実践4(2011〜 ブラジル)超大規模・モノカルチャー・機械化が世界を救う
ジャングルを切り開き農耕地化した以上、中途半端な使い方は許されない。特に熱帯雨林は砂漠化しやすい。
ところ変われば(鍬替わる)
雨水が地表を少しでも流れるようなら低い所は大河?と化します(写真上)。表層部からの団粒化を、のんびり待ってなどいられないのです。
波状地形:
丘陵部しか使わないため平らな所は殆どない。平らな低湿地の利用は、限られた水稲地帯や都市近郊の蔬菜地帯のみ。扇状地も殆どない。 そこで下図(2-b)のように、腐敗・硬盤層を80cmの深さまで破砕します。すると重粘土質で硬い土は、写真(1-e)のような大きな土塊になり、隙間も広く通気性が良くなります。そこに作物残渣を40cmまで、攪拌混入します。 破砕した、更にその下の心土層は、それなりに硬く締まっていても透水性は十分。写真(1-c)のように雨水は畝から浸透し、地表にも地下にも貯まりません。 水が貯まらないようなら十分空気も入り、最初から炭素資材を深く混ぜても良いのです。深く入れば深部も一気に団粒化。1年で腐敗も消えます。 砂岩が風化した、この赤い土(ラテライト)には石がありません。クジラの尻尾(写真1-h)のような巨大なサブソイラー(心土破砕機)の爪を通すことができます。 石が無くても慣行農法の農地跡では機械を壊すことがあります。腐敗し酸素が入らなくなった土では、40年前以降に伐採された木の根が分解されていません。
ラテライト:
ラトソルまたは紅土とも呼ばれ、世界最古と言われる土壌。アフリカ、インド、インドシナ半島、オーストラリア、南米大陸など、赤道の周辺地域に分布し世界の約1/3を占める。土層が厚く非常に痩せている。 40年前以降: 1970年代から急速に大量の化学肥料が使われ始め、土壌の腐敗が酷くなった。それ以前の木の根は分解されている。 これは、慣行農法で浅く(30〜50cm)行う心土破砕と意味合いが違い、心土深く広範囲の土まで使うための手段です。規模に合わせ大きな鍬に持ち替えるだけ。原理は単純、最初から大規模のメリットを活かせます。
慣行農法の心土破砕:
慣行農法での深耕や心土破砕は、更にその下に腐敗・硬盤層を作ってしまう。腐敗層の位置を下げ厚くするだけで長期的に見れば逆効果。ある例では、深さ30cmにバーク堆肥埋設=有材心土破砕、20年後でも分解されず残り炭素を固定できた(と喜んでいる?)。「ドブ」にして、それが良いと思うところが怖い!。 大きな鍬: 日本なら根菜類の部分深耕や収穫用のトレンチャーなどが使える。耕作ではなく環境改善の一回限りの土木工事、手に負えなければ土木業者に相談する。 炭素循環農法の原理を伝え、この技術指導をしているのが写真(1-f)の機械屋さん(元ジャガイモ栽培者)。もう30年も前から、ただひたすら生の有機物を混ぜる研究と、同時にその機械の改良を続け、ようやく日の目をみました。 時代の転換は同時多発的。真の自然農法の理論的解明に合わせるように、彼や土壌微生物専門の研究者、農学博士などが共に協力しながら活動を始めました。日本でも同様です。 80cm 以下ではダメ
残渣が大量に:
15ton/ha(乾物)。栽培サイクルは15ヶ月=1.25年で必要量の12.5ton/ha/1.25年を上回る。 破砕直後の腐敗・硬盤層の断面は図(2-b硬盤層)のように台形に残ります。しかし、時間の経過と共に、常に機械に踏み固められる部分を除き、深い所は次第に団粒化。破線のように逆三角形になり、心土全体に根が張れるようになります。 轍は10〜30トンもあるトラクターや収穫機、運搬車が走るため破砕せず残しておきます。多少の腐敗があっても、根が入れなければ害はありません。 作物は変わっても(ニンジン、トマト、コーヒー、バナナなどで実践)、畝幅や条数が変わるだけ、破砕の深さは変わりません。硬盤層形成は機械の使用、不使用に関わりなく、腐敗の結果です。 全く機械の入らない、小規模な日本の野菜畑や茶畑でも長年、堆肥や肥料を使い続けたところでは、80cm程の深さまで腐敗・硬盤層ができています。 その厚さは、最大でも80cm程度。腐敗・硬盤層が厚くなるほど水も通さず、腐敗の原因になる肥料成分も容易に浸透しなくなるためと考えられます(その分は流亡し環境汚染)。この80cmがポイント。大規模・機械農なら破砕は朝飯前。 強酸性土壌ですから、念のために土壌改良材を入れます(2-c)。しかし、そこに養分が有るわけではなく、根は破砕し有機物を混ぜたところ(通気性の良い微生物の住み処)、更に下の水分を求めて伸びます。 混ぜた有機物はキノコ菌により発酵状態で、土のpHとは関係なく弱酸性、養分もあるからです。強アルカリ性でも同様。これが炭素循環農法ではpH矯正を必要としない理由です。しかし、セラードでは植物の育ちが悪く、自然のままの放置状態では、必要なだけの高炭素資材が得られません。
セラード:
ブラジル中央部にある熱帯サバンナ地帯(国土の23%=2億ha)。強酸性土壌のため、ねじれ曲がった低灌木が疎らに生える。過去、放牧地として利用され、乾期には落雷、野焼きによる火災が頻発。火災で有機物を失い更に痩せる悪循環。1970年代から開発され、現在では大豆やコーヒー、サトウキビなどの一大生産地。セラードだけで約10億人分の食糧を生産できるとも言われている。 特に、大規模な企業農業では利益第一。痩せ地だからといって、転換時に収量を落とすわけにはいきません。少量の施肥で初期成育を促す場合もあります。その際、窒素により糸状菌を殺さないように、図(2-b)のように轍の直ぐ脇、攪拌層から離れた浅い所に入れます。 あくまでも原則は無施肥ですが、肥料はブドウ糖の点滴のようなもの、時と場合(荒廃地の転換、残渣が少ないなど)によっては有効。使い方次第で施肥害は軽減できます。 たんじゅん・単一栽培
サトウキビでの転換例は何れもが、とにかく半端じゃない。モノカルチャーの典型例。実践圃場は、未だその極々一部。それでも、鉄のクジラの受注は数十台、現在フル生産中(2012-3)とのことです。
半端じゃない:
大手のサトウキビ栽培・製糖業者は200社ほど、最大グループは100万ha(自社農場+契約農家、面積順位7番の岐阜県106万haとほぼ同じ 2013)まだまだ巨大化している。ちなみに、ブラジルでの総作付面積915万ha(2009/2010農年度)、日本の総耕地面積(461万ha 2009)の倍(収穫面積はその80%)。生産の70%が製糖・エタノール(エチル・アルコール)製造業者、30%が個人(契約農家)。エタノール向けと砂糖向けが、ほぼ半々。粗糖・エタノールの国際市場占有率 62%・68%(2008ブラジル農務省)。 広いとそれなりの工夫も必要。低緯度地方の雨は短時間に、集中的、大量に降る熱帯スコール型。 従来の対処法は写真(3-a)のように、等高線栽培と等高線に沿って何本もの土砂流亡防止堤や道路を作り、雨水を一時的に貯めたり畑に入れないようにします。 しかし、不透水の硬盤層が形成され、ほとんど地下に浸透しない雨水は、道路や防止堤に集中(3-b)、一旦、溢れ始めれば次々と土手を乗り越え、広範囲の表土を一気に持ち去ります。冷静に見れば、わざわざ貯めて、破壊力を最大にしてから一気に流す。これは典型的な対症療法的な方法です。 広大なサトウキビ栽培では潅漑は行いません。「覆水盆に返らず」貴重な水を流してしまってはダメ。道路は写真(3-c,d)のように、従来とは正反対に谷に造り、雨水はその場に浸透させます。谷に道路を造っても、心土破砕をした畑からは水が流れ出ません。逆に(図3-e)のように、道路の水も最短距離で畝間に流し込み、破砕した畝に浸透させます。 降った雨は全て大地(心土)に一旦蓄え、長い乾季に備えます。そして地下深くでゆっくり水平移動、泉から湧き出させます。人が移動するのは収穫物だけ、物の移動は一方通行、上から下が合理的。逆の下から上への物質移動(水、窒素、炭素など)は自然がやってくれます。 初年度から増収(大規模ならでは)
サトウキビは残渣が大量にあり(写真4-d)、深く混ぜれば土壌深部までの団粒化が早くなります。また本来、根が深く張る植物ですから、その効果は大きく2〜3作目で収量3倍増も可能と思われます。 ただ、増収に伴い残渣も比例して増えるため、それをキッチリ混ぜ込むための工夫や機械の改良が必要です。 従来法での植え付けは、手作業(写真4-f)でも、機械(写真4-i,j)でも大量の苗が必要。無駄の多い埋め込み(挿し木)法から、育成苗での定植に変えます。 発芽までの期間が省け、成長も早く苗代が実質タダになりお釣りまできます。その技術もほぼ確立され、植え付けの機械は既に完成。後は育苗の完全機械化のみ。
植え付け:
ブラジルのサトウキビの平均収量は約80ton/ha、最大180ton/ha(沖縄62ton/ha 2000-2009単純平均)。従来法ではその内の20ton/haを苗に使う(複数の節が付いた長い茎)。育苗法(一節)なら2ton/ha、1/10で済む。 苗は写真(4-h)の○印のように、節(芽)と次の節までの養分を蓄えている茎を残し、コンピューター制御での機械切断。苗鉢は乾きにくいよう球形。根が鉢の外側に出て巻かないよう裸で管理。鉢の材料はサトウキビの二次絞り滓(フィルターケーキ)、出る滓の量で丁度間に合う大きさ。
巻かないよう:
他の作物でも根は巻かないように工夫する。太い根が長く伸びると、それから出る水や養分を吸収する細根の密度が減る。鉢から出た根は写真(4-g)のように枯れ易い。 ちなみに一次絞り滓(バカス)はボイラー燃料、余剰分で発電をして自家消費と売電、(パルプ原料としても最適)。糖蜜(精糖時の廃液)からはエタノール。原料洗浄液や他の副産物は畑に散布。全て自農場(工場)内で循環し、出て行くものは砂糖とエタノール、電気だけです。 出る一方に見えますが大気中からは雨、窒素ガス、二酸化炭素、酸素、そして宇宙からは太陽エネルギー、出て行ったものは、これらに土(ミネラル分)が加わっただけ。大きな循環の効率的な応用。大規模だから可能な機械類以外は持ち込まない、完璧な持続型モノカルチャーです。
他の副産物:
アルコール発酵廃液ヴァイナス(vinasse)、製糖工場のろ過機の残りかすフィルターケーキ、バガスをボイラーで燃やした灰など。 環境保全にはC4植物を
牧草地からサトウキビ:
ブラジルの国土(8億5,000万ha)の約25%(2億1,000万ha)が牧草地、その半分は荒廃地で生産性が低い。サトウキビは国土の約1.1%(915万ha)。農地+未開発の潜在的農地(2億8,000+1億100万ha)の2.4%を占める。大豆などの雑穀類からの転換は少ない。 地力が落ち牧草地に転換された土地を、C4植物であるサトウキビに再転換すれば、飛躍的に炭素循環量が増え、元の森林以上の環境保全力を持った大地に変えられます。環境保全力は「土壌中の炭素循環量=土壌微生物の活動量」で決まるからです。
C4植物:
光合成の最初の段階でつくられる物質の炭素数から付けられた名称。CO2固定に多くの光エネルギーを使い、効率よくCO2を固定。C3植物(イネやコムギなどの主要作物)の倍、森林の数倍の光合成能力がある。高温、乾燥、貧窒素に適応できるため、厄介な雑草にC4植物が多い。作物ではサトウキビや雑穀類(トウモロコシ、ヒエ、アワ、キビ、ソルガムなど)。 痩せた牧草地も多くがC4植物と考えられ、それなりに炭素固定が行われていると思われます。しかし、現状では環境負荷が大きい粗放的な放牧です。十分管理されず、その特性が活かされていません。
粗放的な放牧:
ブラジルの牛放牧密度 0.86頭/ha(飼養頭数 1億8000万頭/牧草地 2億1,000万ha)。周辺国では数頭/ha。ちなみにブラジルの牛飼育を全世界でみれば、飼養頭数(18.4%)世界第2位。牛肉生産量(15.7%)世界第2位。牛肉輸出量(21.9%)世界第1位(USDA米国農務省 2009)。地球環境に与える影響は多大。 搾乳牛とアマゾン地域の水牛を除けば、殆どネローレ種。野性味が強く野菜で言えば在来・固定種。警戒心が強く放置すると野生化し捕獲困難。常に巡回し人に馴らし、家畜であることを教え込む。 サトウキビは多年草、永年作物と言ってもよく土壌改良が進めば、植え替えなしの「株出し法(切り株から発芽)」を何回でも繰り返すことができます。成育期間や労力などの無駄が省け更に増収します。
また、高温、適湿、好気条件の下で短期間に分解され無駄になり、次第に土が痩せ生産性が悪化、4作ほどで再更新します。 土に残渣を入れ腐敗をなくしてから、マルチとして覆うなら問題ありません。しかし、広大な面積を高炭素資材で覆うことは非現実的です。また、サトウキビでは必要ありません。成長が早く作物自身が地表を覆い守ります。 広大な面積を使う他の作物(大豆、トウモロコシ、麦類など)でやるなら、そこに「有る物」を使うのが合理的。 土で土を覆う「土耕マルチ=耕した土で下の土をマルチ」がお奨めです。尤も、慣行・施肥栽培では守るべき土がありません。 ブラジルでは大規模な不耕起栽培が行われています。しかし、土耕マルチでも不耕起でも、その下にあるのは腐敗・硬盤層。そんなもの守っても仕方ありません。それは守るものではなく「壊さなければならない」ものです。 これが除草剤メーカーに踊らされて、ブラジルやその周辺国で流行っている不耕起栽培(主に大豆などの雑作)の落とし穴。不耕起で守っているのは、実は腐敗・硬盤層なんです。最近ではアフリカやインドなどにも流行らせているようです。 除草剤(表層を固める)を使い耕さなくても、地表を水が流れる限り表土は流されます。まあ、確かにカチカチに固まり、多少マシにはなっていますが、生産性は年々低下しているのが現状。土壌の保水能力が低く、特に干ばつ時の減収が酷くなっています。 そして、残ったものは硬盤層と借金、多くの中規模農家(100ha前後)の経営者や後継者が都会に出たり、海外に出稼ぎに行ったりと厳しい現実に直面しているのです。 大規模・機械化は時代の要請
データから図(6-c)のような地形図、畝や道路の設計図などを作成。それをトラクターに搭載したコンピューターにインプット再び、砕土均平機を走らせ全自動で均平作業や畝切りを行います。 圃場の準備から植え付け収穫まで全て自動。人はトラクターに乗っているだけ、直接運転はしません。また、収穫機によるグリーンケーン収穫(写真6-d)なら大量の残渣を残せます。機械化ならでこその省力、省エネ、エコ農業です。 手作業では、特に収穫作業が重労働で危険(刃物、毒蛇、切り株など)。小規模農家は収穫前に除草剤を散布し、葉を枯らし燃やします(2030年から全面禁止)。毒蛇対策と刈り取り運搬作業を容易にするためです。 しかし、これをやると残渣が残りません。出荷した製糖工場からバカスや副産物も返ってきません。重労働、危険、除草剤、煤煙、無駄な二酸化炭素排出、有機物不足。何一つ良いことはありません。 そのため過去、サトウキビ栽培は、最も土地を荒らす作物と言われました。しかし、C4植物の特性を活かし機械化すれば、逆に最も土地を肥沃化し環境保全に貢献する作物となるのです。勿論、他の作物でも機械化・モノカルチャーの応用は可能です。 世界人工は既に70億(2012)、まだ々増え続けています。主食を確保するためには広大な農地が必要。その農地を、もうこれ以上荒らすわけにはいかないのです。過去の「緑の革命=大規模機械農」の失敗を二度と繰り返してはなりません。
たとえ有機・自然栽培でも例外ではないこれ(写真6-e)でも、れっきとした有機認証を受けた、大規模なオーガニック砂糖の生産販売している農場で使う物です。この農場の現在の生産性は慣行(70〜80t/ha)の約2倍(140t/ha)、まだまだ増えるでしょう。本物(真の自然農法)の証です。
本物(真の自然農法):
一般的に行われている“過去の有機栽培”の生産性は、慣行の2/3程度。この様な低生産性は“まがいもの=自然風慣行農法”だからである。 有機・自然栽培の方が技術的に単純であり、大型機械化・大規模・単一栽培化がより容易です。 園芸作物なら高度な集約化・工場化も可能ですが、主穀類は大面積が必要です。それに応えるためには単一栽培・機械化は当然の帰結、それが出来なければ自然を理解していない証拠なのです。 現在の地球環境や人口推移を考えれば、もう意味(理論)もなく恰好だけの「有機だ自然だ」と、逃げ回っている場合ではありません。 積極的に「自然が“いのち”を生かす(表現する)力を最大限引き出す農業」に直ちに変(替)わらなければ、我々に明日はないのです。今ならまだ間に合います。まあ、間に合わなければ「それまでのこと」・・・、それは一人ひとりの意識の転換(意識の天動説〜地動説へ)次第です。 成否は頭の中(心の中)
小豆色をしたサイブロは、砂岩がラテライトに風化される前の半土壌?で、農業、土建、一般からも最も嫌われています。 半岩状(岩と土の中間)で一旦砕くと、粘りがないため容易に固まらず、乾けばフワフワ、水を含めばトロトロ。始末の悪い土?です。 それでも証明してみせるしかありません。どんな土?でも可能だと。超大規模農場相手に能書き並べても、利がない限り動きません。結果が全てです。 このようになれば(写真7-b、8-a〜8-c)、乾燥するほど深部まで十分酸素が入り、作物は元気です。ただし、土は物理性の改善が先行し、養分供給力の増強は後から、根は入っても慣行の2〜3倍の収量になるまでには破砕後、完全無施肥で1〜3年かかります。 ただ、サトウキビは栽培期間15ヶ月(ブラジルの平均)と長く、冬期間の栽培ができない中緯度〜高緯度地方の約2〜3年分に相当します。 頭と畑と社会の一致(1作目から生産量3倍)写真(8-a〜8-d)は転換前の平均収量=約80ton/ha以上(当地の平均=70〜80/ha)で、慣行栽培でも好成績の別農場(Lensois Paulista)、転換後9ヶ月(2012-11)。未だ全面積転換してはいませんが無施肥圃場のテスト収穫では、既に転換以前の平均収量を上回る90ton/ha。 半年後の本収穫
235ton/ha(約3倍):
現在の平均収量約80ton/ha(ブラジル)。砂糖、エタノール製造は半々。砂糖の消費量はほぼ横ばい40ton/haが使われている。残りの195ton/haがバイオ燃料のエタノールに回されれば、一気に約5倍のエタノール生産量となる。 現在のところ、これ以上の能力を持つ収穫機は何処にもありません。そこで元エンジニアの農場主は、直ちに収穫機を改造し219t/haまで収穫。それでも16ton/haは圃場に残り、残渣と共に畑に鋤込むしかなく思わぬ課題が浮上しました。 収量は3倍でも残渣は2倍ほど、これは予想通り。次作からは(半永久的に?)植え替えせず株出し可能。この際、残渣が地表を分厚く覆ったままでは、地温が上がらず芽が出ません(収穫期は乾期=冬)。 太陽光線を当て地温を上げるためと、餌を微生物に与えるために必ず混ぜる必要があり、前述の機械屋さん(Roberto氏)早速これを全部混ぜ込む機械も製作しました。 農場主の頭が非常に柔軟で話しを聞いて即実行。余計な自己流解釈はせず、Roberto氏の言う通りに行っています。頭と畑が一致している良い例の典型です。 自然環境の保全を考えれば条件の悪い所ほど、その必要性が高いと言えます。全てが自然。選り好みは人の頭の基準(土に善し悪しはない)。先ずは頭の転換。あちら=自然の側から、事象をそのままみる。 畑を見れば(様子が分かれば)、耕作している人の頭の中が分かります。これは規模の大小、条件などに関わりなく言えます。世界規模で展開し失敗した「緑の革命=緑のくいつぶし」の結果は、そのまま、それを指導実行した者、その時代の人々の頭の中を表しています。要するに「腐っている」のです。その頭の中をコントロールしているのは心です。 腐敗は循環の滞り、特に金(欲の具現化したもの)や知識(通貨=通過する金は害がない)。新たな超大規模・モノカルチャー・機械農の成否は、それを行う彼ら(企業、関連業者)や、それを必要としている我々の心のありようで決まります。単に物や技術だけでは、どうにもならないのが命を相手にする農業の面白いところです。
資料提供:Sr. Roberto Sako
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