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実践5(2012〜パラグアイ)

不耕起栽培の実体「神様悪いことはしていません」では救われない

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初めは良かった。だが大規模な不耕起栽培は地表の自然さと裏腹に年を経る毎に生産性、安定性が落ちる。所詮は対症療法、見かけに騙されてはいけない。
イグアス移住地に建立されている不耕起栽培導入の記念碑
イグアス移住地に建立されている不耕起栽培導入の記念碑。 パラグアイでの炭循農法は未だ始まっていないが(2012)この碑が施肥農業終焉の記念碑となる日も近い?。
 

不耕起土壌は非好気性土壌

イグアスの滝は柱状節理(玄武岩)で形成されている
ブラジル、パラグアイ、アルゼンチンとの国境にあるイグアスの滝は、柱状節理(玄武岩)で形成されている。ブラジル南西部からパラグアイにかけて分布する、玄武岩を母岩とする土壌(テーラロッシャ=紫土)は、ほぼマグマのミネラルバランスのままで非常に肥沃化しやすい土壌である。
 心土破砕・残渣混ぜ込みと、正反対のことが同地方(ブラジル南西部からパラグアイにかけての南米内陸部)で大規模に行われています。

機械化による広範囲なダイズの不耕起によるモノカルチャーです(裏作=主に小麦、トウモロコシ、ヒマワリ)。
世界全生産量の26.8%ブラジル(2位)、2.7%パラグアイ(6位)(2011-2012農年度)を占め、ほぼ全て不耕起栽培。

不耕起は一見、利点があるように見えますが耕起よりは多少マシというだけの話。
 一見、利点:
慣行耕起より土壌を保全。耕耘・整地作業がなく適期播種が容易。農機具等への設備投資軽減。機械の稼動時間減少(経費・労力の節減)。雑草の抑制。慣行耕起に比し土壌水分や養分の保持。慣行栽培と収量は同程度。

しかし、パラグアイでは既に収量が落ち始めています。ブラジルの場合、今のところ(2013)それなりに成績が良いのですが新規に大豆に転換した土地が多いために過ぎません。

不耕起では土壌の疲弊が耕起より緩慢なだけ、問題点を何一つ解決できた訳ではありません。転換当初はそれなりに成績が上がりますが次第に成績が落ち、生産性・品質も不安定になります。
 問題点:
表土流亡を完全に防げず環境破壊。高価な専用播種機が必要。雑草対策のためGMダイズの選択をを余儀なくされる。スーパー雑草(難防除雑草)の増加により除草剤による防御が困難。病害が多発(前作残渣の腐敗による)。除草剤・農薬などの直接経費・労力の増大、環境汚染。燐酸及び加里など塩類の表層集積。表層土壌の硬化。天水の涵養力喪失。浅根化。硬化した土壌の地割れによる過乾燥・減収(特に干ばつ時)。土壌表層部硬化のため断熱・保温力がなく霜害に弱い。無駄な二酸化炭素放出。

連作障害は裏作導入により輪作体系にすることで防いでいますが、施肥・施水・防除栽培で起きることは、不耕起栽培でも全て起きます。これは小規模な場合(家庭菜園規模)でも同様です。 
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大規模不耕起栽培の実態
 着想は良かった?・・・のですが、現実は厳しく利点通りとは言えないのが実情。根本的な問題(奪い合い殺し合い文明に基づく農業)ですから、小手先の技術でどうこうできるものではありません。

土は痩せカチカチ(鉄棒が5cmほどしか刺さらない)。主たる目的のエロゾン(土壌流亡)防止効果の実際は「土をカチカチに固めれば多少は流され難い」というお粗末な話し。根が浅く干ばつに弱く、時には収量半減。それでも辛うじて世界平均(2.55ton/ha 2010)を上回って・い・ま・し・た。
「辛うじて・・・」には訳があります。降雨も適度にあり、土壌は比較的新しく(白亜紀)形成された、世界で最も肥沃化しやすい土壌の一つ=テーラ・ロッシャ(紫土:洪水玄武岩が母岩)。
 最も肥沃化しやすい土壌:
ミネラルバランスが良く(マグマそのまま、生命体発生時と同じ?)、土層は厚く薄い所で数m、平均20〜30m?もある。ここ以外の(溶岩に覆われなかった)地域は、逆に地球上で最も古く痩せたラテライト土壌(先カンブリア時代,母岩=砂岩 ウィキペディア 地質時代)。

気候、土壌、地勢(傾斜度:数度以内で平坦・広大)全て文句なし。何とも贅沢な話し、これで文句(土壌流亡、異常気象の恒常化=干ばつ・霜害、病虫害多発、GM品種等)を言ったらバチが当たろうというもの。原生林を切り開いた当初は無施肥でダイズが3.6ton/ha以上、穫れたと言います。
ところが施肥しても1.5ton/ha前後に低下。不耕起栽培を導入し一旦改善(3.0ton/ha【世界の食料統計 九州大学】)したかに見えましたが再び低下。近年は天候不順などによる変動巾が大きく、1.5〜3.0ton/ha(近年の平均2.0ton/ha強)と不安定な状態です。  
誰でも知っている
 大々的に喧伝され実際に行われてはいます。しかし内実は、過去の自然農法(自然風慣行農法)の場合と同様「不耕起栽培は本質的問題を何一つ解決してはいない」のです。規模に関わらず一時的な対症療法的処置(技術)の限界です。自然は理(法則)でしか動かず、神様「私は悪いこと(耕起)はしていません」で、許してもらえるほど甘くはありません。

ダイズ(マメ科植物)の連作は不可。輪作の体系化のため、やむを得ず?殆ど利益の無い小麦を裏作にしています。残渣の少ない「ダイズ+小麦」の栽培体系でも、心土破砕・残渣混ぜ込みをすれば、肥沃化しやすい土質のため土壌改良は比較的容易と考えられます。
もし小麦で無理ならイネ科の緑肥作物を採り入れ、残り期間をフル活用すれば良いだけのこと。ここは一年中、植物が繁茂し大量(日本の2〜3倍)の高炭素有機物が得られます。無施肥では「生産性=土壌改良効果」ですから、生産性でどちらかを選べば良いのです。
 小麦を裏作:
麦の残渣は柔らかく播種機の作業性が良い。冬期の栽培に適している。マメ科+イネ科は最良の組み合わせだが小麦(C3植物)やダイズの残渣は多くはない。両者で数ton/ha/年。推奨量:10ton/ha/年以上に満たない。但し、生産性が上がれば残渣も増え充足可能。

実はここでは「誰でも知っている」のです(この地方に限らず)。開拓当初は「無施肥で病虫害の発生もなく何でも今より多く穫れた」ことを、そして「そこには大量の有機物があった」ことを。しかし原理が分からず、それを再現しようという者は誰一人いません。  
持って行って下さい
 熱帯、亜熱帯農業で最も留意しなければならないのは「有機物の消耗・浪費」。それなのに、元々少ない残渣を放置したまま。大部分が土とは無関係に地表で分解・喪失しています。土壌は有機物(餌)不足で硬化し酸欠(非好気性)環境。当然、好気性の糸状菌は働けず腐敗分解・硬盤層の形成です。
後はお決まりの、生産性低下・施肥量増加、病虫害発生・各種農薬多用、雑草繁茂・除草剤多用(土を更に固める)、経費・労力の増大・利益低下、エロゾン、水不足・干ばつ被害、霜害、環境汚染・破壊。良いことは一つも無し。

残渣放置で皮肉なことに、表層5cmほどに養分が集積し団粒・膨軟化ています。この薄い表層の下は透水性の悪い硬盤層、まるで「持って行って下さい」と言わんばかりです。
地表を雨水が少しでも流れれば、広大なため大量の雨水が低いところに集中します。起こさず固めようが、雑草やその根があろうが「流れるもの=養分が集積した薄く柔らかい表層部は、水と共に流れ去る」のです。
持って行かれる部分が薄くなっただけ、でも中身は濃いのです。不耕起による中途半端な土壌改良(土壌流亡対策)は反ってマイナス。「覆水盆に返らず」やるなら徹底的に一滴の雨水も流してはなりません。
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