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参考資料 2

馬鹿と鋏とEMは・・・(Yahoo!掲示板 科学>農業>EMは世界を救える? への投稿)

参考文献  バカと鋏とEMは・・・  葉緑アミノ酸緑汁(土着菌の活用)  資料室  Q & A 1  Q & A 2  Q & A 3
EMは世界を救える?
> 琉球大学農学部の比嘉教授が発見したEM(有用微生物群)、効用の是非についていろいろ言われていますが、本当のところはどうなのでしょうか?
科学的、経験に基づくものなんでもOKです(特に農家の方の経験)、EMの真実について語りましょう。
1.馬鹿と鋏とEMは・・・1(EM先進国) a modoki
ブラジルはEMの先進国だそうです。
ところがその実態はと言うとお寒い限りです。広大な面積ですからかなりの量が使われていますが指導者を含めEMの使い方を知らないというのが実態です。これはEMに限らず有用微生物を農業に利用する場合全般的に言えることのようです。有用微生物なら何もEMでなくても良いのです。できればその土地に住み着いている土着菌(こんな用語あるのかな?)がベストです。何処でも(近くの林など)タダで入手できます。ただ採取、拡大培養に多少の手間はかかりますが(やり方は簡単)。

先ず、ブラジルの実態から説明します。EMを100人使って何とか使いこなせる者は一人居るかどうかです。殆どの者がしばらく使い全然効かないと言って止めてしまいます。
これは使い方を知らないと言うより有機農法の基礎的知識に欠けていると言った方がいいようです。EMは単なる菌の培養液であって効く効かないというものではありません。EMは使い方次第です。
EMを消毒薬のような積りで使ったりボカシにして肥料のような使い方をしたりで明らかに知識不足というのがブラジルの実態です。おそらくこれは日本でも(多分世界中)同様でしょう。

EMボカシを土地に投与しても非効率的で手間が掛かり大した効果が上がりません。水に混ぜてそれだけを撒いても同様です。ではどうするかと言うと先ず活性液(活性化及び拡大培養)を作ります。ペットボトルに1L当たり50mlのEM4と同量の糖蜜(砂糖精製時の副産物)を入れ米のとぎ汁(水でも可)で1Lにします。栓をキッチリ締めて2週間(夏)〜4週間(冬)放置します。但しガスでパンパンになりますから万一破裂しても良いところに置いて下さい。ガス抜きはしないこと、栓を緩めると腐敗することがあります。

 使い方
先ず1平方m当たり10g-30gの米糠を撒きます。EM活性液の500-1000倍液を米糠が湿る程度に散水し直ちに土に混ぜ込みます(10cm-20cm)。菌は量ではなく如何に増やすかですから散水量は特に問題になりません。混ぜ込んだ米糠が乾かないように土の水分状態、天候等を見て散布時期、散水量を加減します。

但し、始めて使う場合に一回限りボカシを作り上記の使い方と併用します。この場合できるだけ深く鋤き込む事。これは嫌気性菌を深いところで働かせ土地を早く良くするためです。
2回目からはその必要ありません。浅く混ぜてください。好気性菌は表層で嫌気性菌は下層というように棲む条件が違いますから転地返しなどすると折角増えた菌を殺してしまいます。

 注意
間違っても絶対に化学肥料を使わない。連作をする。堆肥を使わない。枯れた有機資材を使わない。緑肥を有効に使う。ボカシは初回限り。深耕しない。土壌消毒なんぞはもってのほか。もう一つ、EM取り扱い業者や指導者の言う通りにやらないこと。以上が有用微生物群を上手に使う秘訣です。詳細や実践例は次回。

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2.馬鹿と鋏とEMは・・・2(基礎)
◇化学肥料は作物の肥料にはなりますが微生物を殺します。絶対に使ってはいけません。化学肥料を使うと還元発酵菌(有用微生物)が死に、酸化腐敗菌により土(水)が腐敗します。腐った土は腐りやすい(病虫害に弱い)作物を作ります。結果として農薬を使わざるを得ないことになります。農薬は結果に過ぎません。

◇連作をしてはいけないのは従来農法の場合です。作物は微生物や土中の微小生物との共生により自分の都合の良い土に作り変えます。ですから他の作物を作ると始めからやり直しすることになります。私の友人は完全無化学肥料、無農薬で10年間ジャガイモを連作しています。

◇堆肥は微生物の食べカスです。化学肥料と同様に作物の肥料にはなりますが土地を団粒化する力が少ししか残っていません。大切な有機資材が半分から数分の一になってしまいます。しかも大量に必要ですし大変な手間がかかります。ボカシも同様で手間隙かけて微生物に食べさせる事はありません。これは無駄以外のなにものでもありません。

◇枯れた(死んだ)有機資材はC/N比(炭素/窒素)が高く土中の窒素分を使い窒素飢餓(Nブロック)を来たします(窒素不足になる)。
有機(手抜き)農法は基本的には無肥料です。米糠は肥料として使うのではありません。微生物の餌です。だから少量でよいのです。従来農法では通常1平方m当たり数百gの堆肥と化学肥料を使いますが、たった10g-30gの米糠で十分です。

◇緑肥を立ったままか、大きなものは刈り倒して直ちに米糠、活性液と共に浅く鋤き込みます。要は生きている生の状態のものを入れることです。
緑肥を作れない場合は米糠、活性液のみを2週間ほどの間隔で2〜3回鋤き込みます。貝化石や火成岩の粉末、木炭、木酢液、海草エキス、海産物の発酵液等の有機農法で許されている資材を必要に応じて使っても良いのですが通常は特に必要ありません。これらは微生物に微量ミネラル等を与えるのが主たる目的で作物に微量要素を与えるのではありません。早い話が土の中で漬物?や納豆?を作ろうというわけです。とにかく腐らせてはなりません。

以上の諸注意を総括すると、生きた有機資材を土中で還元発酵させる。そのためには微生物とその餌及び微量養分を同時に投入し微生物を活性化し土壌を団粒化します。要するに土毎ボカシにしようというわけですね。
殆どの者が失敗する原因はここにあります。微生物に餌も与えず効果ない(働かない)と言っていることです。それは無理というものでしょう。作物に肥料を与えることしか考えていません。

作物には肥料を与える必要はありません。それは微生物の仕事です。僅かな生きた有機資材により微生物を生かすことです。すると作物が活きてきます。結果として病気も付かない虫も食わない健康な作物ができます。

実は病害虫は軟弱な作物を始末してくれているのです。子孫に残してはいけないDNAを処分してくれているのです。病原菌ではなく処分菌です。害虫ではなく始末虫です。害虫は天敵の餌です。ですから感謝こそすれ殺してはいけません。
雑草も地表の乾燥を防ぎ土中の有機物の分解を抑えます。邪魔にならない限り除草の必要はありません。土壌が良くなると雑草の種類が変わり殆ど邪魔になることはありません。また虫の餌です。
生かすことです。全てを生かすこれが真の有機農法です。EM農法(有用微生物群活用農法)の基本です。

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3.馬鹿と鋏とEMは・・・3(実例 1)
訂正
活性液の作り方でEM4となっているところを救世EM-1とします。従来のEM-2、EM-3、EM-4を混合した新タイプだそうです。EM-4(Brasil) = 救世EM-1(Japan)です。

我々の体は食物で作られます。腐敗しやすい食物は腐敗しやすい肉体を作り、健康で腐敗しにくい作物は人や家畜を健康にします。腐敗しにくい食物は腸内でもやはり腐敗を起こしません。殆どの病気の原因は腸内の腐敗が原因です。アトピーの子供が本物の有機栽培の食物で治った例が多数あります。免疫の90%は腸内でできるといわれています。

実例 1 ジャガイモ(友人の例)
EM歴10年、作付け面積5ha
気候温暖(年間 最低気温0-3度、最高気温30-35度)、降雨量適量(夏雨季、冬乾季)

夏は緑肥作物としてトウモロコシを作ることがあります。3月(秋)ジャガイモを植え付け7月収穫です。別圃場で8月-12月が1サイクルです。
厳密には同一圃場では都合により緑肥トウモロコシとの輪作の場合があります。基本的には10年間、無堆肥、無化学肥料、無農薬で輪作&連作です。

栽培方法は前述したように活性液500倍液、米糠1ton100〜300kg/ha、緑肥、Ca資材(必要に応じて)のみです。除草は土寄せを兼ね一回のみ、あと様子を見てボルドー液(自家調整)を栄養成長時(Cu、Ca補給とベト病の予防を兼ねる)に1-2回程度、必要に応じてEM活性液(500倍)を散布します。活性液は養分を完全に発酵分解させ病害菌の餌とならないようにします。同じ理由で糖蜜は入れません。
植付け収穫は手作業もありますが後は機械です。この方法なら家庭菜園から百、千ha単位(ブラジルでは珍しくない)でも可能です。

しかも種芋は10年前400キロ購入しただけで、その後全て自家採取です。専門の方ならお分かりでしょうが慣行農法では連作、自家採取など絶対真似のできないことです。
この農法ではコストは一体どのくらいになるでしょう。興味のある方は計算してみてください。

南米には葉切り蟻というのがいて慣行農法では、これを駆除しないことには何一つ栽培不可能です。人が蟻を滅ぼすか蟻が人を滅ぼすかと言われる程のこの蟻は、巣穴に葉を運び込みカビを培養して餌とします。普通ジャガイモの葉を好んで運ぶのですが彼の畑の蟻は絶対に運びません。彼らはイモの葉はカビが生えないことを知っているのです。他の食害昆虫も畑にいますがイモの葉は食べません。彼らは畝間の草を食べています。

ですから雑草は彼らに残しておかなければなりません。殺虫剤も除草剤も使わないのではなく必要がないのです。他の殺菌剤等も同様で必要としません。 これらを使うのは化学肥料や農薬で土壌中の有用微生物が死に腐敗菌が蔓延し作物が不健康になった結果であり、病害虫が原因で作物ができないのではありません。

彼の畑に雨後、竹竿を突き刺すと2m程スッポっと入ります。どんな豪雨でも地表を雨水が流れることはありません。1-2ヶ月降雨を見なくても(乾季には当たり前)潅水の必要ありません。彼の圃場は高台の傾斜地の為、慣行農法のときは豪雨で土石流ならぬ土イモ流で大変だったそうです。

有機栽培を始める前は慣行農法で数台のトラクター雇用者数十人と見かけは派手でしたが残ったのは借金の山。土地は化学肥料、農薬で殆ど何もできない状態からの再出発です。どうにか3年目からまともな物ができるようになったそうです。

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4.馬鹿と鋏とEMは・・・4(実例 2)
実例 2 レタス(知人)
EM歴1年 使用面積6ha

EMを使い始めて満1年レタス専門です。以前花卉栽培をしていた土地(何もできなくなりハウスでの鉢物花卉栽培を行なっていた)で化学肥料、農薬を極力減らし堆肥を投入し土地の改良を計っていました。以前からEMに関心あり使ったことがありますが効果ゼロで見事に失敗しています。
土地改良の結果かなり良いものができるようになりましたが満足できず昨年、前出のイモ作りを見学してEM手抜き農法(一般的なEM農法と区別するためこのように呼んでいる)に切り替えました。

手抜き農法(ついでにEMも抜く)に切り替えてからの栽培方法は緑肥なしでEM活性液+糖蜜(活性液と同量です。メッセージ No32 の使い方で書き忘れました)と米糠(EMの弁当)のみです。完全な堆肥なし、ボカシなし、化学肥料なしの無い無い尽くしの無肥料、無農薬、しかも気候温暖ですから通年栽培が可能で年4-6回、同一圃場でレタスの連作に継ぐ連作方式です。
植付けから収穫まで40日前後で収穫が終わり次第、EM、米糠投入、レタスの残滓と共にロータリーをかけ10日程置き次作の定植です。1サイクル約60日で最近冬季に短期間燕麦の緑肥を取り入れています。

今年は強い降霜があり、他の農場(周辺一帯は蔬菜の大生産地帯)のレタスは全滅でしたが被害は殆どゼロでした(手抜き農法農家はこの一帯には他にない)。霜害に強いのは葉に含まれる糖分の違いのようです。肥ぶくれ、水ぶくれの従来農法物と違い、食べると甘味があり大変美味しく保存も利きます。

無肥料で何故できるかというと、レタスの場合根部は土壌中に全て残ります。外葉や畝間の雑草もあります。充分とは言えませんがこれが緑肥の代わりです。化学肥料で微生物を殺さない限り、たったこれだけで米糠弁当を持たせたEMは文句もいわず働いてくれます。そして回を追う毎確実に良くなっています(土が団粒化し柔らかくなっている)。ここの地質は本来は粘土質なのですが化学肥料の多用により粘土質が失われ砂質化した非常に荒れた土壌です。

前出のイモ屋は害虫対策の必要なく全くしていませんが、始めたばかりの此処では多少の対策はとらなければなりません。 先ず定植すると一時的に弱ったレタスにアブラムシがつきます順調に活着すれば何もしなくてもアブラムシは葉に付いたまま勝手に死んでしまいます。
手抜き農法に切り替えて初期は天候不順や土壌条件の悪い所では死んでくれませんからEM活性液と牛乳の50-100倍液を散布します。すると葉面のバクテリアが増えアブラムシは昇天します(やり過ぎると病原菌の餌になる)。

収穫まで3-5回ほど病気予防を目的に活性液のみ散布します。これは葉からの分泌物や埃をEMに食べさせ病原菌の繁殖を抑えるためです。ですから活性液は充分発酵させ養分の残っていないものを使います。同じ理由で糖蜜は入れません。
あと季節により手作業で1-2回株間だけを除草します。それから定植時に根を密着させるためたっぷり潅水しその後は余程乾燥しない限り潅水しません。他に茸の廃菌床を無処理のまま被覆材として使うと有機物の補給と乾燥防止に大変効果的です(充分無いのが悩み)。廃菌床(堆肥化してはいけない)は茸の菌が生きていますからNブロックを起こしません。

慣行農法から見れば信じられない程の手抜きです。しかしこれで慣行農法より立派なレタスが育ちます。ちなみに生産コストは慣行農法の1/2以下、現行有機農法の1/3程度と思います。これは省資材、省力、高生産、高品質によります。
作物は肥料を与えれば与える程養分不足を起こし、潅水すればする程水不足を起こします。消毒すればする程病虫害に対して抵抗力をなくします。
化学肥料は土壌中の有用微生物を殺し、堆肥やボカシは既に微生物の餌とはならず、過剰な養分と潅水が根の伸長を妨げるのがその理由です。

イモ屋がEMを使い始めた頃ウィルス病が出始めたため農薬を試験的に散布した所は一時抑えたもののその後爆発的に蔓延し全滅でした。無散布区は病気の進行が遅く、それなりの収穫ができたそうです。それ以来農薬は絶対に使わないことにしたそうです。

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5.馬鹿と鋏とEMは・・・5(実例 3 , 環境保全)
実例 3 養鶏(本人)
EM歴 4年 飼養羽数 50.000羽(採卵)

使い方。
EM嫌気性ボカシを1%資料に混入(大量に入れても意味が無い)。他に木炭、木酢液等使用(微生物にミネラルや微量養分を与えるのが目的)。消毒剤、抗生物質、抗菌剤、ホルモン剤、駆虫剤は一切使用しない。メチオニン、リジン、ビタミン剤、ワクチン等は減らしているが使用している。今後更に減らし最終的には使わないつもり。水の処理も必要と考える。

効果。
先ず、最初の変化は卵の生臭さが10日程で無くなることです。これは腸内の細菌バランスが良くなり腐敗を起こさなくなるのに伴い、体内でのエネルギー代謝が円滑に行なわれる為と思われます。同時に糞が柔らかくなります。消化(特に繊維分)が良くなり固形分が減り相対的に水分含量が高くなるためで飼料効率が改善されます。

卵は餌や環境の変化に非常に敏感に反応し、腐敗した餌を与えた鶏の卵は数日で腐敗し始めます。通常室温で一月以上、最高の本物は1年経っても腐りません。黄身を箸でつまんで持ち上げられるは序の口で、黄身を箸で4分割しその一片を摘み上げることができるそうです。
我が家の卵は未だ序の口で4分割が目標です。このような卵は食べるだけでアトピー等の病気を治す力を持っています。勿論卵アレルギーの者が食べてもアレルギーを起こしません。

吸血性ダニが勝手に居なくなる。これは鶏が健康になり吸血してもダニは卵を少ししか生めないか孵らなくなるためと思われます。ハエも減ります。これもダニと同じで健康な鶏の糞はハエの餌には向かないようです。
葉切り蟻やレタスのアブラムシと同じで健康なものは害虫や病原菌には利用(食べられない)できません。これは人も同じで蚊に刺され易い人は真の健康体とは言えません。蚊は見境なく誰でも彼でも喰いつくほど馬鹿ではありません。食える奴か食えない奴か見極める能力を持っています。

鶏も野菜と同じで如何に腸内の微生物を活性化させ健康体を作るかということに尽きます。大地に根を張れない動物にとって腸内が大地です。

◇ 環境保全
化学肥料を使い微生物の働きが不十分な土壌は硬く、通気性、透水性、保水性、保温性、養分の保持力等に欠け作物の根は深部まで伸びられません。保水力の無い土壌では少しの乾燥でたちまち硬く固まり、大量の降雨があれば表土が流され河川を泥で埋め土砂と共に流れ出した過剰なNやPは河川や湖沼、河口付近の富栄養化を招きアオコ、赤潮の原因となり生態系を破壊します。
特に低緯度地方では有機物の分解が非常に早くこのような土壌では砂漠化を招きます。更に農薬で生態系破壊に追い討ちをかける現在の近代農法は環境破壊と引き換えに発展してきました。

現在未開発の乾燥地帯では木々だけではなく家畜の糞さえも燃料とされ大地に還元されるべき有機物の不足から農作物の不作、砂漠化それに伴い更に降雨の減少、砂漠化という悪循環に陥っています。現行の堆肥を大量に使う有機農法では地球は救えません。

実例の農場は亜熱帯と温帯の境に位置する高原地帯です。有機物の分解は日本に比べかなり早いものの恵まれた条件にあります。熱帯や乾燥地帯では更に工夫が必要と思いますが基本は変わらない筈です。 最小限度の生きた有機物、微生物とその餌のみで、堆肥等の有機物や一切の化学物質の投入をしない省資源、省力の微生物を最大限に活用するEM手抜き有機農法こそ真の環境保全型の地球を救う農法ではないかと思います。

生態系の土台である最下層の微生物を生(活)かし、その上に位置する植物、更に上の動物を生かて初めて人類が生きられるということです。

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6.馬鹿と鋏とEMは...6(疑問をお持ちの...)
〇EMに疑問をお持ちの皆様へ
EMは単なる微生物の培養液の混合物に過ぎません。「馬鹿と鋏とEMは使い方次第」ということを申し上げておきます。効果がなくてもそれはEMのせいではなく、使う側の問題です。基礎的な知識、技術が必要です。

現在のような多様な生物が住める地球環境は殆ど微生物の働きによるものということを忘れないで下さい。微生物なくして我々は存在し得なかったということです。人も微生物の集合体です。ヒトは単細胞の微生物(卵子と精子)から生物の進化の過程を一通り辿りながらヒトとして生まれてきます。
生物は頂点にヒト、底辺に微生物というピラミッド構造(階層構造)を形成しています。これはそのまま進化の過程を表していますがその何処が欠けても正常な生態系は維持できません。そして微生物が土台です。底辺になるほどしっかりしていなければならないのが道理です。

EMは有用微生物の全てではありません。多くの微生物の中から特に働きが優れたものをほんの少し選び出したに過ぎません。ですから何もEMと限定しない方が良いと思いますが微生物が地球を救うというのはこのような意味と思います。
尤も全ての菌(ウィルスも含め)無用なものはないでしょう。たとえエイズウィルスであっても。私はこのように考えますが皆さん如何お考えでしょうか。

〇投稿者: maaiiya メッセージ: 35
>土壌細菌の構成の変化をもたらすと思います

土壌細菌の変化=環境破壊というのは一寸短絡的過ぎると思います。
実例にあるようにEMを投入することにより団粒構造になった土壌は表土の流失を防ぎ、肥料分も離しません。また保水性を増した土壌は雨水を一時的に蓄え急激な増水を緩和します。
今回の豪雨では堤防の設計値以上の水が短時間に出たといわれています。予想以上の豪雨ということもありますが農地が減り市街地化しアスファルトで固められ、多くの地表が保水力を失った当然の結果です。
山林や農地は自然のダムです。しかしそのダムの機能が宅地化、化学肥料等により確実に落ちています。農地の肥沃化は単に良質な食糧を得るということだけではなく環境保全の面でも重要な役割を持っています。

また地球環境の浄化をしているのは他ならぬ微生物です。特に水の浄化は微生物抜きでは語れません。水は流れさえすればきれいになるわけではないのです。 土壌中の微生物の活動により健康な作物ができるのは、この水の浄化の為ではないかと考えています。全ての生物にとって水は命です。

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7.馬鹿と鋏とEMは...7(変化、投稿者の皆様へ)
変化
手抜き農法を始めると色々と変化が起きてきます。顕著な変化としては、素手で作業しても手が荒ない手にやさしい土に変わります。これは土のでき具合の一つの目安です。もう一つの目安は土の塊を割ってみると、断面に結晶のような感じの小さなキラキラ光るものが沢山見えるようになります(微生物の分泌物?の塊?)。

作物の残滓が腐敗しなくなります。捨てた葉には微生物が白く繁殖し、つぶれたイモは発酵しアルコール臭がします。多様な茸が沢山発生するようになります。土を少し起こしてみると白い菌糸(菌根菌等)が沢山繁殖しているのが見えます。このような状態は山の落ち葉と土の境目の腐葉土にみられます。

それから畑に集まる小動物や小鳥の種類に変化が起きます。実を食べる種類が減り虫を食べる種類が増えます(餌が豊富になるためか?)。 今までと同じように働いても疲れ難くなります。敏感な人は圃場に入ると爽やかな気分になると言います。
投稿者の皆様へ
〇投稿者: akikobebe メッセージ: 2 私も知りたい!

赤ちゃんにEMを飲ませて良くなったとありますが大変有効な方法でしょう。EMは腸内で還元発酵を促進し酢酸を始めとする有機酸を多量に産生します。その結果PHを下げ酸化腐敗菌を抑制します。EMと一緒にEMの餌となる蜂蜜等を摂るとビフィズス菌も同時に増えより効果的のようです。(但し人間用ではありませんから奨めはしません。あくまでも農業やごみ処理、環境浄化用の資材です。)

〇投稿者: barbaloy メッセージ: 28 家庭でのEM製造方法(1)
>培養を繰り返すとEM−1→EM−4になってくると思います。

活性液は再培養はしない方が良いようです。培養を繰り返すと菌種が単一化し効果が落ちるようです。微生物は同時に多種類が働くため、全て混ざった救世EM-1の方が効果的で省力化できると思います。開発途上で登録した都合で多種類になってしまったと聞いています。救世EM-1が完成品のようです。ブラジルには最初からEM4(救世EM-1)しかありません。
活性液は栓さえ取らなければ半年以上保存できます。長く置いた場合は糖蜜(黒砂糖)を少し追加し2週間ほど再培養すると活性化します。

〇投稿者: vf88 メッセージ: 29 私は
>私は乳酸菌を土壌改良に使います 〜 でき上がったら今度はそれを水で薄めて米糠と共に畑に投入します

大変有効な微生物の使い方と思います。根圏では最低10種類以上の菌が居ないと有機物や作物の分泌物、菌の生成物等の分解サイクルが円滑に行なわれないと言われています。乳酸菌を投与しただけでも他の菌は土壌中にかなりの種類がいますから微生物の餌(米糠)さえ与えれば十分効果が期待できる筈です。有用微生物が棲める条件が整えばEMや乳酸菌は特に投入する必要がなく微生物の餌だけで良くなります。

〇投稿者: barbaloy メッセージ: 30 家庭でできるEM-3培養方法(光合成細菌)
>魚のあらは、光合成細菌に必要な低級脂肪酸を補うのが目的です。

魚のあらや海草などの海産物はミネラルも豊富で土壌中の微生物にも大変有効な資材と言われています。ただ魚のあらは腐敗しやすいのでEMボカシ、米糠等での発酵処理(魚のあらの糠漬け?)が必要と思います。土がある程度でき上がっていれば短期間の発酵処理で十分なようです。腐敗したものは病害虫を招き寄せますから施用しない方が良いと思います。

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RE:運営コスト/有機JAS規格認定 投稿者: barbaloy (23歳/男性/jp)
貨幣価値が日本と違いますので慣行農法と比較してみてください。単位は米$です。(1998,1999農年度)

ジャガイモ(kg 農場渡し)
〇慣行農法
生産コスト: $0.14(種、肥料、農薬,労賃,諸経費が約1/3ずつです)
販売単価: 平均 $0.10-$0.25(品種、品質により差があります)

〇手抜き農法
生産コスト: $0.018(慣行農法の 種1/5、肥料0、農薬0、労賃1/2、諸経費同じ)
販売単価: $0.50(小さなイモは種にするため価格差0)

慣行農法の生産コストは一般的に言われてるものです。販売値は市場価格の変動がありますので年間を通してのおおよその単価です。
手抜き農法の生産コストは慣行農法の13%程度ですがかなり大まかな計算です(多分もう少し低い)。販売値は年間同一価格で変動はありません(生産者が値決めしている)。 ジャガイモの場合一寸信じられない程の差がつくのは、慣行農法は種イモが高いためと肥料、農薬を大量に使うためです。手抜き農法の種イモは売れば只同然の小さなものですが良品と同価格で計算しました。

レタスの場合の手抜き農法の生産コストは約1/2-1/3程度です。やはり肥料と農薬を使わないため大きな差がつきます。他の経費は大差ありません。売値は季節変動が大きく1.5-5倍程度です。慣行農法物は最低価格と最高価格の差が5倍程度になりますが有機物は2倍程度で変動幅が少しです。

>(2)EMはJAS規格でいうところの「生物農薬製剤」、つまり「農薬」として認定されているから有機表示できなくなるという話を聞いたのですが事実なのでしょうか?

詳しく知りませんがEC諸国や米国では有機栽培に微生物製剤を使えます。日本はその基準を元にしていますから問題ないと思います。
ブラジルの場合もほぼ同じです。微生物製剤やフェロモン、天敵などは便宜上農薬と呼んでいますが農薬ではありません。

>御自分の農作物を「有機」認定することは可能なのでしょうか?

ブラジルでも認定機関がいくつかあり、何れかの機関の認定を受けて初めて有機農産物として販売できます。実例のジャガイモとレタスは認定を受けています。
私の場合(卵)は認定を受けていません。木酢液はブラジルでは許可されていないのと(現在検討中との事、日本では可)未だ納得できる品質になっていないので認定を受ける予定はありません。

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RE:光合成細菌 投稿者: barbaloy 2000年9月23日 メッセージ: 43
>培養速度の遅い光合成細菌は、EMボカシ処理(=乳酸菌ラクトバチルス処理)してしまえば相対的に増殖しにくくなり(増殖速度が遅いから乳酸菌の餌になってしまう)、当初の目的を達しません。

申し訳ありません。説明が不十分だったようです。 魚のあらは光合成菌培養以外に有効な使い方があるということを言いたかっただけです。手抜き農法は生が基本ですが、あらの場合無処理で圃場に入れると問題が起こる可能性があるという意味です(あらに限らずNの高含有資材は要注意)。

手抜き農法の場合EMに限らず特定の菌を単独で使うことはありませんから現場では菌を別々に培養することはありません。 それから基本は土作り(環境整備)ですから、ストチュウ(EM5)や牛乳、海草エキス、木酢等を使っての病虫害防除は土ができ上がるまでの一時的処置です。手抜きが基本です(笑)。

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RE:EMバッシング 投稿者: barbaloy 2000年9月28日 メッセージ: 45
>特定の菌を単独で使わないからこそ、別々に培養する必要があるような気がするのですが、

製造過程での場合は知りませんが。現場で使う場合は簡単な方法でないと無理と思います。農家には設備もないし菌の培養技術もありません。
EM活性液にした場合でも、おそらく数種類の菌が主に増えるだけではないでしょうか。家畜や圃場に投入した場合でも、条件に合う菌だけが働くのだと考えられます。そのための80種類と思います。下手な鉄砲かず撃ちゃ当たる(笑)。

>私はEMバッシングについてよく知らない(東大の教授が中心!?日本土壌肥料学会??)のですが、

私も全く知りませんし興味もありません。ただ言えることはEMや他の微生物製剤を使う技術が一般に普及すると都合の悪い者が居ることは確かです。 実際にEMや他の微生物製剤を使いこなしている所は無肥料、無農薬か使っても僅かです。

これは肥料を使うとどうしても巧くいかないから使わないに過ぎません。これには面白い例があります。前回例に上げたレタス栽培農家で手抜き農法を始めたばかりの頃のでき事です。
レタスの収穫を始めたところ一畝置きにレタスの様子がおかしいのです。病気が発生しているわけではありませんが何となく元気がなく成長も良くありません。確かに天候不順が続きましたがそれにしても一畝置きというのは不思議なことがあるものだと夫婦で話し合っていたそうです。
それを、にやにやしながら後継ぎの次男が見ていました。後日白状したのですが無肥料で野菜ができるなんてどうしても納得できないと、一畝置きに残っていた尿素をこっそりまいて様子を見ていたというのです。それ以来科学肥料は完全に止めてしまいました。

>具体的なEM農法、EM環境浄化方法の欠点についてもわかってらっしゃるのではないでしょうか?

勿論欠点もあります。先ず即効的ではない点です。土壌がある程度良くなるまでには半年から1年はかかります。化学肥料を減らしながら徐々に切り替えたら良いだろうと誰しも考えるようですがこれは殆ど失敗します。
小区画でも結構ですから、やるなら思い切って完全に切り替えるのが結果的には一番早道です。例のレタス農家の場合、何回か収穫できずレタスを鋤き込んでしまいました。結果的は緑肥としての効果があり鋤き込んだ所は早く土が良くなっています。

化学肥料や農薬のように撒きさえすればある程度の効果が期待できるというものではない点も欠点といえるでしょう。どのような菌でも条件が悪いと定着しません。定着しなければ効果はゼロです。菌を定着させるのには土壌条件が良くなければならず、良ければ既に有用菌が定着していますからEMなど使わなくても微生物の餌だけ与えれば事足りるということです。

注意しなければならないのは常に餌を与え続ける必要があるということです。化学肥料は論外ですが堆肥も使ってはダメです。生の緑肥でないといけませんから緑肥栽培の期間は圃場が使えません。
それから無耕起栽培ができません。全面耕起をせず畝だけの部分耕起という方法もありますが、EMと共に緑肥を鋤き込んだり米糠を混ぜ込む必要があります。

今南米の大規模農場では無耕起栽培がかなり行なわれています。大型の機械で常に一定の場所に播種します。作物自身に土を耕させる方法で前作の株の所に次の種と肥料を落とし耕起をしません。
表土流亡を防ぎ化学肥料さえ使わなければ熱帯、亜熱帯地方では環境負荷の少ない理想的な方法ですが全くの無耕起ではEMを使うのは無理です。
表面に撒く方法もありますが、かなり厚い被覆材を使い乾燥を防がなければなりませんので実際的ではありません。

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RE:EM!?ぜひ家の農地で挑戦してみたい! 投稿者: jdkmg (42な歳/男性/saudi arabia) 47
>あまり聞かない方法のように思えました。

ブラジルでも一般には知られていません。と言うより理解されていません。
例にあげたジャガイモ作りの農場には4000人以上の見学者があったと言いますが実際に見て本当のことを理解できた人は0.1%あるかどうかといったところだそうです。
それは難しいからではなく、慣行農法(有機農法を含めて)の常識で判断しようとするためです。これはプロの者ほどその傾向が強く既成の"知識と教養が邪魔をする"ようです。

EMを取り扱っているところの指導者でも同様で、前にも指導者の言う事を聞くなと書きましたが、言う通りやれば必ず失敗します。これは保証します(笑)。失敗例は枚挙に暇がありません。
EMに懐疑的な者が圧倒的に多いのは成功例が非常に少ないためのようです。それは当地でも同様で、EM(微生物)の作用の仕方と使い方を理解していないためです。

>熱帯豪雨地方と言える当地にむく農法なのでしょうか?気温も高地のような温度差もありませんそのような所でもEMの効果はあるのでしょうか?

EMを使うのが比較的難しいのは乾燥地(期)です。高温多雨地帯は一番容易に使えます。乾燥地でEMを使い始めの初期に保水性、通気性が悪い土壌では、特に表層付近での菌の繁殖が悪くなります。土壌改良効果は好気性菌の方が高いため空気が十分通う表層部の水分不足はEMの効果を著しく損ないます。そのため被覆材や潅水で乾燥を防ぐ必要があります。

熱帯で直射日光の強い場合は米糠とEM活性液、糖蜜を散布後短時間で鋤き込む必要があります。大規模の場合は米糠を肥料散布用の機械で均一に撒き、その後を消毒用のタンクを引いたトラクターがEM活性液を散布、更にロータリーで20cmほど荒く撹拌し土壌中に混ぜ込みます。EM活性液の散布後は直ちに混ぜ込む必要があり最低2台のトラクターが必要です。

小規模の場合は米糠と活性液、糖蜜の希釈液をあらかじめ混ぜ手作業で撒き、その直後に鋤き込みます。この場合混ぜたものはその日の内に使い切る事です。高温地帯(期)では翌日まで置くとボカシになってしまいます(少しでも土壌中で菌を働かせることが肝要でボカシは不可)。
混合物の水分は鋤き込むまでに乾燥しない程度の少なめの方が作業は楽です。緑肥(雑草)があれば緑肥の上から撒き、鋤き込めば乾燥し難く手抜きができ一石二鳥です。

鋤き込むタイミングは雨の前が一番です。雨の後トラクターが土を踏み固めない程度の土壌水分になった時も適期です。兎に角、乾燥に注意してください。水浸しにさえならなければ土壌水分は多い方が良く、高温も水分さえ十分あればEMの増殖が早く好都合です。

特に熱帯地方では有機物の分解が非常に早いため緑肥がお奨めです。米糠とEMだけでも蔬菜類なら何とかなります。EMの使い始めには10日程の間隔で二度繰り返すと、一回の量を増やすより効果的です。

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RE:EM手抜き農法での害虫対策 投稿者: jdkmg (42な歳/男性/saudi arabia) 49
>いつだったかみかけたイナゴ、バッタの大群は恐いくらいでした。もしあれが私の畑(無農薬)にやってきたら一たまりもないという気がしますがこの辺の対策は、どうなされているのでしょうか?

通常発生する害虫は作物が強くなれば自然に食害しなくなります。例のイモ屋では有機栽培に切り替えた当初は空き缶片手にヨトウ虫を拾って歩いたということです。圃場の一方は雑木林で他方は手入れされていない草地で虫は沢山います。
害虫は柔らかい草を好んで食べますから、作物を軟弱に育てなければ害虫対策は必要ないわけで土壌ができ上がった今では虫が寄り付かず特に対策はしていません。

レタス屋は隣の畑(慣行農法)に近いところは少し食べられるとの事です。一定の幅で青垣や草地のような物(防虫林?)が必要ではないかと話していました。 それとまだ土壌が完全にでき上がっていないため、アブラムシに牛乳の希釈液などを使うこともあります。
害虫対策は基本的には何もしないことになっていますが、できるだけ圃場の周囲は自然の状態を保つことと、雑草は邪魔にならない程度に残す等の最低限の対策は必要です。自然に近い状態では特定の虫だけが異常に増えることはないと考えられます。

しかしバッタの大群となるとダメでしょうね。この辺ではありませんがブラジルの内陸部ではバッタの異常発生がたまにあります。その時は殺虫剤も全く役に立たず自然に終息するのをただ待つだけです。異常発生は自然を破壊した結果ですから現在の農法が続く限り繰り返し起きると思います。また農業だけでなく社会全体が自然破壊を招かないように変わらない限り解決しない問題と思います。

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RE:他の作物について 1 投稿者: jdkmg (42な歳/男性/saudi arabia) 51
>8000万の民全員が庭又は裏の畑に有機農園を持っているような調子ですから、 〜 より市場価値の高いもの、且つ病虫害に強い作物をと考えていますが

>稲作の例でも、 〜 難しいというか、この農法が、一般に広まらない理由なのでしょうか。
>どんな他の作物がこの方法に向いているのでしょうか?

例に上げた二農場は単に現在の主力がイモとレタスということからです。レタス屋は主な蔬菜類は一通り作っています(自家用で残れば売る)。イモ屋も前はショウガ、カブ、葉物等作っていました。蔬菜類は殆ど問題はないと思います。

例えば白菜は虫害を受けやすい野菜ですが殆ど虫は付きません。その白菜の塩漬を客に出したと ころ、この漬物は砂糖を入れてあるのかと聞かれたそうです。それ程甘くなります。
変わったところではコンニャクイモ(日本人しか食べないと思いますが)、普通3年かかりますが1年で同じ大きさに育ち締りがよく、同一重量のイモでもコンニャクは沢山でき、しかも色が白くきれいなものができます。

手抜き農法は何に向く向かないということは殆どないと思います。自家用ならイモ類(サツマイモ、サトイモ、タロイモ等)や根菜類は大変良いようです。トウモロコシや雑穀類も問題ありません。大豆等も良くできますが茎が余り太くなり過ぎると大規模機械化栽培では工夫の必要があるかもしれません。

換金、永年作物として果樹は有望と思いますが、かなりの工夫が必要と思います。種類により根を切ってはいけないため緑肥等を鋤き込むのが難しいということがあります。EMは土と混ぜないと最大限の効果は期待できません。混ぜる代わりに薄く客土をするとか、厚く被覆材で覆うとかしなければならないと思います。

水稲も水を張るため好気性菌を有効に働かす事ができずEMは使い難いと思います(代掻き前なら可能ですがその後継続的な効果が期待できない)。ただ稲はそれ程養分の要求量が高くはありませんから嫌気性菌だけでも、かなり効果はあると思います。しかし雑草対策は難しいでしょうね。
畑のように雑草の種類が簡単に変わらないと思いますから田植え前に発芽させ2〜3回代掻きをするような方法しかないと思います。あと雑草の芽が少し伸びたときEM入り米糠を水面に流し芽に付着させ発酵させる方法もあるようです(適期が難しいようです)。

RE:他の作物について 2
イモ屋は今年からトマト栽培に再挑戦中です。果菜類の方がむずかしいですね。一回目は市販の種子(改良種)を使い病気が出始めて定植後一月ほどで全て抜いてしまいました。2回目は数年前に数回自家採取を繰り返し冷蔵していた種子を使い最近定植したばかりです。今度は順調に育っています。

ジャガイモも今年新しい品種を購入し順応化と種イモを増やすため少し植えていましたが、矢張り弱くて生育も遅れ気味で病気も少し出ていました。3回ほど自家採取を繰り返せば強くなるだろうと言っていました。慣行農法では反対に3回も作れば種イモを更新しないとできなくなってしまいます。

幾ら土壌が良くても特に果菜類は順応化ができていないと難しいようです。市販の種子は化学肥料と農薬の慣行農法用に改良されています。ですから無肥料無農薬の有機農法で栽培するためには、何代か種子の自家採取を繰り返し植物が本来持っている防疫機能を回復させる必要があります(F1種は使えない)。

>この牛乳は50倍100倍の希釈液とありましたがざっくり1HEC当たりどの位の量が 〜 他に代用品はありませんか?

実際の散布量は聞いていませんが、一般的な消毒の数分の一との事です。葉面のバクテリアの餌ですからほんの少し霧が付着する程度です。慣行農法の圃場では牛乳程度の物ではまず効果はありません。病原菌の餌になり逆効果です。量が多すぎたり濃すぎても同様です。土壌がある程度でき上がって初めて効果が期待できる方法です。

木が十分あれば木酢液もかなり有効です(200倍〜2000倍程度)。木酢液は木が水と共に吸い上げた微量要素の濃縮液みたいなものですから、微生物の餌としてEM等と使うと効果的です。葉面に散布すればバクテリアの増殖を助けます。主成分は酢酸ですが低濃度で使うため殺菌力は期待できません。虫に対する忌避効果もありますが余り期待しない方が良いようです。

また葉を硬く丈夫にします。そのため葉野菜等は種類によっては収穫時に葉が折れやすくなるため濃度を落として使うようです。イチゴや果樹等の糖度を上げるのにも大変有効と言われています。
屑の粉炭(水溶性ミネラルの結晶)に振りかけEM、米ぬか、緑肥等と鋤き込むのも微生物の増殖を促し上手な使い方です(一度に大量に使わない)。

他に海草エキス、魚の発酵液も微生物に必要なミネラル、微量要素が含まれていて有用微生物の活性化に良いと言われています。炭や木酢液に付いては詳しい専門書が出ています。
何れにしても微生物を上手に生かす事が基本ですから工夫さえすれば作物は選ばないと思います。

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>その土壌、感触、目測以外に土壌ができあがる発展途上を示す科学的に計測する方法があるのでしょうか?

土壌の良し悪しを見分ける目安として団粒化の程度を簡単に知る方法があります。調べたい土をコップに1/5程入れ、水を満たし良く撹拌し放置します。団粒化した土は30分〜1時間経っても腐植が浮遊していて簡単に澄む事はありません。単粒構造の場合水は澄すみます。
土壌や作物の分析をして硝酸塩等を調べる方法もありますが現場では実際的ではありませんし、大した意味もないと思います(現場では役に立たない)。

実際に作物を作ってみれば違いは直ぐ分かることですが、必要あれば統計的処理をして成績を比較すればよい訳です。しかしこれが案外問題で一般農家で厳密な比較試験はまず無理でしょう。
またEMを使って試験をしたが効果なかったというのを見かけますが、栽培技術も使い方もEMの作用が何かも分からず試験を設定しても無意味で、EMを使いこなす技術と知識があれば当然差が出ます。

当地でEMの製造販売をしている某団体が数年前に立派な試験場を作りました。ところが今年それを閉鎖し一般農家に貸し出してしまいました。借りた農家はEMの専門家の運営していた試験場だから当然土壌はでき上がっているいるものと思い込んで借りたそうです。ところが実際に入植し野菜栽培を始めたところ何を作ってもろくに作物が育たず困惑しているとのことです。
一体何の試験をしていたのでしょうか土壌が全くできていないのです。EM農法での生産販売が目的だったようですが何を作っても巧くいかず試験場を閉鎖したというのが内情だったようです。EMはダメだと自ら宣伝しているようなものです(笑)。今では他所から仕入れ販売だけしています。
餅は餅屋の諺通りその道のプロに任せるのが一番のようですね。しかし気の毒に?その技術者の指導を真に受けてこれから営農していく入植者は一体どうなるんでしょう。

土壌のでき具合を知るもう一つは食べて慣行農法物と比較してみることです。有機農法関連のhpや本で有機物は小型で、味の差も殆ど分からないと書かれているのを見かけることがありますが、それは有機栽培の真の意味と本物を知らないからです。殆どの作物で小さい物は栽培方法、土壌、熟度等に問題があり味が落ちます。有機物でも例外ではありませんからそのような物と比較しても無意味です。

際立った違いは大きく育ち甘味が増すことです。蔬菜、果菜、果樹等の殆どの作物でこれが一つの目安になります(穀類も同じと思うが実際例を知らない)。化学的分析や糖度計で分かる筈ですがそこまでしなくても甘味は誰にでも分かります。またえぐ味や苦味がなくなります。
手抜き農法のジャガイモを長期冷蔵保存すると非常に甘くまります(イモは低温で澱粉を糖分に変える。蔬菜類は保存で糖分を消費し甘味が減る)。しかし何といっても新ジャガが一番で、サツマイモより甘くなったジャガイモは、お世辞にも美味しいとは言えません(笑)。科学的とはいえませんが実際に役立つ見分け方です。

>又、EM−1の入手は、どのようにされているのですか?

此処では前出の某団体の試験場や支部等が各地で取り扱っているため、入手は容易です(単価=U$3.30/L)。

>この東南アジアのおける8000からの群島からなる島国の生活の要は、造る漁業にあるとも思っていますがこの点いかがでしょうか。

知っている範囲では当地の錦鯉の養鯉場では余り効果はなかったとの事です。プロと素人では比較にはなりませんが掘り下げただけの潅水用貯水池に鯉を放しEM活性液を使った所では成長が非常に早く大変良いと聞いています。
テレビ報道ですが池の底を土にし微生物製剤を混ぜた餌を与えると、食べ残しも分解され水質が保て病気も減るとの事で、わざわざ底のコンクリートを取り除いたとの事です。 この事から考えても効果の差はコンクリートで固めた水槽ではEMを定着させるのが困難なためと思われます。田畑に限らずどんな場合でもEMを如何に生かす(=活かす)かが成否の分かれ目ではないかと考えています。

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RE:いまさらですが・・・1 投稿者: palalell (18歳/other) 59
>化学肥料との併用により微生物は死んでしまうのでしょうか?
〜それなのに,自分で分解して生成した無機物はよくって,無機態としての化学肥料は,微生物に死をもたらすのでしょうか?

有機物の替わりに化学肥料を使い有機物が不足すると土壌中の微生物相が極端に貧弱になります。では十分な有機物と少しの化学肥料ならよいかというと実際に使った結果から言えることは矢張り使わない方が良い結果(丈夫に育つ)が出ます。

理由は色々考えられますが主なものを上げてみます。化学肥料や堆肥は確かに作物の肥料になります。しかし既に発酵分解の終わった堆肥では微生物の餌としてはあまり役には立ちません。化学肥料で直接、微生物が死ぬというより微生物の寿命は非常に短いため、常に繁殖をし続けないと結果としていなくなります。

未分解の生の青草や*未熟厩肥等の方が餌としては遥かに適しています。しかし化学肥料を投与すると有機物の分解が阻害され、未分解の有機物から産生される有機酸等により、微生物が死滅すると同時に土壌の物理性も悪化します。そして有機酸は作物の根を痛め養分の吸収が阻害され、肥料不足と勘違いし更に化学肥料を多投するという悪循環に陥っています。

*未熟厩肥:牛の厩肥はC/N比(炭素比)が20前後で**窒素飢餓を起こし難い。
**窒素飢餓(Nブロック):有機物を分解する際に微生物は大量のNを必要とし炭素比の高い(炭素含量が多い)枯れた稲ワラや枯草等の未熟堆肥を大量投入すると土壌中のNを奪い作物はN不足を起こす。

C/N比が40前後が糸状菌には最適で生育末期の青草(緑肥)はこれに近く、しかも緑肥の根は土を柔らかくする。 逆に化学肥料やC/N比が低い豚、鶏糞等は余分なN分が腐敗菌の餌となり土壌を汚染する可能性が高い。過剰な窒素は作物の硝酸値を高め味を落とし(えぐ味)人の健康に悪影響を与えたり(体内で亜硝酸となり有毒、ある種のガンの原因とも言われている)環境破壊を起こす。

微生物が土壌中で増えるということは、単に微生物が生きているというのではなく多種の分泌物や抗生物質等を産生したり、土壌の物理性を作物の生育に適した団粒構造に変えるという重要な働きがあります。
また植物の根の内部や周囲で、植物の出す多糖類を主体とする有機物(ムシゲル)を利用し共生関係にある微生物もいます。この根圏微生物群や根圏微小生物群(***有用センチュウ等)は有機物の分解の各過程で働く多様な種類が必要です。そのためには十分な(といっても僅かで、糖蜜と米糠10-30g/平方m程の)微生物の餌が必要です。

***有用センチュウ:カビや細菌、分解途中の有機物等を餌とし作物の根に寄生し養分を奪うことはない。害を及ぼすセンチュウはごく一部で土壌生物中でミミズや微生物の総量より多い(重量比)といわれている。

有機栽培に関心が高まったのは良いのですが、完熟堆肥が良いと大量に入れ過ぎ化学肥料と同じN過剰を起こし病虫害に対する抵抗性を低下させたり、環境汚染の原因になっています。完熟堆肥とて化学肥料と同じ肥料ですから入れ過ぎれば問題が起きます。

[>微生物由来の 〜 時間がかかるため初期生育が 〜 ] との心配はありません。むしろ逆で最小限度の養分だと養分を求めて根がよく張り、仮に50%余計に伸びたとすると単純計算で1.5の3乗倍(3.8倍)、倍なら2の3乗倍(8倍)の土壌を利用できます。つまり数分の一の肥料分でよいことになります。これが緑肥や米糠と微生物製剤のみで無肥料、無農薬で作物が育つ理由の一つです。勿論これは餌を与えた微生物群により土壌の物理性が改善されての話です。

RE:いまさらですが・・・2
[>〜適量の化学肥料は,植物にとってもいいことでは???] は以上のように作物の持つ本来の能力を抑える事になり、結果として軟弱に育ち農薬のお世話になります。 肥料は最低限度は必要ですが与えるほど養分不足を起こし、水もかけるほど水不足を起こします。
実はこのご質問がEM農法や他の有機農法、自然農法の核心を突いたものです。「適量の化学肥料は,植物にとってもいい」のではない、ということが理解できるかできないかが、EM等の微生物群を有効に使いこなせるかどうかの分かれ道です。
では一体どれ程の肥料が必要かというと、土を使う農法では要りません。要るのは微生物の餌だけ良いのです。通常の圃場で10a当たり1ton以上の微生物、微小生物がいると言われています。餌があり環境が整えばすぐ増えます。これら微生物、微小生物の持っているN等で十分間に合います。何も手間暇かけて堆肥を作ったり環境破壊の原因になる化学肥料を使う必要がないわけです。

この答えが、皮肉?なことに対極的な化学肥料と人口環境で行なう、例のトマトを一株に13,000個も付け(通常30個)、2年〜3年も生き続けるというハイポニカ農法です。これの考え方は環境中からできる限り抑制因子を取り除き植物本来の力を引き出せば、生理作用は活発で無農薬で有機農法と同等の質の物が遥かに大量に生産できるというものです。

最大の抑制因子は土との考えから水耕で、植物は有機物は利用できず無機イオンを吸収しているから直接N,P,Kの無機(化学)肥料を作物に関係なく共通のものを充分与え植物に必要なものを選択吸収させる。というのがハイポニカ農法です。 植物体は空気と水からのC,O,Hの三要素で93%を占め、残りの7%がN,P,Kの三大要素とCa,Mg,Sなどの微量要素ということから最大必要量の化学肥料と微量要素を与えます。

これは慣行の化学肥料農法も同じですが、投与した化学肥料が全て無機イオン化して吸収されれば問題無いわけです。ところが土の物理性が阻害因子となり、根の能力が完全に発揮されず生育に最適の化学肥料を投与することは殆ど不可能です。
それを有機物の不足を補おうと化学肥料を過剰に投与する結果、有機物が分解されず有機酸として残留し根に障害を与えて植物の生理作用を阻害します。そしてバクテリアも死滅し土が疲弊します。

化学肥料農法は古来の農法とハイポニカ無機農法との中間で、どっちつかずの中途半端農法です。これは現行の有機堆肥農法に付いても言えます。違いは化学肥料か堆肥かの違いに過ぎず考え方が同じなのです。この半端な考え方が有機農法で失敗する最大の原因のように思えます。

手抜き農法はハイポニカ農法でいう阻害因子を、微生物の働きによりできるだけ減らし、人為的に適量の肥料を与える事ができないのなら初めからそれは考えずに、堆肥や化学肥料の替わりに微生物の能力を最大限引き出し、微生物の持つ養分で間に合わせようというわけです。初期は別ですがN分等は先ず過不足は起きません。

手抜きとハイポニカは対極に位置する農法ですが、人間の勝手な理屈や基準で無駄なものは与えない、余計なことはしないという基本点では同じです。面白いことに、一本の木?からトマトが10,000個以上採れたり、無堆肥、無肥料、無農薬で作物ができるなんて、見なかった事にしよう(笑)。というのが科学的立場といわれる権威?の姿勢で、この両極の農法が市民権?を得ていないというのも共通点です。

途上国には手抜き農法の方が適していますが、先進国ではハイポニカ農法も悪くないと思います。化学肥料を使うなら中途半端は止めて全て人為的に完全コントロールするハイポニカ農法が優れていると思えるからです。どちらも自然の力を最大限に引き出そうという点では変わらず広義の意味で「自然農法」といっても差し支えないと思います。

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遅RE: 信じれば・・・,自然界の・・・
>本当に効果があるならいいけど、その団体がかわいそうやね。効果なかったら。

それは無用な心配です。効果があろうがなかろうが団体はEM菌が売れさえすれば儲かるのです。生産原価は非常に安いのです。 可哀想なのは高価?なEM菌を買わされて成果の上がらなかった農業者です。農業の場合、成果の上がったという話は殆ど聞きません。 だから無効だというのではありません。売る側が使い方を知らないため正しい指導ができないだけのことです。

>〜人工的に投入したEM菌が優占種となりうるのでしょうか?土着の菌を圧倒して機能することが可能なのでしょうか

何もEM菌が土着の菌を圧倒する必要ないようです。EMが活躍できるような条件を整えれば土着の有用菌も活性化するようです。要は如何に有用菌が活躍できるような土壌環境を人が整えられるかにかかっています(やり方は既に書きましたので参照してください)。
それさえできれば何もEM菌など必要ではないのです。ただ土壌条件が悪い場合はEM菌に限らず市販の微生物製剤や土着の菌を採取し拡大培養をして使った方が成果が早く上がります。

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re:米ぬか肥料
>米ぬかを水と混ぜて発酵させると肥料になると聞いたので作ってみたのですが表面にカビが生えてしまいました。このカビは取り除いた方が良いですか?混ぜ込んでも大丈夫ですか?

糠味噌と同じで多分大丈夫と思います。ただし腐敗臭がするようなら取り除いたほうが無難と思います。 発酵させたということですが生のまま直接土に混ぜ込んだ方が遥かに効果的です。しかもごく少量(10g〜30g/m2)で十分です(大量に入れると腐敗する)。

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re:質問です
>EMと堆肥を一緒に使うことは土壌改良にプラスにならない、という ことなのでしょうか?

堆肥による土壌改良は非効率的ということと、コントロールが難しいということです。 非効率な理由は堆肥は微生物の食べ滓で、あくまでも作物の肥料であって微生物の餌ではないという事です。土を作るのは有機資材そのものではなく、それを利用する微生物の働きよるからです。
やり過ぎれば化学肥料と同様に過剰な窒素分により環境汚染を引き起こします。気候の変化や土壌、作物の生育状態等の違いにより肥料を過不足なく作物に与えることは殆ど不可能です。
また無肥料、無堆肥で立派な作物ができるのに何も好き好んで病害虫の被害を受けやすい堆肥を使う必要はどこにもありません。これは実際にやってみれば分ることですが無堆肥のほうが遥かに病虫害のコントロールが楽です。実際には何もしませんが(笑)。

>その本のどれをとっても、まずは土壌が一番大切であると >書いてあり、そのためには、堆肥を入れる大切さが書いてあります。

その通りです。それが有機農法の最大の障害になっているわけです。現行の有機農法は化学肥料と堆肥が入れ替わっただけで基本的には何も変わっていません。肥料で作物を育てようとしています。手抜き農法は微生物を育て微生物に作物を育ててもらうという考えが基本です。全く考え方が違います。

>その堆肥が、野菜作りには不要だと言うことでしょうか?
或いは、氏のおっしゃる「手抜き農法」をやろうとするときには不要だということなのでしょうか?

全く不要です。その代わり絶対に欠かせないのが微生物に与える緑肥や米糠(生きた餌)です。初期には糖蜜、EM菌(あるいは土着菌)を使ったほうが土壌改良効果が早く上がります。しかしある程度土ができ上がればEM菌も必要なくなり微生物の餌だけでも充分です。
しかし微生物に餌を与えない従来の有機農法では化学肥料の替わりに堆肥が必要です。

>その中で、堆肥を作ると言う作業は、実は楽しんでやっているのですが、なかなかもって大変な作業であります。

小規模の場合は何とかなりますが大規模の場合を考えてみて下さい。例えば1000haにトウモロコシを作るとします(珍しい規模ではない)。1ton/haとしても1000tonです。有機資材を堆肥にすると半分から数分の1になりますから数千tonの有機資材が必要となります。外部から持ち込むことは事実上不可能です。実際にはこの程度の堆肥では使わないのと同じでしょう。

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説明不足でした1
>しかし、「手抜き農法」が「従来型農法」を全否定するものではないのだろうと考えます。

説明不足でした。現在の化学肥料と農薬の「慣行農法」に問題があるのであって、それ以前の「従来型農法」を見直すべきだと考えます。手抜き農法は「従来型農法」を「守り」の農法とするなら、それを更に一歩進めて最小限の有機資材と労力で環境保全型農業を目指す「攻め」の農法です。

確かに日本では里山に人手が入らなくなり過剰な有機物により里山が荒廃し生態系に悪影響が出ていますが世界的にみれば例外です。 現在、世界各地で人口増による植物燃料の消費増大や家畜の過密化、市場経済のグローバル化等により有機物の不足(農地、草地へ有機物の未還元)から生態系の破壊や砂漠化が懸念されています。ここブラジルでも同様で海岸山脈(大西洋岸)とアマゾニア熱帯雨林を除けば自然林は殆どありません(現在の乱伐が続けば後20年でアマゾンは砂漠になると言われている)。ブラジルの穀倉地帯(内陸部)に落ち葉など何処を探してもないのです。
世界的にみれば、小規模な自給自足型農業を除けば落ち葉等を使う日本型自然農法は不可能です。特に穀類は大型機械農による生産量が増えこそすれ減ることはないと考えられます。大面積を使うこれらの農地が有機農法に変わらない限り環境保全はできません。

>(1)前述しましたが、私、EMぼかしを使って生ゴミを醗酵させ、畑に入れていますが、これも「手抜き農法」では不要なのでしょうか?

基本的には不要ですがゴミ処理や里山の保全を優先するか、有機物資源の節約を優先するかはその地域の実情に合わせるべきと考えます。堆肥より生ゴミ(生の厩肥)の方が土壌改良効果があります。「生」であることが肝要です。

説明不足でした2
>(2)農業或いは家庭菜園に関して、いろいろな本を読みました。その中で、肥料として「過燐酸石灰」の多使用を薦めております。
>また、過燐酸石灰は、もとをただせば有機資材(鳥の糞?)であるともありました。
>「手抜き農法」では化学肥料は絶対使用してはならないとしていますが、この過燐酸石灰の使用については、どう判断すれば宜しいのでしょうか。

現在、農地への過剰施肥や人口密集、家畜、家禽の多頭羽飼育等による燐酸汚染が生態系の混乱を招いていると問題になっています(河川、海の富栄養化によるアオコ、赤潮)。家畜では飼料への燐酸分配合を減らすため酵素利用の研究が行われています。

無肥料の手抜き農法を10年以上やっていてもビニールハウスを建て雨水の地下浸透が行われないと、水分の蒸発にともない地下水と共に上がって来た燐酸分が地表に白く結晶します。化学肥料を使っていた土地であれば、過剰であっても不足する懸念は何十(百?)年もないと思われます。
微生物にとっても燐は欠かすことができない栄養素です。微生物やそれを餌とする微小動物が充分増える状態なら不足していないと考えて良いと思われます。燐に限らず特に不足する栄養素は何もないと考えて差し支えありません。足りなければ微生物や作物が何とかします(笑)。

産卵鶏の餌には通常3%〜4%のカルシュームが配合されます。これを配合しないと(他の原料由来のカルシューム1%)無殻卵(殻は炭酸カルシューム)を生みます。ところが雲母(珪素)を食べて丈夫な殻の卵を産むことが観察されています。ヨードについても同様なことが起きています。ヨードは飼料に海草などを配合しない限り殆ど含まれていない成分です。ところが飼い方次第ではヨード卵を産みます。
元素の収支を無視した物理常識では起きてはならないこと(原子転換?)が起きるのが有機農法の面白いところです。ただしこのようなことは通常起きません。自然の摂理に完全に一致した時起きる現象のように思えます。推測ですが腸内の微生物が関与しているのではないかと考えています。

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RE:「生」がいい?1
>ところで、生ごみや堆肥などを土に入れるとき、未熟堆肥など発酵途中のものだと、土壌中で発酵が進むため、ガスが発生してしまい、植物が枯れてしまうと言います。
また、微生物が、それら有機物を分解する際に土壌中の窒素を消費してしまうため、植物との競合が生じ(窒素争奪戦)、植物が窒素飢餓状態になり、初期成育がかなり遅れるため、あまり宜しくないと聞きましたが、やはり「生」がいいのでしょうか?

一般的な常識としてその様に言われています。また慣行農法ではそれが正解です。 ところが無堆肥、無肥料の手抜き農法では全くその心配はありません。先ず、最初にお断りしておきますが生の緑肥は「肥料ではない」ということです。微生物の餌として与えます。生でなければならないのは次のような理由からです。

1.炭素率が低い。
2.分解が早い。
3.直ぐ使える。
4.省力的。
5.経済的(少量で効果的)。
6.何処にでもある(作れる)。

ここで生というのは本当のナマ(生きている)という意味です。勿論、生物としてではなく細胞レベルで生きている状態という意味です。
緑肥等を枯らすと炭素率(C/N比)が上がります。生きたまま鋤き込めば炭素率は理想的な40前後です。それ以上炭素率が高いと微生物が有機物を分解する際に土中の窒素を使ってしまい窒素飢餓を起こします。逆に低いと窒素過剰で腐敗し易くなります。
特に無堆肥、無肥料の場合余分な窒素が土中に存在しませんから炭素率が高い物を入れると作物は殆ど成長しなくなります。

生ですから微生物の働ける状態さえ作れば非常に分解が早く、トウモロコシ等の太く硬い物でも速やかに分解します。以前は3ヶ月経っても形が残っていたトウモロコシの茎が手抜き農法に切り替えてから1ヶ月で殆ど形がなくなるようになりました。分解が非常に早いため2週間ほどでガスは発生しなくなります。

RE:「生」がいい?2
例え完全に分解しなくてもそれ程心配はありません。生の場合嫌気状態なら漬物あるいはサイレージ、アルコール発酵状態になりながら分解されます。好気状態ならカビやキノコ等の糸状菌が繁殖し腐敗を起こさず炭酸ガスの発生だけで有害ガスの発生がないため害はありません。実際にキノコの廃菌床(おが屑と生きた糸状菌の塊)をそのまま堆肥化せず大量に入れて翌日定植しても何の害も出ません。

 ※カビ、キノコ等の菌類は酸素呼吸。また外殻は昆虫や甲殻類と同じキチン質で最良の窒素源。遺伝子レベルでみると発生起源は動物と共通で襟鞭毛虫類とのことです。
 ※キノコの菌床は乾物重で、おが屑と栄養材(糠、穀類カス、オカラなど)が約1/3です。キノコの収穫量は菌床の20%程度ですから大部分の養分は廃菌床に残っています。キノコは殆ど栄養材で育ち、おが屑は培地としての役目が主で栽培期間中には殆ど分解利用されません。

緑肥を立ったまま鋤きこみますから、刈る手間も要らず省力的です。堆肥のように微生物が分解して数分の一になることもなく経済的です。また作物のできるところなら何処でもできます。

緑肥は炭素量の多い禾本科(イネ科)の植物が適しています。炭素量が多いほど微生物の餌としては良いのですが生きていないと、炭素率が高くなり窒素飢餓を起こします。特に木材は非常に炭素率が高く(1000前後)分解途中のものを入れると何もできなくなります(まるっきり分解しなければ害も益もない)。

RE:「生」がいい?3
廃菌床の半分は木材(おが屑)ですが糸状菌により生きている状態と考えても差し支えありません。ジャングルを切り開き農地にすると数年は無肥料、無農薬で何でもできます。おが屑の廃菌床を畠に施すということは木が数百、数千年の歳月をかけて固定蓄積した炭素を土壌に戻すことを意味します。百、千年単位で落ち葉が積もり木の根が土中に張り巡らされ分解した養分豊富なジャングルの土と同じ状態に土壌を変える力を持っているわけです。

植物は空気中の炭素を固定できますから何も肥料として堆肥(炭素+α)を入れる必要が無いわけです。ところが実際には炭素量の高い物を入れるほど土は良くなります。これは微生物のエネルギー源として炭素が必要不可欠というのがその理由です。
植物は無機化した窒素や燐でなければ利用できません。有機物の分解過程でできた腐植を利用しているわけではありません。土壌を良くするのは腐植そのものというより、腐植を作る過程で起きる微生物や微小生物の活動の結果と考えられます。これら土中生物の活動の結果、腐植ができ、土壌が団粒化し保水性、通気性、保肥性等が向上します。これは何も植物のためというより土中生物自身にとってその方が都合がよく必要だからです。

そして微生物は腐植等の有機物を無機化する働きを持っています。ですから土を良くするという事は土中の微生物等の生態系を豊かにすることに他ならないと言っても過言ではないと思います。植物が有機物として炭素を微生物に、微生物は無機化した養分を植物にという共生関係です。

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