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特別編

キノコ廃菌床の正しい使い方

実践1 実践2 実践3 実践4 実践5 転換 転換2 転換3 転換4 ■特別編(廃菌床) 内部品質
 
 キノコ廃菌床ほど素晴らしい資材は他にはない!。しかし、キノコ菌を畑に入れるためではない。培地の基材として使われている「木質系資材=オガコなど」が微生物の餌として、最適な状態になっているため、糸状菌の働きを理解しやすい。また、そのための教材としても最適である。しかし、廃菌床がなくても代替資材は他に幾らでもある「何々を使わなければならない」という拘りは自然農法症候群。「何々だからできたが他でできるのか」は自然に対する無知(法則=理論の欠如)。
木材腐朽菌(白色糸状菌)
朽ち木や落ち葉の、一次分解者が木材腐朽菌(白色糸状菌)である。呼び名の通り、木口(切断面)は菌糸で乳白色なっている。黒い模様は他の菌の縄張り。
廃菌床の性質や使い方。分解・養分化の仕組みや特徴。圃場でのキノコ菌の役割など、菌床についての質問が多いためまとめました。いままで未処理のキノコ菌床が使われることがなく、農学者、キノコの専門家でも全くお手上げの分野です。

キノコの人工培地

菌糸  キノコ菌は木材腐朽菌(機能)・白色糸状菌(形態)と呼ばれ、カビなどと同じ菌類の(分類学上狭義の)仲間で子実体(キノコ)を作るものを指します。写真(右)は接種後8日 寒天培地上に広がったキノコ菌糸。
栽培種には培養期間の長いブナシメジやシイタケ、比較的短いマイタケやナメコ、短いエノキタケ、エリンギタケ、ヒラタケなどが主なものです。

キノコ栽培の人工培地は単に菌床とも呼ばれ、培地の基材には、オガコ(針葉樹、広葉樹)やコーンコブ(トウモロコシの芯)、豆殻などがあります。他に栄養剤として重量比で20%〜50%程度の糠類やオカラなどが使われます(コーンコブ、豆殻は栄養剤としての作用もある)。

培地は材料を混合、水分を加え調整し、ビンや袋詰めにして蒸気で殺菌(加圧120度または常圧100度)。冷ましてから無菌状態で、種菌(菌糸体)を接種し培養。10〜20日程で培地全体に菌糸が蔓延します。

菌床の掻き出し 一定の培養期間を経て、十分な菌体重量になるとキノコが発生。早い種類で培養開始から30日。遅い種類では120日ほどでキノコが収穫できます。この使用済み培地が廃菌床(培地)です。写真(左)はビンからの掻き出し作業。
廃菌床(培地) ヒラタケ廃菌床成分分析表
  (%)現物乾物 (%)現物乾物
水分61.8 N0.491.28
有機成分34.3890P2O50.360.94
灰分  3.8210K2O0.150.39
C total19.150Ca0.180.47
C有機17.1144.79Mg0.070.18
C/N比3939S0.010.03
* pH  8.8    
(* 菌が死に腐敗している、新鮮な廃菌床はpH6前後)


培養期間中はフィルターを通し呼吸が行われ、他の雑菌は入りません。たとえ入ってもキノコ菌が先に蔓延し、ガードしてしまえば雑菌は繁殖しません。糸状菌は有機物を一旦ガードしてからゆっくり分解するという性質があり、この特性が重要な意味を持ちます
また、キノコ菌は腐食を残しません。例えばビン内でシイタケ菌を培養し、キノコを収穫せず培養を続けると、発生したキノコは分解しキノコ菌に再利用されます。分解物質も分泌物も同様に再利用され、キノコの種類にもよりますが1年半で、培地をほぼ食べ尽くします。その時、ビン内に残るのは水とスプーン一杯ほどの菌体だけです。
 シイタケ培地(種菌用)の配合例:
オガコ(広葉樹、水分10%)180g、米糠(水分10%)18g、水302ml、合計500gの培地を作り、800mlのビンに詰め120℃で30分殺菌。シイタケの種菌を接種して室温で培養(無菌操作)。培養中はフィルターを通し呼吸が行われ、瓶に入るのは無菌の空気だけ。1年半そのまま培養を続けます。

キノコ菌は、先ず分解容易な栄養材(米糠など)を食べます。短期培養のキノコは、この時点でキノコが発生します。長期培養のものは次に、基材のオガコを食べます。しかし、オガコには窒素がほとんど無いため(C/N比500〜1000)、分解物や分泌物の窒素を再利用しながら、徐々にオガコを食べます。
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キノコ菌による高炭素有機物の分解

 ビン内のような閉鎖環境下では、窒素を始めとする必須成分やミネラルを何回も再利用し(己自身を食べ)、炭素が尽きるまで分解し続け、炭酸ガスにしてビン外に放出します。
菌床を土に入れた場合も基本的には同じ。キノコ菌は土壌中からも多少養分を吸収しますがビン内同様、必要なものは酸素だけの自己完結型分解機構。
培地の基材も栄養材も、元をただせば植物が土壌や大気中から吸収固定した、水溶性成分。ビン内で水だけ残し消えるのは当たり前。土に入れても何一つ残留する懸念はありません。

実際に畑に入れた菌床の分解期間は、培養期間が長く分解が進んでいるブナシメジや発生期間の長いシイタケ、培地基材がコーンコブなどは早く。エノキなど培養期間が短く培地基材のオガコが分解されていない場合は長くなります。
土壌中での分解期間は、半減期で捉えると分かりやすく、たとえば2ヶ月で半分になるとすると4ヶ月で1/4、半年で1/8。実質的にほぼ分解が終わったと考えて良いでしょう。

投入された菌床の分解速度は量の多少に関わらず一定。菌床1個でも100個でも分解期間は全く同じ。一度に大量に入れたからといって何時までも残っていません。連続使用(2〜3回/年)すれば常に、ほぼ一定量の分解が行われ微生物量が安定し、養分供給量が一定化します。
団粒(形成と解体)
難分解性の高炭素有機物による土壌改良効果は、糸状菌(キノコ菌)の有機物分解に伴う大量の分解物、分泌物が糊の役目をし、大粒な団粒を作るためです。
その団粒化成分の大量生成を可能にするのが、炭素密度の高い有機物=木質(チップやオガコなど)に含まれるセルロースやセミセルロース、リグニンです。他の成分(窒素など)はリサイクルするため大量には必要とせず、投入資材の最適バランスはC/N比40以上(上限なし)。

団粒化成分は同時に、細菌類(バクテリア)の餌でもあり、細菌類は団粒解体作用があります。一口に微生物と言っても、団粒化作用を持つものと、逆に解体作用を持つものがいて、養分循環が成立。両者とも必要で要はバランスの問題。

完熟堆肥などのようにC/N比が低く炭素量が少ない物は、細菌類による団粒化物質の分解作用が相対的に勝り、団粒化は僅かしか行われません。
また、腐敗現象は細菌類による、無秩序で強力な分解作用。団粒を壊し土を硬くします。浄化作用があるEM菌でも有機物を食べ尽くせば、菌は餓死し土壌は硬化します。

有機物のガード作用を持つキノコ菌(糸状菌)が、細菌類による無秩序な無機養分化を防ぎ、秩序だった有機養分化を制御しているわけです。
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使い方

はんぺん
左は落ち葉の“はんぺん”を接地面から裏返した様子。右は左の枠内の拡大像、綿のような白いキノコ菌糸(白色糸状菌)。外見はシャレーで純粋培養したキノコ菌糸と変わりない。
堆肥と違い、落ち葉の色は初期の状態のまま。臭いはキノコ臭(味噌の醗酵臭に似ている)、“はんぺん”がある近辺を通ると爽やかで好ましい香りが漂う。色や臭いで腐敗と発酵の違いが誰にでも分かる。
 コーンコブが基材の場合は例外ですが、キノコの廃菌床は「生」では使えないというのが一般常識。キノコ屋や農業技師は、絶対に生で使ってはいけない。堆肥化しなさい。と言います。
ところが廃菌床と同様の状態の物が自然界には存在し、人がそれを有り難がって利用しています。落ち葉などが降り積もり一定の条件が整えばできる、キノコ菌のコロニー“はんぺん”(写真)です。

家庭菜園などでは山から“はんぺん”を採取し無農薬栽培を可能にしています。プロの畑でも“はんぺん”ができれば作物の生長がよいことは周知の事実です。自然のキノコ菌コロニーより、完璧なコロニーが廃菌床。堆肥化せず生のまま使って悪かろう筈がありません。

しかし、誰も生での使い方や機能を知りません。未使用のオガコと菌床中のオガコが同じだと思っているのです。オガコが、どのような場(性質・状態)になっているか見ていません(生の大豆と味噌の大豆を同一視するのと同じ)。同じ廃菌床でも基材がC/N比が低いコーンコブだと生で使うのがその良い証拠です。
また、キノコ屋は廃菌床をダンプカーに積んだままにしたり、空き地に山積みしたりします。これでは、1日で蒸れて菌は死んでしまい、使えば各種障害の原因になります。これも生では使えないということになった理由の一つでしょう。

菌床を無処理で使うなんて、慣行農法から見れば非常識と思えるでしょう。でも、それにはそれなりの理由があるのです。
菌床の性質や養分化の原理が分かれば、堆肥化するなんて何とも勿体無い話で、紙が有機物で堆肥資材になるからといって札束を堆肥にするようなもの、とても正気の沙汰とは思えません(笑)。

使い方に特別の方法はありません。活きの良い新鮮なものを、土に混ぜるだけ(酸素が必要なため浅く)。菌が生きていることだけが使用条件。絶対条件。一応、投入後5日程してから菌糸が伸びているか確認してください。
廃菌床は土(土壌微生物群)にとって完璧な完全食品。使用上の注意点は、雑草や緑肥、高温発酵処理した高炭素資材以外の他の資材は一切使わないということくらいです。
 菌糸が伸びているか確認:
必要なわけではない。糸状菌を知るために「見て下さい」と言っているだけ「伸びていないようだ?」という質問が多すぎる。光線の加減で肉眼では見えにくいことがある。

ビン栽培の菌床は、掻き出すため細かく砕かれていて菌が弱ります。土に混ぜられない場合は土で薄く覆うなり、黒マルチや有機物マルチで保護します。
袋栽培の菌床なら袋だけ取り除き、そのまま圃場にゴロゴロと転がし、ロータリーで掻き混ぜれば省力的で、適度な塊(2〜数cm)になり菌が弱りません。栽培期間が短い作物なら細かく、長ければ大きめの塊が適しています。

転換初期の最良(手抜き)の使い方は、雑草や緑肥がある程度繁ったところに、廃菌床を撒き(混ぜない、大きめの塊が良い)雑草の炭素固定量が最大(登熟)になった時に鋤き込む。雑草(分解が早い)と廃菌床(分解が遅い)の短所を補い合います。
雑草が日陰を作り乾燥を防ぎ、菌床が雑草へ養分を供給、炭素固定量が増えます。初期の土壌条件が悪い圃場でも、表面に置くだけなら酸欠を起こさず、たとえキノコ菌が多少死んでも大した問題は起きません。
乾燥期やコーンコブの菌床(エノキ茸)には向きませんが、梅雨時期や、その後の急激な温度上昇時には、最も安全、且つ最大効果が得られます。

キノコ菌が生きている菌床は、放置すると分解が進み炭素は炭酸ガスとなって大気中に放出。全くの無駄。CO2排出削減に逆行。直ちに土に入れるのが鉄則です。入れておきさえすれば着実に土を団粒化し、無駄なく炭素を有効利用できます。
入手した時点で、作物の植え付けとは無関係に、ドカンとまとめて入れます(但し春先は毒出し=浄化期間のためやってはいけない)。入れた時から働きます。特にプロは施肥感覚が抜けず、植え付け前に何か入れたがり、それまで廃菌床を取って置くという勿体無いことを平気?でします。また、施肥栽培のような肥切れはなく追肥的使用は無用。
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使用量

 1000kg/10a/1作、前後が標準的な量。炭素量に応じ他の成分も循環するため、炭素量だけをみます。緑肥(登熟していない生)の収量を、仮に2500kg/10aとして炭素量を比較すると、緑肥と同量です。

廃菌床 1000kg × 0.4(乾物比率) × 0.5(炭素比率) = 200kg
緑肥   2500kg × 0.2(乾物比率) × 0.4(炭素比率) = 200kg

緑肥は無理なく採れる量で、作物と交互に栽培すれば圃場外からの資材は無施用で可能な量。廃菌床1000kg/10a/1作で緑肥の替わりをします。実証例では、800kg/10a/1作。土は確実に肥沃化しています。
ヒラタケ 850ml ビン
不経済ですが、基材のオガコが未分解なら10倍量使用しても何の問題も起きず、使用量に実質的な上限はありません。ただし、作物の根本に厚く敷くと根が酸欠と蒸れで腐ってしまいます(特に果樹では要注意)。

分解が進んだものは炭素比が低く、必要炭素量を満たすために増量。コーンコブは炭素比が一桁小さく、より多くの投入が必要です(乾物量でみて同量にする)。5倍程度までなら特に問題は起きません。ただし、ポストハーベストには一応注意を。
菌床に限ったことではないが炭素比が低い(窒素が多い)ほど要注意。高いほど使いやすく安全です。
 ポストハーベストには:
ダイオキシンでも分解する糸状菌ではあるが、輸入したマツタケから殺虫剤成分が検出されたことがある(マツタケ山に散布、接触による汚染?)。しかし、コーンコブ(輸入品:ほぼ全て農薬使用?)で栽培したキノコから農薬成分が検出されたことはない(キノコ菌が分解?)。
 炭素比が:
廃菌床は低い(40〜数十)。原木栽培の廃ホダは高い。

シイタケ 写真(右:シイタケ菌床)袋入りは培養開始10日目。半分ほど菌糸が蔓延(白い部分)。重量2.5kg。キノコの生えた小さい菌床は、5ヶ月経過したもので約1kg。培養開始時の40%の重量で廃棄寸前。減量分60%はシイタケ菌が食べてしまいました。凄い食欲です^-^。この菌床1個/m2 が標準使用量。

写真(左:ヒラタケ850ml ビン 菌床のみ約500g)2本/m2で適量。オガコは全く分解されていず、減量は僅か25%。栄養剤もかなり残っている。キノコ収穫まであと2日、1回限りで廃棄(設備稼働率などの理由から)。キノコ屋としては少々勿体無い^^; 。でも畑には最高級のご馳走。
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死なせるな

薄く広げる  キノコ菌糸は特に高温・酸欠(蒸れ)に弱く、ビンから掻き出し後、堆積し時間が経過したものは要注意。キノコ菌は40度を超えると極端に弱り、それ以上では死に始めます(60度で完全に死滅)。
菌糸は呼吸し熱を出しているため(発酵状態)、たった1日で危険温度になります。止むを得ず堆積する場合は20cmほどの厚みに広げ(写真:左)、酸素補給と放熱ができるようにしておきます。

ブナシメジなどの菌床は長期培養で分解が進み水分が多い場合があり、掻き出し後は短時間で、菌床表面にバクテリアが繁殖。強烈な腐敗臭を発します。でも、土に入れれば腐敗はすぐ止まり、盛んに菌糸を土壌中に伸ばし始めます。ただし内部が生きていればの話。死んだものは、そのまま絶対に入れてはいけません。

圃場に入れてからは乾燥や排水不良、冠水による溺死に注意する程度で十分。多くの種類の菌糸の最大伸張温度は30度前後。高温に弱いと言っても、一般圃場で地温が40度を超えることは、通常の管理ではまずあり得ないでしょう。
低温には比較的強く、菌糸は零度近くでもゆっくり成長します。低温期は二次・三次分解者の、細菌類の活性低下が養分供給の制限因子になります。
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もしも死んだら

 廃菌床の炭素比は40〜以上で発酵分解状態にあり、キノコ菌がガードしている限り、腐敗分解で起きる窒素飢餓現象(窒素吸収阻害物質の生成)は絶対に起きません
しかし、バクテリア汚染で培養に失敗した菌床や(少しなら混ざっても良い)、蒸れなどでキノコ菌が死んだ物を畑に入れると、炭素比が低く腐敗しやすいキノコの菌体や使い残された栄養剤だけが腐敗分解します。冠水などで土壌中でキノコ菌が死んでも同じです。
 キノコの菌体:
動物と近縁関係にあり肉同様、高蛋白(窒素)で腐敗しやすい。菌が大量に死にその後、急激な腐敗→無機化が起きると、作物の葉色が濃く、苦くなり、酷ければいわゆる生理(濃度)障害で萎れたり、化学肥料、堆肥の過剰施用などで問題となる一連の施肥障害が現れる。作物は「腐敗風味」慣行栽培物でお馴染みの味となる。

この際、難分解性のオガコはそのまま残ります。枯れ枝や砂粒同様、直ぐには益にも害にもなりませんが、腐敗が治まれば他のキノコ菌が分解・利用、無駄にはなりません。
 腐敗が治まれば:
施肥や腐敗の結果産生された無機態窒素が糸状菌を殺す。糸状菌の多くは発酵作用に関わっていて腐敗環境には極端に弱い。腐敗が起きても無機態窒素濃度が落ち、好気状態になれば再び分解過程(発酵)に入る。
 他のキノコ菌:
日本の栽培種は一部を除き枯れ木などを分解する強力な木材腐朽作用を持つ。ヨーロッパの栽培種は土壌中の有機物を利用する木材腐朽作用の弱い種が多い(マッシュルームなど)。腐敗の際に残ったオガコ(木質)は一度キノコ菌に利用され分解されやすくなっている。圃場中では後者のキノコ菌の仲間が主に利用・分解する。

もし、投入前に死んだ場合は腐敗しやすい成分を完全に腐らせ、木質成分だけになった物を使えば問題ありません。堆積放置すれば3〜6ヶ月ほどで腐敗成分が飛び、使える様になります(腐敗臭が無いか確認。急ぐ場合は腐ってから広げ雨ざらし)。

嫌気状態が長期間継続すると、超難分解成分のリグニンなどが直ぐには役に立たない腐食=汚れとして残ります(土が黒くなる)。慣行栽培では有機物の補給が不十分でこの「汚れ」を頼りに、神の如く崇め?ありがたがっています。なんとも滑稽なお話^-^。

菌床の上面施用 廃菌床の上面施用(写真右)は乾燥の激しい表面近くの菌が死に、接地面しか菌が活動せず効率が悪いため大量に廃菌床が使える場合に限られます。菌が死んだオガコでも次作で鋤き込まれ、腐敗で残ったオガコ同様役に立ちます。
 乾燥が激しい表面近くの菌が死に:
好気状態のため腐敗はせず問題は起きない。木材腐朽菌(枯れ木などを分解するキノコ菌)は乾燥に強い。しかし、廃菌床は粒が細かく生存環境としては厳しく死ぬ。シイタケのホダ木なら地面に転がしておいても菌は死なない。

同じオガコでも、生では樹種によって作物生育阻害物質が含まれ害作用があります。そのため、廃菌床は生で使ってはいけないと言われていますが栽培種のキノコにも害あり、作物生育阻害物質が廃菌床に残る懸念はありません。生のオガコと菌床のオガコは別物と考えてく下さい。
 木質資材の作物生育阻害物質:
タンニン、テルペン類、各種フェノール酸など、水溶性フェノールは針葉樹の樹皮中に多い。多くのキノコにとっては作物同様、生育阻害物質となる。針葉樹をキノコ栽培に使う場合は半年〜1年以上堆積し分解させてから使う。

キノコ臭のする菌床の菌は生きています。酸っぱい臭いがしたり腐敗臭(悪臭)がすれば死んでいます。ビンから掻き出した物は、表面だけ腐敗することがありますから割ってみて白ければ大丈夫。土に入れれば表面の腐敗は直ぐに止まります。
ある日系二世は、廃菌床は味噌の匂いが・・・。なるほど言われてみれば固有のキノコ臭を別にすれば、ヒラタケの廃菌床は味噌の匂い?。でも野菜は味噌風味にはなりません^-^。味噌も糸状菌による発酵ですから、醗酵臭が似ていても不思議ではありません。
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何故に廃菌床、何故に生

リグニンの分解
右は樹皮の外にまでキノコ菌糸が蔓延した外観。左はその断面、辺材部は完全に菌糸で真っ白になっている。難分解性のリグニンが多い心材(赤線部分)でも、青線部分はキノコ菌糸で白くなり分解が始まっている。
木材の平均的な成分構成比はセルロース55%、ヘミセルロース15%、リグニン30%。心材はセルロース類の繊維束をリグニンで固めているため、唯一リグニン分解酵素を持つ木材腐朽菌=白色糸状菌(キノコ菌)が分解できる。
 キノコ菌が既に高炭素有機物をガードしているため、腐敗もそれに伴う窒素飢餓(吸収阻害現象)も起きません。キノコ菌が最初に働けば他の微生物やシロアリ(の腸内細菌)でも容易に分解できないリグニンを、エネルギー化・養分化できます(写真)。そのため必要な炭素量を最小限の資材で、簡単に土に供給でき資源の有効活用です。

必ずしも必要な資材というわけではありませんが、自然の仕組みを知り応用する上で、最も理解しやすく、効果(使い方が悪ければ害)が早い資材の一つで、自然林野や農地での炭素循環を知る上で、最も適した教材と考えてください。

一般では、木材の窒素放出は数年から30年程かかると言われています。それをキノコ菌なら容易に放出させることができます。ビン内で長くても2年程度。土壌中ならそれ以下で完全に放出します(酸欠、腐敗環境ではできない)。

緑肥(雑草)栽培の期間が省け、有害成分・ガスなどの発生もないため投入後、直ちに植え付けでき、時間の無駄がありません。作物の根が直接菌床に触れても大丈夫です。菌床塊があると根は、それを包み込むように伸びます。
更に、根が伸びるとそれを追いかけるように、キノコ菌も伸びます。キノコ菌も根圏を形成する、共生微生物の仲間の一つです。

効果が3日で現れます。常に分解が行われ、植物が利用可能な成分を分泌したり、バクテリアなどにより速やかに二次・三次・〜分解が行われ可吸可能な低分子状態にするためです。
それでいて、分解が緩慢で持続性があり、作物に使われない分解成分は、雑草や微生物として温存され、作物の成長に伴う必要養分量との間に差があっても、過不足は起こりません。

使用量に事実上の上限がないため、投入量の増減により野菜の大きさを自由にコントロールできます。日本の一般的な堆肥の推奨量は3000kg/10a/年、前後ですが、未分解の廃菌床はC/N比が高く、半分以下で十分。高炭素比=高カロリーです。

多くの菌類、細菌類は動物と同じ酸素呼吸で、炭素がエネルギー源。それ相応のカロリーが必要です。施肥栽培ではカロリー価など考えも及ばないでしょう。でも、微生物を飼う以上、重要な要素の一つなのです。
堆肥化では、元の資材量の数分の一に減量。圃場に投入後も初期は腐敗分解が続き無駄になるため、実質的には堆肥の1/10以下の有機物資材で済みます。キノコは炭素の持つエネルギーを最も効率良く利用しその分、省資源で環境保全に貢献します。

廃菌床さえあれば、他に何一つ入れる必要はありません。木材(オガコ)は木が長い歳月をかけ蓄積したエネルギーと、微生物、植物の必須成分の塊り。そのまま使うことができればパーフェクトなのは当たり前。それを堆肥化し養分バランスを、わざわざ崩し、10倍量使うなど愚の骨頂。

シイタケなどは例外ですが、設備の稼働率や労働効率等から通常は1〜2回しかキノコを収穫せず、廃菌床にはキノコに使われた分より、大量の養分が残ります(菌糸体を含め)。
窒素や他の養分もリサイクルする自己完結型の分解のため、緑肥などで起爆剤として併用される米糠なども無用。むしろ腐敗を招きかねません。

オガコは生では使えず処理も難しい、扱いにくいと言われる資材です。キノコ菌はその木材を専門に処理する解体屋。「餅は餅屋に・・・」です。キノコ屋だから言うわけではありませんが、廃菌床はまさに金床^-^。これほど優れた資材は他に見当たりません。
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慣行(施肥)栽培では使えない

こんな土地初めて、一体何が?(廃菌床が使えない!)
高度汚染
東向き高台、火山灰土の平坦地、日当たり排水良好、文句なしの好条件の筈だが様子が変?。3年前からの無施肥栽培。土壌分析の結果、土壌硝酸濃度は低い。廃菌床をたっぷり混ぜ、植付けたネギ、ニンニク(左上の圃場写真の左側)は極端な生育不良。ところが麦(右側)は青く、無施肥の色ではない。(2009年暮れ植え付け、2010年4月撮影)
2ヶ月後再訪。ネギ、ニンニクは殆ど伸びていない?。土に棒を突き刺すと15cm?。3年目にしては浅すぎる!。念のため隣の牧草地は、んっ・・・全く入らない!。0cm!。そんな馬鹿な?。土地の経歴を聞いて、ようやく納得!。この辺り一帯は50年間、牛糞(堆肥)を撒き続けている。稀にみる高度汚染地なのだ(最初に言ってくれ)。
前回、見落としたが表層に硝酸が無いにも関わらず、廃菌床のキノコ菌が死に、半年経ってもオガコが全く分解されていない(中心の画像)。極浅く混ぜても、キノコ菌が死ぬほどの腐敗型土壌。これでは、根が浅く表層しか使えないネギ類に、養分供給ができるわけない。
それでも育つ麦はスゴイ。図らずも、高度汚染地の浄化に根が深く入る麦が最適との証明。成育の後半になるほど根が深く入り、肥効成分を大量に吸う。更に青々、完璧な施肥状態で見事なでき(慣行のお隣さんと勘違いし写真を撮り損なう、映像を見せられないのが残念・・・、でも収穫には至らずとのこと)。此処ではさすがの麦も浄化、緑肥目的でしか作れない。
 キノコ菌の多くは弱酸性を好み、pH6.5以上になると菌の成長が抑制されます。キノコのビン栽培で、殺菌不良でバクテリアが繁殖しただけならキノコ菌糸はある程度伸びます。
しかし、腐敗が進行しアンモニア(無機態窒素)などが発生、pH7.5程度になると菌糸の成長が止まり、菌が回らない部分の栄養剤(米糠など)はバクテリアが食べてしまい、オガコだけが残ったスカスカの状態になります。
でも、単にpHの問題だけではないようで、バクテリア汚染されたキノコ菌はシャーレ上で、成長が著しく阻害されます。菌糸先端の汚染されていない部分でも成長が芳しくありません。植物同様、腐敗成分も阻害要因の一つです。

慣行農法で硬盤層ができるようだと腐敗が酷い証拠で、キノコには良い環境とは言えません。施肥による無機態窒素も悪条件。土に埋ける、キノコの路地栽培では、痩せたきれいな土で良くできます。菌床は生かしておくことができなければ、生で使ってはいけない資材なのです。

死なせないために重要なことは、土壌中に遊離状態の窒素がないこと、すなわち炭素比を下げない(細菌類=バクテリア)から守る)ことです。菌床の炭素比は分解の結果としてキノコ菌自身が下げます。菌床を使うなら、無機態窒素や無機化しやすい堆肥やボカシは、使ってはいけません。

腐敗土壌でEM菌(製品、天然を問わず)を働かせると、腐敗成分の浄化や有機酸によるpH低下などで、キノコとEM菌は相性がよいと言えます。廃菌床を使わなくても、十分な高炭素資材があり、腐敗もなく多種多様なキノコが生える状態では、pHは弱酸性で安定します。当然、pH調整し肥を効かせるための石灰施用も不要。むしろキノコには害があると考えた方がよいでしょう。

菌床使用でも、施肥栽培で一般的にみられる病虫害、生理障害、濃度障害、各種の養分不足などの、施肥栽培では極ありふれた症状が出ることがあります。残存肥効成分や何らかの原因で腐敗し菌床成分が肥効を現した結果です。これは菌床が微生物叢を豊かにする前に無機化し肥になって、見た目の“かたち”(無施肥)と関係なく、実質的な肥料栽培です。

各種障害は肥効による養分バランスの崩れから、養分の過不足が生じ作物が弱っているわけで、キノコ菌を生かしていないのが真の原因です。通常、無施肥栽培での養分不足は絶対量の不足であって、養分バランスは崩れず葉色は正常です。菌床使用の場合の養分不足でも、同じで成長速度が遅く作物が小さくなるだけで、病虫害や他の障害も出ないのが普通です。

単なる「物」を使って作物を作るのが慣行栽培。資材の生死を問題にすることはありません。しかし自然農法では自然の力を借り「命」を解体したり、組み立てたりしていると考えるべきです。
「菌床を使う」これを言い換えれば「キノコ菌を畑で放し飼いにする」。生きていれば人が直接手を出さなくても勝手に、より活きよく生きようとするのが、生き物の持つ本来の姿です。

未処理のオガコを畑に入れても難分解性成分が主で炭素比が極端に高く、たとえキノコ菌がいても分解できません。勿論バクテリアも全く歯が立たず、新鮮なオガコだけなら、作物生育阻害物質の問題はありますが、直ぐに効果もないかわりに窒素飢餓も起きません。
無機物や枯れた物=死んだ物を使いこなす(生き返らせる)のは、難しいのは当たり前。生きていれば、容易に次の命に変換されます。

生のオガコと菌床中のオガコは全く別物。木の死骸をキノコ菌が生かしているから「生」で使えるわけです。何十、何百年と時間をかけ蓄積した死骸(木質部・リグニン)はキノコ菌でも、それ相応の時間をかけないと生き返りません。菌床はそれだけの、環境と時間をかけ生き返らせているからパーフェクトな資材なのです。
それでも一度に生かせず、取り合えずガードしているだけ。キノコ菌の邪魔をしないように、余計な物は一切入れない方が良いわけです。

使って良いのは微量養分くらい、それも無施肥に転換した初期だけ。微生物による養分供給体制が整えば、養分バランスは崩れません。微生物の餌がバランスの取れた植物体であり、それを無処理で投入するから崩れようがないのです。廃菌床を使おうと思ったら、限りなく減肥。これが廃菌床の正しい使い方。自然農法では常識以前。
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畑にキノコが・・・

 キノコの種類を問わず、キノコが生えるということは、土が良くなっている証拠。キノコ菌も有用微生物の一つ。有用微生物に適した土壌条件は、作物にもキノコにも適しています。キノコ菌が十分繁殖し菌糸が養分を蓄えたところに、適度な刺激(降雨や気温変化)が加わるとキノコが大量発生。春や秋に多く見られます。

ヒラタケ、マイタケなどの菌床や原木栽培では、畑に埋けてキノコを発生させる栽培法もあり、アガリクス茸栽培では、ほとんどが畑に埋め、キノコ栽培をした畑では、慣行栽培の土地でも、ほぼ無施肥・無農薬で野菜が育ちます。

キノコ菌は菌糸の量(菌体重量)がある程度ないと、キノコを作ることができません。廃菌床の使用と無関係に、多種類のキノコが生えるようなら、有機物量が十分あり分解が進んで、キノコ菌糸が養分を蓄えた証拠です。
ということは、キノコの発生をみたらキノコ菌の食べ物が底を尽きかけているとの見方もできます。キノコに限らず、生存の危機(ストレス)に瀕した場合、生物は子孫を残そうとしたり可逆性を発現したりします。 そろそろ「有機物を追加しなさい」という信号と受け取ることもできるわけで、キノコ発生は歓迎すべき現象です。
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補足

 日本のキノコ生産量(2004)は生換算で42万ton(菌床栽培36万ton)/年。これは廃菌床140万トン(菌床重量の25%のキノコ収量として)、廃ホダ90万ton(ホダ重量の6.5%のキノコ収量として)、合計230万ton/年ほど出る計算です。
20ton/ha(10ton/haを2回)施用なら11.5万haの畑を無施肥にできる量で、これは普通畑117万ha(2004/7/15現在)の約10%に相当します。

 キノコ栽培は薬剤に頼らない栽培法に転換しつつあります。しかし、日本ではコーンコブのほぼ全量を輸入に頼っていて、ポストバーベストの汚染問題があります。栄養剤に使われる米糠やオカラ(大豆)も汚染度は低いと考えられますが、農薬使用の物が殆どです。更にキノコ栽培に使用が認められている農薬(殺菌剤等)もあります。
機能性が高い食品と言われるキノコですが、残念ながら全てが完全無農薬というわけにはいかないのが現状。一部の廃菌床は高度に汚染されている物もあると思われ、使用に際しては確認が必要です。

あらゆる物は最終的には大地に還ります。その大地は汚染物質に溢れ、決して安心できる環境にあるとは言えません。キノコ菌がダイオキシンを効率よく分解することが知られています。農薬なども分解されると言われます。
過信は禁物ですが、微生物相を豊かに、微生物バイオマスを大きくすることは、農地の汚染物質の分解除去には必須と考えられ、廃菌床を使わずとも高炭素有機物を入れ、畑で多種類のキノコ菌を大量に育てることは、食の安全面からも重要でしょう。
 キノコ菌による汚染物質の分解(参照):
白色腐朽菌 バイオレメディエーション ダイオキシン 等で検索。

弱酸性を好むキノコ菌が多いとはいっても、黄土地帯などph9以上の強アルカリ土壌でも木質は分解され、植物も育ちます。有機物全体を菌糸でガードする性質を持つキノコ菌は、菌槐内部の条件さえ良ければ生きられるわけです。
土壌中の天然のEM菌とキノコ菌が協力して、pHを下げ(有機物分解の際に有機酸ができる)強アルカリ条件下でも植物が育つ環境を作っていると考えられます。

キノコの種類によっては、植物に寄生するものもあり、エリンギ茸はセリ科の植物(ニンジンなど)に寄生することが知られています。では害菌、と考えるのは早計。
寄生を受ける作物の方が悪いのです。作物が弱れば普段、害作用を持たない菌でも病原性を現します。人でも良く見られる現象で、これは動植物みな同じ。
全ての生き物が日和見的性質を持っているためで、それぞれの生き物の活きの良さ(健康度)により、相手が命の解体屋として働くという、相対的関係にあるためです。

菌床が腐ると強烈な腐敗臭がします。これは菌体に蛋白質が多く含まれているからです。また菌床を焼くとエビやカニを焼いた時と同じ匂いがします。菌類の外殻はエビやカニの甲羅と同じキチン質。菌類は植物より動物に近い生物です。
何もわざわざエビ・カニ殻を畑に入れる必要などありません。エビ・カニ殻は他の多様な用途があり、注目されている貴重な資源です。
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