内部品質無施肥では作物が本来持っている特性が現れる
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理論は証明するもの、議論は無意味。実利・実効、結果が全て。データ(結果)は“自然の言葉”。勉強会は、それを聞くための練習の場です。
硝酸イオン硝酸態(性)窒素は作物にとって必要不可欠な成分(硝酸→アンモニア→アミノ酸→蛋白質へと合成)とされています。通常は、根から吸収された分は葉で消費され殆ど残りません。しかし、土壌中に必要以上に遊離(無機)状態の窒素があると過剰に吸収され、余剰分は作物に蓄積されます。すると、腐敗しやすく日持ちのしない、不味くて、人畜の健康に悪い物になります。要するに、防除(農薬)が必要な虫の餌になるわけです。 作物でも牧草・雑草でも硝酸イオン濃度が高まると、牛などの反芻動物では中毒を起こします(許容限界 NO3-N [NO3-]: 111[492]mg/体重kg/日、飼料中の濃度1000[4430]mg/kg)。硝酸そのものにはさほど毒性はありませんが、還元され亜硝酸に変わると毒性を示します。
表示単位: 硝酸イオン NO3-、硝酸態窒素 NO3-N(窒素成分のみ)。
換算率: 62NO3- = 14NO3-N 。 NO3- × 0.2259 = NO3-N 。 硝酸塩: NaNO3(0.7295)、KNO3(0.6133)など肉の発色剤として使われる添加物(NO3- 換算係数)。表示に混同が見られるので要注意。 急性中毒(メトヘモグロビン血症): 高濃度な硝酸汚染飼料の摂取による。牛は許容量の1.5倍で中毒死の危険。第1胃内で亜硝酸に変化、それが血液中に入りヘモグロビンの酸素が結合すべきところに結合、酸素欠乏に陥り窒息、突然死に至る。俗にポックリ病と言われる。 慢性中毒: 比較的高濃度な飼料の長期摂取による。流産(胎児の窒息死)、胎児の異常、乳量や成長への影響など。目立たないが急性中毒よりも、家畜の健康や経済的影響が大きいと考えられ問題視されている。 成人の胃内のような強酸性下では、亜硝酸化が起き難く、乳幼児を除きヒトは反芻動物ほど感受性が高くはありません。しかし、高濃度であれば危険なことに変わりなく、乳幼児(胃酸分泌能力が低い)のメトヘモグロビン血症(ブルーベビー症候群)。慢性的には、ニトロソアミン(亜硝酸に第二級アミンが結合し合成)の発ガン性やインシュリン依存型糖尿病との関連などです。 東京都は、1976年以来、野菜類の硝酸塩等含有量実態調査を行っていて、本会議記録(2000)では「葉茎菜類でゼロ〜16000mg/kg、根菜類ではゼロ〜9800mg/kg と含有量が比較的多く、キノコ類あるいは柑橘類等は少ない傾向がある」と述べています。
野菜類等の硝酸根,亜硝酸根含有量調査: [PDF] 東京都健康安全研究センター研究年報 第 58 号 別刷 2007
実測値調べてみました。これが本物(本来のもの)の人の食物。この測定値(下表)が特別なのではありません。これが通常のあるべき姿。作物が本来持っている特性なのです。別世界の話ではなく原理が分かれば、何処でも誰でも容易にこのような作物ができます。炭素循環農法(無施肥)による野菜の硝酸(NO3-)・亜硝酸(NO2-) 含有量
(イオン濃度 mg/kg = μg/g = ppm )
牛馬自身が実際に選んで食べている: 放牧し自由に草を選べるようにすると、牛馬は肥料の効いた青々とした草を嫌い、痩せ地の草を好んで食べます。自身の糞で肥えている草も食べようとしません。他の草食動物にも見られる行動で、自衛本能が働いている結果と考えられます。
全品目が参考値以下、しかも一〜三桁もの違いがみられます。特に葉野菜の差は顕著で、高濃度の代表格と目されている、ホウレンソウやコマツナなどが測定限界以下とは、予想はしていたものの少々驚き(本物の低さと汚染の酷さに)。東京都が公表した、16000mg/kgという数値がどれほどのものか分かるでしょう。 高濃度の硝酸汚染は、施肥(化学肥料・有機堆肥)による異常な現象であるということを、この実測値が如実に示しています。我々は何処で間違えてしまったのか、この数値を見れば多くの説明の必要はないでしょう。 興味深いことに、最も高い値を示したのが雑草です。作物と同一圃場内でも土手(痩せ地)でも、その濃度は変わりません。栽培種はそれだけ十分な、作物化(選抜・改良)がなされているという現れです。東京都の報告が「ゼロ〜(2001年度データは2mg/kg)」となっているのも見落としてはいけません。 作物は栽培方法が正しければ、雑草より低い硝酸イオン濃度になり、他のアクも無くなります。自然農法は野生化させることではありません。野生化しアク(有害物質)が産生され危険との調査結果は、自然農法と似非自然農法との違いが分からないためのサンプリングミス。施肥農法の知識を基礎として行われる、有機・自然農法に対する調査・試験によく見られる、トンチンカン現象のひとつです。 基準値EUは、農産物の硝酸イオン濃度の基準値(mg NO3-/s)を、ホウレン草2500(4-9月)〜3000(10-3月)。結球レタス2000(露地)。その他のレタス(露地)2500(4-9月)〜4000(10-3月)。と決めています(1997年)。本物(本来の人の食物)の実測値からすれば無規制に等しい基準。しかも特例措置(加盟国の実態に配慮して、基準値を超過したものであっても、自国内に限り2008年12月31日まで、販売を認める)というおまけ付き。 でも、ないよりはまし、日本では基準値すら示していません。地域や団体により自主的に、EU並の目標値を掲げているところもあります。しかし、この実測値を大幅に超えることは異常なのです。 人の健康だけでなく、農業による自然環境の硝酸性窒素汚染も防がねばなりません。農業を営むこと自体が、自然の浄化機能を効率的に働かせること。というのが本来の姿。目標を掲げるなら、せめて雑草並みにしてほしいものです。 野菜を多く摂る日本人の硝酸摂取量は、全ての年齢層で一日許容摂取量(ADI)を上回っています。そして、摂取量はあくまでも平均。売られている野菜の硝酸イオン濃度からみて、短期的には一桁多い摂取量になるものと考えられます。 ADI: 硝酸塩として0〜5mg(硝酸イオン 0 - 3.7mg)/体重1kg。FAO/WHO合同食品添加物専門家会合(JECFA)の推定値(1995年)。
ADIの設定に当たっては、ラットに異なる濃度の硝酸ナトリウムを含むえさを2年間与え、生長が抑えられない濃度1%を換算した370mg/kg/体重/日(硝酸イオンとして)(Lehman,1958)を100で割った3.7 mg/kg/体重/日が用いられている。
厚生労働省食品衛生調査会毒性・添加物合同部会・食品添加物一日摂取量総点検調査報告書(2000年)
言い訳農林水産省は次のように述べています。総摂取量の殆どは野菜由来。添加物より遙かに大量の野菜からの硝酸を放置しておくことこそが問題です。野菜の有用性は全くの別問題。厚生労働省は、野菜の平均摂取量約280g/日を350g/日(26%増)以上に増やせと言っています。有用だからこそ、より厳格な対策が必要なのです。 硝酸は植物の樹液中に溶けています。乳幼児や牛の急性中毒を見れば明らかなように、条件次第で非常に吸収されやすいと考えるべきです。データの有無に関わらず、硝酸による死亡、障害例が起きている以上、ADIとの比較や、基準値の設定は当然。放置しておいても良いということにはなりません。 良くいえば、農家の実態に配慮し基準値の設定を行わない(えない)。という心やさしい?心配り。はっきり言えば、技術を知らず指導ができないことを棚上げしての、責任逃れの言い訳としか聞こえません。 日本に限らず、事情は世界中それほど変わらないと思われます。先ずは、まともなヒトの食物を作る指導から始めるべきでしょう。 糖、ビタミンC(アスコルビン酸)葉柄汁液中の硝酸濃度が0〜500ppm(痩せ地の雑草と同等)以内なら、ビタミンC濃度はほぼ最大です(下 図2)。施肥により最大収量を上げようとすれば(下 図1)、VC濃度は無施肥の2/3前後に低下。施肥栽培では、VC含有量は硝酸濃度と負の相関にあります。これは、作物間に多少の差異があったとしても、全体的な傾向と考えられます。そして、糖も硝酸と負。VCとは正の相関があることが分かっています(光合成→デンプン→糖→VCなどを合成)。 また、VCなどの抗酸化物質は、腸管内で起きる有害物質生成過程(硝酸→亜硝酸→ニトロソアミン類=発癌物質)のニトロソアミン類生成を抑制すると言われます。 ということは硝酸濃度さえ下げれば良いわけです。しかし、施肥栽培でVC濃度を最大にしようとすれば収量が半減。また、自然猿真似の断食農法や微生物の餌不足による極端な低養分では、糖代謝が落ち糖度低下だけでなく、VC濃度の低下も予想されます。 ところが、写真(左 拡大=Webアルバム)のように、高炭素資材で思いっきり高養分・高生産性にしても、雑草の硝酸濃度(500ppm)を超えることはありません。有機物や無機態窒素を生物化し硝酸濃度を下げた場合は、炭素量に比例し収量が増え、糖やVCも同時に増えます。 肥膨れ、水膨れの虫の餌とは違い、作物全体の代謝機能がバランス良く、活性化している証拠。つまり、活きの良さ=健康度=生命力が高まっているということです。 これを、直接あちらの世界を観ることができる者(いわゆる霊能力者)に言わせると「人を元気にする力が強い食べ物」なのだそうです。 しかし、このでき(写真)でも内部品質はイマイチ。廃菌床の大量施用から1年2ヶ月目(2009-07現在)、見かけはよくても内部品質に多少のバラツキがみられます。 たまにですが、天候や転換後の栽培(餌の投入)回数、土壌条件などによっては、収穫直前に少し虫に食われることがあります(商品化可能な程度)。 まだゝ、土壌深部の浄化程度にムラがあり不完全。土壌改良度80%程度。ツケを完済するには、最低でも丸2年はかかります。二夏(雨期を2回)を経過すれば、完璧となるでしょう。
内部品質はイマイチ
硝酸:250mg/1000g(参考値の1/4)。糖度:5.2%。ビタミンC:30〜50mg/100g(参考値の約倍)。VCは収穫後、冷蔵庫で1週間保存後、QUANTOFIX 半定量イオン試験紙アスコルビン酸 / KN3315562(写真 右上)で測定。 VC濃度の参考値:19mg/100g(五訂増補日本食品標準成分表)。
1.葉柄汁液中の硝酸濃度は施肥窒素量の増加とともに増大する。収量は、硝酸濃度が高くなるに伴って増加傾向から平衡、減少傾向となる。野菜の種類によりその濃度は異り作物毎、適正域を設定できる(上 図1)。
2.ビタミンC含量及び乾物率は、栽培期間が短い春夏期より、長い秋冬期の方が高い傾向にあるが、栽培条件が同じ場合は時期による差はほとんどない(上 表1)。硝酸濃度とビタミンC含量との間には負の相関がみられる(上 図2)。 3.以上の関係から葉柄汁液中硝酸濃度は、ホウレンソウ2000〜3500ppm(露地トンネル)及び 6000〜7500ppm(雨よけ)、コマツナ5000〜7000ppm、チンゲンサイ3000〜4500ppmを目標に施肥管理を行うことが適当と考えられる。 (農林生産研究情報-軟弱野菜の体内硝酸濃度と収量・ビタミンC含量の関係 )より抜粋要約、図の加工。 ・・・以下準備中・・・
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