.0        22.0〜
    100 - 140    5.2       2.8〜 6.0        2.5〜5.0              26.0
* 分かりやすいように、変化の大きい80cmまでと100cm以深に二分し整理。
* 土質(低地=泥炭が混じり軽質、丘陵地=典型的なラテライトで重質)。
* 貫入抵抗は「山中式普及型土壌硬度計」による(MPa=メガパスカル)。
* 検土杖 先端径22mm(体重60kgの場合1.6MPa)。
* 乾季で一ヶ月以上降雨なし。そのため20〜40cmが異常に硬い。常に表層からの物理的影響を受け空隙が少ないためか?。
* 表層10cmはカラカラ、サラサラ。40cmは硬くカチカチ。地表からの検土杖貫入深度は、丘陵地=10cm,低地=30cm。
* やむを得ず、穴の底(140cm)から貫入深度測定(過去の測定では:転換2年で丘陵地=150cm,低地=300cm)。
* 根は2個所とも深度140cmで確認できる(検土杖が入る400cmの深さまで根あるいは菌根菌が到達していると思われる)。
* 硝酸態窒素は乾燥で微生物が死に分解されたためか常(0〜2.5/mg/100g)より多い。
* 意外なことに水分は各深度とも大差はない(重量比のため?)。実際の水分量(絶対量)は深いほど多いと思われる(握った感触では)。容積比で比較するべきか?。
* 100cm以深の水分は300cm程度まで均一のようだ(検土杖に付着する土から推定、300cm以深はかなりベタついている)。

土壌硬度及びpH
この辺り一帯の土壌ペーハーは 5.0±0.3程度。転換4年で80cmまでが明らかに上昇しています。100cm以深は未だ変化していません。硬さも、極度の乾燥のため80cmまではバラツキが大きく、100cm以深は柔らかくバラツキも僅かです。

山中式土壌硬度計で貫入抵抗3MPaでも、根や微生物が働いていれば検土杖(1.6MPa)が容易に貫入します。極度の乾燥で硬化していても、土の粒子の結合強度には、その割には変化が少なく、一定以上の力を加えれば土が動きます。

そして、サラサラ層の下(深度40cm)の貫入抵抗が最大(12.0MPa)の所でも、根は貫通しています。乾燥のため全体は硬くても、既に穴だらけになっているからです。

また単に、土が軟らかくなっているのではありません。通常、穴を埋め戻し心土が上になると生育不良(養分不足)を起こします。ところが次作の成育に全く影響が見られません
自然(作物)が基準。つまり、400cmまでは作物を育てることができる実質的な耕土、それ以深が本当の心土なのです。
実質的な:
通常の土壌調査は深度100cm(日本)〜200cm(米国)までしか調べない。土が生物的作用を受けていない、実質的な心土に達するまで調べる必要がある。

やはり、見える所も気になります。転換後、1年半後から3年間(2010〜2012年)の出荷実績を調べてみました。よくもまあ・・・です。
過乾燥の土壌状態  更に2ヶ月ほど経過(2012-11-01)、65日間降雨ゼロを記録(約60年ぶり)、その前後も雨らしい雨が無く、通算4ヶ月ほどの異常乾燥(例年の約2倍)。おかげで、非常に珍しい現象が見られました。

気相中の相対湿度が低いため、深さ10〜25cmのサラサラ層や廃菌床の表面には青カビ(菌糸は白い)が生えています。青カビが作物に害を与えるわけではありませんが菌床表面が乾き、相対湿度100%を必要とするキノコの菌糸は伸びられません。
キノコ菌糸が伸びられなければ、乾燥に強い青カビが優勢になります。地表から10cm程はカラカラで青カビすら生えていません。こんな事は転換後初めてです。

収穫直前というのに、青カビでは硬い木質資材を分解できないため、定植前に投入した廃菌床が殆どそのまま残っています。通常はキノコ菌により分解が進み土との見分けが付きません。それでも成育は、ほぼ順調、前作以前の投入分で足りているわけです。

これ程、乾燥しても灌水は、定植(播種)前と定植(播種)後2〜3回(前後3日ほど)のみ。さすがに購入したハクサイの苗(施肥苗)が一部、枯死したり生育不良(外観上はネコブセンチュウの害)になりました。これも無施肥の自家苗なら問題ない筈です。
 気相中の相対湿度:
極度に乾燥しない限り、土壌中の水分量に直接関係なく相対湿度は100%。

 
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知ってしまった以上・・・

「空気を耕す」土は何処まで変わるのか?(2014-8)
ATP
調査風景(2012-11)。右上:慣行施肥とでは2桁もの違いがあるATP値。
土壌構造
高度に発達した団粒化層(1)〜(3)。各層とも前回調査時より数cm程深くなっている。
炭素資材施用区の(2)(3)層は乾期のためガチガチだがスカスカ。切断面は滑らかだが剥がすと団粒構造であることが分かる(拡大像)。根はこの層を容易に貫通し更に下層まで分布している。
 ガチガチだがスカスカ:
山中式土壌硬度計で30mm以上=50〜100MPa メガパスカル(慣行栽培での根の伸長可能限界は土質や含水率にもよるが10MPa前後)。硬度が一桁違っても空隙が大きく、その率も高い。空隙率は(2)50%,(4)45% 対象区(隣接農場の休耕地)は(2)(4)とも10%(2012-11)。
団粒の崩壊に伴う脱色現象
施用区(右)の(2)(3)は腐植により全体が黒色化している。それが無施用(左)で一年半経過した試験区では、腐食が分解され団粒崩壊?、「まだら状」に脱色が起きている。粒単位(拡大画像)で分解、脱色が起きるため本来の土の色(↑印の明るい黄色部分)の中に、まだ腐食の分解(団粒の崩壊)していない黒い粒が混在。崩壊跡は柔らかく単なる後戻りではない?。団粒化の次の段階??。
 「見なかった知らなかった」ことにしよう(笑)という科学屋さんは別として、実際に起きていることを説明するのが科学者の役目。知ってしまった以上、研究者は説明(学術的手法による)しなければなりません。というわけで、日本の土壌学の専門家などによる土壌調査(1回目:2012-11-19〜24、 2回目:2014-8-13〜28、 3回目:2015-3-24〜4-07)が行われました。

日本のある無施肥栽培圃場で40年かかって、耕土層の下に大粒な団粒層が厚さ5cmほどできたそうです(無施肥以外では見られない稀な構造)。ところが此所では6年(2回目調査時)で約50cm(右,中下画像:土壌断面の(1)〜(3))。理論の無い無施肥栽培に比し厚さ数倍、形成期間は数分の一、実質50倍前後のスピードです。
 ◆調査結果(論文)中塚博子 田村憲司 筑波大学
Geoderma 269 (2016) 54-60「Effects of fresh spent mushroom substrate of Pleurotus ostreatus on soil micromorphology in Brazil」(英文 有料)。
更に詳細は「高収量自然栽培圃場の土壌微細形態学的特徴と土壌品質評価」(問い合わせは本人へ)。

また、土壌中のFree ATP値(過去にあまり例のない調査法)では、日本の何も入れない無施肥に比し1桁、慣行施肥とでは2桁もの違いがあるとのことです。
 ◆調査結果(論文)小田正人 JIRCAS国立研究開発法人国際農林水産業研究センター
電子ジャーナル AS誌 「Agricultural Sciences, 5, 1172-1181 英文 Application of High Carbon:Nitrogen Material Enhanced the Formation of the Soil A Horizon and Nitrogen Fixation in a Tropical Agricultural Field.」
【ダウンロード:日本語熱帯農地における高炭素:窒素比資材の投入は土壌A層の形成と窒素固定を促進する.docx
たんじゅん関連資料(共進化 Co-evolution 応用農業)「植物と菌類の共進化を応用した炭素駆動型農業.pptx」

 ATP(アデノシン三リン酸):
生物体で用いられるエネルギー保存および利用に関与している。すべての真核生物が直接利用し、生体の物質代謝における重要性から「生体のエネルギー通貨」とされている。生体外に放出された遊離ATPは、短時間に消失するとされ微生物の代謝量を図る指標になると考えられる。通常、医療施設や食品加工現場での細菌による汚染度を知るために測定、応用されている。

 第一回調査後、高度に土壌改良が進んだ場合の最終的な必要炭素量を知るために、完全な炭素資材無施用区を設けています(4年経過 2016)。無施用でも肝心な生産性(慣行施肥の2.5倍)の低下はみられません。
生産性の一例(廃菌床使用 レタス 2014-9-16):( )内は対慣行比
  湿重量kg/ha 乾物率% 乾物量/kg/ha
M・T農場 40,089(1.54) 6.75(1.65) 2,704(2.53)
※慣行施肥 26,030(1.00) 4.10(1.00) 1,067(1.00)
※ 湿重量=最近10年間の平均値(日本 2004-2013)
出典:湿重量=農林水産省大臣官房統計部『野菜生産出荷統計』、乾物率=五訂食品成分表より算出(水分95.9%)

乾期のための水不足で周辺の農場では植え付けできない所もあるという厳しい条件(2ヶ月半の試験栽培中の降雨量合計 165.8mm)の下で無施水(定植時に1回だけ潅水)。

乾期で無施水のため乾物比が慣行の1.65倍もあります。他の時期はもう少し水分率が高い=湿重量が大(高収量)で乾物率は低いと思います。これは、「みずみずしさ」は品質の指標ではない。慣行物は「みずみずしい」でも実態は「水ぶくれ」の水増し野菜ということです。

また炭素資材無施用では、投入時(悪条件下で)の一時的な腐敗もなく、糸状菌が作り出す団粒化に寄与する糊状物質の過剰と思われる乾期の団粒化層の硬化現象も軽減(右下画像:団粒崩壊?)されます。
この一連の現象(硬化、崩壊、脱色、障害軽減など)は団粒化は浄化途上の中間状態であり、まだゝ先がある?ということのようです。
 糊状物質の過剰:
耕土層の下にできる大粒の団粒層(2)(3)が乾期になると糊が乾いて固まり、団粒や団粒同士の結合が非常に強固になって硬化する。しかし、雨期には土壌構造はそのままで全体が柔らかい。腐敗硬盤層ができる位置だが全くの別物(生成過程も構造も違う)。

現時点(2014)では、この段階(糊状物質の過剰、無施用でも2〜3倍の生産性)に達している所は他には無いでしょう。1年以上にわたる無施用はあくまでも土のでき方(土壌構造変化や継続可能性など)を探るための試験(要注意:まだ真似をしないで下さい)。十分団粒化した後の無施用でないと単に後戻りするだけです。

これとは別に生産性や土の変化を見ながら、2013から全圃場の廃菌床の投入量を転換初期の2/3以下に減らし、2014年の調査後からは投入量ゼロ(2年経過後での生産性に変化無し 2016-10時点)。
ここまで土が変わると、地表から下、数十cmの約半分は空気、ということは空気を(も)耕している。「土作り(環境整備)=空気作りとも言えます(参考:空気を耕す典型例木木ハウス)。
夢想だにしなかった「空気作り」。こんなことがあるから永続可能な必要最小投入量を理屈(過去の経験値)だけでは安易に決められないのです。
 
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過ぎたるは・・・(微生物の過剰活性化)

 空隙が多く、地表を一滴の雨水も流れない通気、通水、保水性抜群の土では、普通(例年の気候)なら土壌中の酸素量、微生物の活性度に急激な変化はありません。それぞれの深さで酸素量の違いはあっても、その酸素量に応じた活性度になっています。

ところが近年は異常気象が常態化?、天気は気まぐれ。実質4ヶ月ほどの干ばつの後は、2ヶ月間(2013-1〜2月)連日の雨々。この間、降らなかったのは3日ほど。それでも特に問題は起きていません。しかし、これだけ降り続くと幾ら水捌けが良くても徐々に液相が増えその分、気相が減ります。

干ばつや長雨があっても土壌中の変化が緩慢なら構いません。ところが晴れ方が悪かった(笑)。いきなり2週間ほど降雨無し。その途端、一気に水が抜け気相が増えました。悪いことに干ばつと長雨で、微生物の活動量が落ちていた土壌中には、分解し始めた有機物が大量に残っています。しかも季節は高温期。

常に十分酸素の入る表層部(20〜30cmのサラサラ層)は変化なし。問題はその下、大量の酸素が一気に入り爆発的に微生物が増え酸素を消費、結果的に極度の酸欠。
要するに、通常なら酸素の需給バランスがとれている中層部(たんじゅんの場合)が過剰発酵、蒸れて微生物の大量窒息死。そして腐ったわけです。  
何時でも湧いて?出る
 微生物の過剰活性
 いきなり圃場全面、虫(ヨトウ)の大発生(17-c,g ハクサイ1株当たり10匹ほど)。写真は天候急変から2週半(過剰発酵から2週間?)、虫は一斉に産卵・孵化したとみられ皆同じ大きさ(中くらい)。
他にも画像(17-g,h)のような、施肥栽培では極普通に見られる虫も現れました。特に蛾はかなり大量にジャガイモの葉裏に隠れています。
ヨトウが嫌いな?レタス(17-a)は食われていませんが養分バランスの崩れ(ホウ素欠乏)や菌害(17-d,e)が見られます。
 蛾:
普段、幼虫は全くいない。腐敗臭や葉の性状変化?で周囲から集まってくる。
 ヨトウが嫌いな?:
腐敗が酷ければレタスでも食べる。ヨトウだけでなく、より多くの種類の虫に適した餌(作物)になる。
 養分バランスの崩れ(ホウ素欠乏):
特殊な土壌でない限り養分自体の不足はない。慣行農法で見られる不足症状は、腐敗による吸収阻害作用である。
 菌害:
病害菌は何時でもいる。しかし、全ての菌は日和見的性質を持ち、健康なら感染・発病はせず、弱った時に感染・発症する。

食害・菌害は転換2年目(現在4年半)頃から滅多に見られません。しかし、必要なら何時でも湧いて?出ます。症状は多様でも原因は一つ、腐敗そして浄化。
 必要なら何時でも:
浄化の結果としてのモノカルチャー化=無防除では生態系の恒常性を保つ機能を破壊していない。腐敗が起きれば即座に、免疫(浄化)システムが働き正常化する。ここ(南回帰線上)では真冬でも暖かい日にはホタルやトンボが飛ぶ。害虫は「施肥農法の作物=虫の餌」が常に豊富にあるため、発生に明瞭な季節性はない。
 原因は一つ:
世界的にみられるトビバッタなどの異常発生(飛蝗現象)も、規模こそ違え原理的には同様な浄化作用。

特に雑草の多いこの季節にしては畝や畝間も、畑の中の道路もいやにスッキリ、風通しが良くなっています。実は最大の被害者は雑草。
画像(17-i)は畑から10m離れた道路沿い(食害無し)、画像(17-j)は畑の中の道路沿いの同じ雑草(葉が食われ茎だけ)。下(17-k)は畝間(短いのは食べ残された硬い茎、全く食べない雑草もある)。
雑草は品種改良されていない分、腐敗に弱いようです。尤も、施肥や除草剤で鍛えられたら直ぐに強くなりますが。

良く見ると同じ虫食いでも普通の食われ方と少し違い芸術的?。外葉はレース状でも新葉は全く食われていません(17-f)。既に腐敗が無くなった証拠。しかし、定植時に弱り活着前に根元から切られれば終わり(17-b)定植は暫くできません。

また、畑から10mほど離れれば特に異常は見られず、単に急激な天候変化だけでは説明つきません。実は、本格的に雨が降り出す前に圃場全面を、60cmほどの深さにサブソイラーを通し、干ばつ時の調査で極端に硬かった40〜60cmを壊しました。これが特異的な過剰活性化の主因です。
 
あっけない結末
 そして1週間経過(天候急変から3週半)虫は消え?、キャベツを定植しても切られません。順調に育っていれば蛹化する頃。気付いた時には死骸もサナギも無し、圃場周辺にも見当たりません。何とも、あっけない結末。
 順調に育っていれば:
ヨトウ虫の繁殖サイクル:卵4日 - 幼虫(ヨトウ虫)19日 - 蛹14日 - 羽化・成虫(ヨトウ蛾)2日 - 産卵 ・・・。

作物が虫の餌から人の食物に変わり、それを食べれば腸内で発酵し虫は死にます。高温多湿期、土の中で昼寝している間に速やかに分解されてしまった?。のでしょう。虫はパッと湧きパッと消え、実質的な活躍期間は2週間。派手な割に被害は軽微、芯は食われていないためにほぼ回復。古い葉の食害痕がなければ一時の悪夢。

まあ、こんなこともあるのです。手抜きが基本、やることがなくなったからといって(笑)余計な手は加えない。土壌改良が一定段階に達したら、急激な変化を避ける。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」。
対処法は「放置」。このような過剰発酵は、特殊な条件下で極稀にしか起きません。それでも心配ならフィルムによるマルチなどで畝を濡らさない。雑草対策にもなり簡便で効果的。

尤も、再発はないでしょう。理由は簡単、腐敗した部分は適度に硬くなり破砕前の状態に戻っている筈。戻れば急激な変化から中・深層部を守る皮膚の役目を果たします。水田では水がその役目をしています。  
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潅水は呼び水だけ

 今は乾期(2013-9 転換後5年経過)、雨は1ヶ月前に2mm、2mm、1mmと3日降っただけ、生育期間中はどんなに照っても無潅水です。(要注意: 但しこれは土ができ、土壌深部=メートル単位まで根が伸びられる様になってからの話、水の供給体勢が整わない転換初期にこの真似をしてはいけません。)作物が必要とする物は養分同様、たとえ水でも直接与えません。人が水を与えれば肥料同様、邪魔者(物)として作用、人は水の供給できる環境を整える=土壌改良だけで良いのです。
播種後の潅水風景
ただ、播種(定植)時だけは別。画像(右)はカラカラに乾いた畝に播種・潅水、大きなジョーロ?を載せたトラクターがゆっくり走ります(500Lタンクで100m潅水)。

潅水は数p巾で播種(定植)位置のみ。スプリンクラーなどによる全面潅水の1/10(2条)〜1/5(4条)と大幅な節水。浸透する深さは、土がカラカラだと1〜2cm、少し湿っていれば2〜3cmほど。
 大幅な節水:
1回当たり(4条蒔き)30ton/ha=3mm。年間降雨量 1400mmの0.2%相当(Suzano-S.Paulo)。これは慣行のハウス野菜の1日使用量(2.0〜7.2mm 野菜園芸ハンドブック)より少ない。

回数は発芽するまで2回、発芽後1回(苗の場合は定植前1回、定植直後1回、乾燥が激しければもう1回)。何れも3回まで、その後は一切潅水しません(潅水設備がない)。
 その後は:
ここの慣行露地栽培では最低でもこの100倍前後使う(1回量3倍 x 2日に1回、35日として)。亜熱帯の乾期(冬)は空気が澄み乾燥し太陽の直射も強く更に倍。雨期でも雨が降らなければ潅水、半量程度は使う。

発芽に必要な最小限の量と、地表面から数p下の僅かに湿り気のある層まで根や菌糸を誘導するための「呼び水」だけで十分なのです。
 呼び水:
潅水した真下の気相の湿度が上がり根は水を求め下へ、菌糸は下から上へ伸び、根元近くまで湿った土で繋がる。

このやり方なら、高価で大がかりな潅漑施設や水源確保の必要もなく省経費・省力で超節水(淡水消費の70%は農業)。雨季、乾季のはっきりしている半乾燥地帯の多くの途上国でも、僅かな井戸水とジョーロ一個で可能。
また天候に左右されず、畝が空き次第、何時でも播種・定植でき、圃場を無駄なく使い切れます。
発芽すれば雨も潅水も要らない
 画像(左)はカラカラに乾いている圃場に、斉一に発芽したルックラ(中央の4畝、播種後約1週間)、もう潅水の必要はありません。
潅水で圃場全面を濡らさないため雑草は潅水個所しか生えません(左奥は播種後3週間、右は未播種の畝)。

雨期、乾期とも一回は除草が必要ですが鍬や手で抜いてはダメ。土がサラサラのため僅かな力で土が深くまで動き作物の細根が切れて、一時的に成育が阻害されます。
雑草は多少伸びても害はありませんから、適度に伸ばしてから草刈り機で刈り払います。
 多少伸びても:
極限状態では雑草との共生も無視できないが、雑草が必要ということではない。競合しないだけの養分供給量があり、生えても生えなくても作物の成育に差は見られない。雑草が多少遮光しても、作物の光合成能力が高く障害とはならない。また、雑草が下層から吸い上げる水が表層近くを潤し蒸散も抑える。直射が強い時間帯は作物はピンとしているが雑草はグッタリ、これは作物の方が優勢な証拠。

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