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参考資料 4

栄養学・医学が生活習慣病をつくる
日本における約半世紀間の食料供給量の変遷


病人製造食への道程

 1960年〜2004年の約半世紀間に、食料供給が質・量とも大きく変化した。グルメだ、飽食だ、やれ食育だ。食に対する異様な執着や無関心。また警鐘。食は「医、生、死」と同源で疎かにできない「命」の問題である。
「食」が豊かになり栄養学、医学が進歩すれば病気が減る筈?。ところが・・・。病人は減るどころか増えている。確かに感染症は減ったが、食と密接な関係にある生活習慣病が激増しいる。
食生活は一見、豊かになっているかに見える。しかし、病人を増やして本当に豊かと言えるのだろうか?。心の貧しさ故の物的豊かさが、食に反映されているのではなかろうか?。質的にはむしろ、貧相になっているのでは・・・?。何処かがおかしい! 何かが変!。

1人1日当たり純食料供給量

詳細データを表示(2004年は概算値)
1人一日純食料
出典: 農林水産省 食料需給表データ検索システム(平成16年度版)
 肉体労働が減り食が細くなっているにもかかわらず、量的には20%近い増加。飽食時代を反映し無駄が増えているものと思われる(家庭内では4%程度で大差ない)。
大幅に畜産物が増え、米、雑穀類、甘藷などの主食・準主食が減っている。そして、魚介の塩干・くん製、味噌・醤油などの発酵食品類も減っている。野菜は僅かに減少しただけだが、根菜類は激減している。

成分比では、穀類の減少から、炭水化物が大幅に減り、蛋白質が増え、脂質は激増。低糖質・高動物性蛋白・高脂質へ、いわゆる食の欧米化である。
でんぷん類の増加は、食品全体の加工度・精製度が上がったことを示していると思われる。加工度・精製度が上がるほど、命の純度が落ち薬理作用(毒)が強まる。特に精製度が高い健康食品やサプリメントなどは、食品の質が良ければ本来必要ないものである。
加工度・精製度: 大豆のイソフラボン過剰摂取の事例をみるまでもなく、過度な精製食品の氾濫は危険。精製度を上げれば食品ではなく、薬品として扱うべきだ。薬事法では薬として効果がなければ規制外だが、通常の食品(塩、砂糖、油、酒など)以外は、効果(薬・毒作用)の可能性が少しでもあれば規制の対象にすべきと考える。

品目別では、大豆、緑黄色野菜、果実、牛乳及び乳製品、魚介類、海草類、植物油脂など、医学・栄養学で体に良いとされる物は軒並み増えている。良いものを、たらふく食べて病気になるこの不思議。
ヒトは60兆個の体細胞、それより多い100兆個以上の微生物群の細胞との、共生関係を持つ超有機体と言われる(多い方が土台)。これらの細胞群にとって、良い物より悪い物をより多く摂り、また、悪い食べ方をしているからに他ならない。
そして、栄養学で良いとされるもの(こと)自体が曲者なのだ。栄養学は人(個体=国家など組織に相当)の立場から事象を捉え、細胞(民衆)の気持ち(欲求、健康状態など)が分かっていないのである。
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1人1日当たり供給熱量

詳細データを表示(2004年は概算値)
1人一日純食料
出典: 農林水産省 食料需給表データ検索システム(平成16年度版)
 運動量減少で供給熱量は減らさなければならないところに12%の増加。実質的にはかなりの過剰と思われる。
内容的には、主食の穀類(種実)からの供給量が大幅に減り、さらに根菜、イモなどの地中で育ち、体を温める作用を持つものが減っている。

果実類、果菜類、葉茎菜類など、体を冷やすものが増え摂り方もサラダ化し、冷えを助長。果実の項目の、その他の果実果物が著増しているが主に熱帯、亜熱帯地方の物と思われ、体を冷やす作用が強いものである。
人体は車のエンジンとは違う。大量にガソリン(カロリー)を送り込めば発生熱量(仕事量)が増えるわけではない。運動不足で熱代謝量が落ちているところに、カロリー増で脂肪を着込めば保温効果で放熱が妨げられ、体は内部から冷やそうと、さらに熱代謝を抑えてしまう。

生活習慣病では、総体的な代謝機能の低下が起きているため熱代謝を高め、体を内から温めなければならない。熱代謝量が増えれば、それに伴い不要な成分(体内産生有害物質)も同時に代謝・排出されるからだ。
浄化(病気治療・予防)には熱代謝(炭素循環)が不可欠で運動だけでなく、キムチやカレーを摂るだけでも有効と言われる。スパイス類の中には熱代謝の促進作用を持つものがあり冷え防止、肥満解消、アルツハイマー予防、ガン抑制、筋量増加などの効果が知られている。
スパイス類: 糖尿病にはトウガラシ(カプサイシン)やコーヒー(カフェイン)などの代謝促進効果のあるものは要注意、大量摂取は逆効果。トウガラシは脂肪の蓄積を減らし、体脂肪を糖に変えるため血糖値を上げる。また、インシュリンの分泌を抑制する。コーヒーも血糖値を上げる。

PFC熱量比率の推移
 学校給食体制が整ったのは、急激な食の変化が始まる少し前である。グラフ(図1)の変化は、それを見事に語っている。現代栄養学に基づく、学校給食による「食習慣破壊と味覚破壊」が、その後の食の欧米化の土壌をつくったと言ってよい。学校給食で育った世代以降の中年・若年層で、本来は老人の疾病である生活習慣病(成人病)が激増している。
学校給食: 栄養とカロリー偏重・無個体差・無国籍・無地方・無季節・無時間・無安全で、家畜の飼料配合設計と同感覚で作られている。
1954年、公布され法的に学校給食の実施体制が敷かれた。
1958年、「学校給食用牛乳取扱要領」により牛乳が供給されるようになった。

図1
PFC熱量比率の推移
栄養学で理想値と言われる1980年を境に、その後の変化は緩やかで僅かである。過労・栄養不足との相関が高い結核(図2)が、同時期まで劇的に減少その後横ばいとなる。逆に過剰栄養による糖尿病(図3)は、1955年の10万人から100倍以上の1370万人(予備群を含め)へと急増している。
図2 結核罹患率 表示する   図3 糖尿死亡数 表示する
ここで注意を要する。グラフの数値はあくまでも平均値であって、結核も糖尿も大部分は平均値から外れ、不足や過剰になった者から発生していると考えてよい。 そのため両疾患の罹患率が急激に変化し始める1960年のPFC値で、結核罹患の危険度が高いとは言えない。また、糖尿病の危険度が低いとも言えない。

さらに食の変化から罹患・受診までのタイムラグ(数年〜十数年)も考慮すると1960年以前に適正値を超え、1980年の値では既に完全な病気製造食と言える。
2015年の目標値を、熱量 2480kcal(1965年相当)・熱量比率 P13 F27 C60(1990年相当)としている。しかし、運動量の減少も加味しなければならない、多めにみても1960年前後の熱量と熱量比率を目標とすべきと思われる。

現代栄養・医学は、特定の気候風土の中で何百、何千年とかけて適応してきた食習慣を無視し、たった20年(1960〜1980年)で変えてしまった。余りにも無謀で馬鹿げた話である。しかも、今なお日本人に適した伝統ある食文化を崩壊させ、病人を製造していることに気付いていない(多少の反省はみられるが)。PFC熱量比率の変化の意味さえ読めず、毎年病人を増やし続けている栄養学とは、いったい何なのであろう。

紛れもなく、「施肥・施水・防除」の「殺し農法」と同じ原理の、「栄養・防疫」の「対症・殺し医療」の元凶である。学校給食や学問としての栄養学そのものが問題なのではない。その応用が人の頭で考えた、傲慢な「人の立場から見た天動説」なのである。天=ヒト(ヒト細胞と微生物群の超有機体)から見た、地動説に転換しなければならない。「食=生命」。もう、命を弄ぶのは止めて貰いたい。
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1人1日当たり供給たんぱく質

詳細データを表示(2004年は概算値)
1人一日純食料
出典: 農林水産省 食料需給表データ検索システム(平成16年度版)
 たんぱく質は20%増えているが量より、質が問題である。植物性から動物性へと大きく替わっている。家畜は気候風土に恵まれず木の実や穀類が十分採れない地域でヒトが直接食べられない草木を可食化したり、不可食部を可食化するための自然の仕組みである。その必要性もないのに、本来の目的を超えての肉食は自然に反すると言える。

比較的良好な環境では牛や羊。より厳しい環境では山羊やヤク、トナカイなど。ブタやニワトリは不可食部のリサイクルである。幸いなことに日本は、それらの家畜を食用とする必要性が薄く、肉食文化は発達せず適応もしていない。豊かな自然環境に恵まれている証拠であり、稲作伝来以前は木の実(ドングリ)やイモ・根茎などが主食だったと考えられている。気候風土に恵まれなければできない穀菜食こそが、真の贅沢な食事と言える。
 肉食のマイナス面を補うための生野菜や果物は、肉食習慣のない日本人は、それほど必要としないだけでなく、大量に摂ってはいけないのである(熱帯や亜熱帯では果実類を多く摂るが、基本的には加熱調理)。
では、肉食して果物や生野菜を摂ればよいかというと、そうではない(特殊な治療法としては著効あり)。穀菜食に適応している体を、肉食に適応させることは容易ではない。その逆は、簡単だ。肉食圏の菜食主義者を見れば良い。菜食で健康になることはあっても特に害はない。ヒトは本来、肉食獣ではないからである。

栄養学では、何々が不足するからもっと摂れ言う。これは細胞には迷惑な話で、大量にあれば取り込もうとしない。過剰摂食を続け血糖値が高くなり過ぎればインシュリン抵抗性が現れ痩せる。細胞の拒食症である。食料の絶対量が足りない飢餓地帯とは違う。飽食の現代人は栄養失調・不良ではあっても不足などあり得ない。
また単に、あればよいというものではない。どのような養分でも拮抗作用を持つものがあり、特定成分を際限なく取り込んでしまわないようになっている。施肥農法と同様、過剰成分が拮抗し、結果として相対的な不足を起こす成分ができてしまう。
拮抗作用の一例(牛乳と骨粗鬆症): カルシューム源と言われる牛乳の摂取量と骨粗鬆症の発症率は正比例し、飲めば飲むほど骨がもろくなる。しかも、牛乳消費量の多いヨーロッパ諸国は、硬水の地域が殆どでカルシューム分が多く、直接あるいは間接的に大量のカルシュームを摂っている。

だから、与えるのではなく逆に制限してやれば良い。制限すれば細胞、自らが必要なものを求め貧欲に取り込もうとする。それが「ヒト」に必要な本来のバランスなのである。過剰な養分を与えることは、このバランス機能を阻害する。バランスは「とる」ものではなく、自然に「とれる」ものなのである。

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1人1日当たり供給脂質

詳細データを表示(2004年は概算値)
1人一日純食料
出典: 農林水産省 食料需給表データ検索システム(平成16年度版)
 現代人は運動量減少により、摂取熱量を落とさなければならない。高熱価の脂質は少し増えただけでも供給熱量を押し上げてしまう。それが2.8倍にもなっている。
質では畜産物からの動物性脂質が増えている。それにしても油脂類からの植物油脂の急増は異様である。日本では、油はもっぱら灯明として使われ、元々食べる習慣はない。油をなめていたのは”ろくろっ首”くらいのものである(だから妖怪?)。

世界的に大豆など油脂植物の大量栽培が可能となり、それに比例して生活習慣病などが増えたと言われる。また、搾油粕は家畜飼料の主要原料(蛋白源)となり、畜産物の大量生産を可能にした。

油、砂糖、塩、アルコールなど抽出し精製度が高いものほどコントロールが難しい。調味料、薬程度に使うべきだ。先ず、油脂類や畜産物を減らし、主要熱源の穀類(主食・準主食)やイモ類・根菜類を増やし、長年培ってきた伝統的な食事に変えなければならない。他民族でも同様で、何も好きこのんで西欧の貧相な食事(肉食)を真似ることなどないのである。

肉に旨いと書いて脂。動植物とも通常、良質な(健康で活性度が高い)食材は油脂分も糖分も含有率が高い。旨いと感じるものは体に良いからで、味覚はそのように発達した。だから不味いものでも、油や糖を加えれば美味しく感じる。
しかし所詮は誤魔化し、農産物の質が落ちて不味くなり「欠陥食材」となっている証拠である。素材自体が美味しければ、塩も油、砂糖も邪魔になるだけである。まして化学調味料など不味くするだけの代物。もちろん欠陥を補うサプリメント、ビタミン・ミネラル剤なども無用である。
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まとめ

 炭素循環農法と同様に、難分解性・高炭素(高繊維・高カロリー = 高糖質・低蛋白・低脂質)の食品群が良い。これだけで生活習慣病では完璧な治療食である。生活習慣病に薬など要らない(使うと危険)。もちろん、現代医学では治らないという糖尿病でも完治できる。
糖尿病でも完治: 但し、膵臓の機能が壊れていなければの話。壊れた機能は手足をなくしたようなもの、トカゲの尻尾のようなわけにはいかない。残った機能の範囲内の食事量にし、その食事量で維持できる範囲内の体重を保つ必要がある。
栄養化しにくく、簡単に細胞レベルで飢えさせることができる食品群だからである。人がバランスを取ろうなどと考えてはいけない。細胞自身が乏しい養分の内から、必要なものだけを選択して取り込む。これが本来のバランス。そして「健康食=自然食」なのである。これは養分コントロールをしない自然農法と全く同じ原理である。
自然食: 自然農法と同様に、自然のままだから自然食なのではない。何もウサギの真似などすることはない。煮炊きしようが加工しようが一向に構わない(ただし命の純度の法則を理解した上で)。自然の命を生かす原理に沿った(生かすために好都合な)、自然の側からみた食物のことである。

生物は全て、自身の置かれた環境に適応すべく自ら必要なものを求め、他から与えられたものを、そのまま受け入れるようにはできていない。ヒトは進化の過程で、飢え(不足状態)に対しては適応しているが、飽食の歴史はなく適応できない。
人体組織という環境中に生息する体細胞にとってもそれは同じなのである。だからヒトに栄養を与えてはいけない。栄養学で必要とされる易分解・吸収性で高栄養価なものが最も避けなければならないものである。
肥料同様、薬理(対症療法)的作用があり、場合によっては絶大な効果を発揮する。しかし薬は病人のもの、つまり病人のための病人食(病気製造・維持食)であり、健康食(病気予防・健康維持、それを望む者)ではない。ましてや生活習慣病の治療食としては最悪である。

痩せると免疫力が落ちると言われている。しかし動物を見よ、病気や怪我をすると餌を食べようとしない。ヒトでも同じで風邪を引いただけで食欲がなくなる。食べることは非常に負荷の高い重労働なのである。
緊急時には、必要最小限の労働しかしないように、負荷を減らす仕組みになっている。断食をすれば負荷が減り、免疫力は逆に高まるのである。ただし、それには限度がある。エネルギーが枯渇すれば免疫だけでなく、全機能が低下する。

過労や極端な低栄養、無理なダイエット(自然の理に反し、養分のアンバランス)、病気などで痩せれば当然、免疫力が落ちる。これは動・植物とも同じで、特にカビや細菌、ウィルスなどの感染症に対する抵抗力が弱まる。逆に栄養過剰は動物なら生活習慣病、植物(窒素過剰)は虫に食われる。
免疫の70%以上は粘膜免疫(消化器や呼吸器などの粘膜)、特に腸内の微生物が深く関与していると言われている。100兆個以上の腸内微生物に対し、60兆個のヒト体細胞、もちろん重点を置くのは、数も多く最初に働く腸内微生物の方である。

免疫力を高めながら痩せる(太る)、本来のダイエットには、細胞がバランスを取りやすい食材(難分解性で高糖質・低蛋白・低脂質=腐敗しにくい)を選び、全体の量(熱量・養分量)を減らせば(増やせば)良い。
朝食抜きの一日二食で間食厳禁 。食事回数を減らし、摂食による負荷を減らすと同時に確実に飢え、その時間を長く保つためである(太るためにも有効)。そして食材の選択さえ誤らなければ、腹一杯食べても確実に適正体重まで落とすことができ、落ち過ぎることもない。

三大栄養素が少なく、摂食負荷が少ない野菜(加熱・調理)を増やし、更に細胞内を浄化し細胞自身の負荷を減らすための運動をすることである。断食と生菜食という非常に効果的な方法もあるが指導者の下で行う必要がある。
朝食抜き: 食事を摂らなくても活動できるように、血糖調節機能が働き血糖値が上昇する。特に朝はこの機能が活発化するため、細胞は実質的には朝食を摂っている。
血糖調節機能: 空腹時でも血糖を活動可能な範囲内に保つため、体脂肪をグリコースに変換、1時間あたり8g程のグルコース(ブドウ糖)が放出される。約1/2を脳が、1/4を筋肉、1/4を赤血球が使う。グルカゴン、アドレナリン、成長ホルモン、コルチゾールなど血糖低下の程度により次々放出され、幾重にも血糖上昇の仕組みがある。下げるのはインシュリンのみ。

栄養学や医学は「栄養・防疫」の対症・殺し医療という大前提の上に成り立っている。その範囲内では大いに有効であり、決して間違ってはいない。しかし、命の表現(顕在化)のために全てを生かすことを前提とし、命の収斂(食)以外の殺しは絶対に容認しない自然(天)から見れば全てが正反対となる。自然農法同様どんなに不自然(遺伝子治療など)であっても構わないが、反自然であってはならないのである。

食とは命の集積行為。農業者が「虫の餌」ではない「人の食物」を作っても、食べ方が分からなければ無駄になるだけでなく「毒」にもなる。薬食同源(医食同源)は質だけでなく食べ方についても言える。食材の質と食に対する知識(健康食=自然食)を豊かにしなければならない。「食」と「農」は一体、分離できない。「食農」教育も必要だが、その前に「食脳」教育(笑)が必要なのである。


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